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組織と自分に向き合うこと(ネコのすゝめ)。

組織に向き合うこと

組織に所属しているとどうしても悩みが出てくる。
人間関係だったり、方向性だったり、同調圧力がめんどくさかったり、人それぞれ色々とあるだろう。

ただ、組織に所属している以上、その悩みに対して、向き合う必要がある。その組織から離れることを除けば、取り得る選択肢は次の2つになる。

①組織を変える
②自分が変わる

組織の存在目的と個人の価値観は当然異なる。

異なることを前提としつつも、組織の存在目的と自分の価値観の重なり大きければ大きい方が、自分らしくいられるだろうし、組織への悩みも減ってくる。だから、組織側を自分に寄せるか、自分が組織に寄っていくかの2択になる。

とは言え、組織側を変えるのは至難の業だろうし、結局、個人が変数として変えられるのは自分の価値観ということになる。そして、自分の価値観を変える方法としては、次の2つがあるのではないかと思う。

①自分の価値観を組織に寄せる
②自分の価値観の輪郭を濃く描く(自分をよく知る)

1つ目の自分の価値観を組織に寄せるというのは、自分と組織の重なる面積を大きくすることにより、自分と組織の距離を詰めていき、組織と自分を一体化させていく方法。
2つ目の自分の価値観の輪郭を濃く描くというのは、自分の価値観を自分自身が理解して、組織で何があってもブレない軸を持つという方法。

両者は対立しているわけではなく、二兎追うことは可能である。
二兎追った結果、所属する組織が大好きで、自分の軸がしっかりと持てていれば、たぶんそれは理想の状況なのだと思う。

自分に向き合うこと

前置きが長くなってしまったのだが、最近読んだ「『組織のネコ』という働き方」という本が面白かった。

著者の仲山さんは組織に属している場合の働き方について、次の4つのタイプに分類する。

ライオン:群れを統率(パフォーマンス高い)
イヌ:組織に忠実(パフォーマンスふつう)
トラ:社命より使命(パフォーマンス高い)
ネコ:自分に忠実(パフォーマンスふつう)

「組織のイヌ」という働き方

凄くイメージしやすいのが、ライオンとイヌであり、日本の企業の多くは群れを統率する僅かなライオンと組織に忠実な多数のイヌという構図で成り立っている。

恐らく忠実なイヌが沢山いるのは、新卒で入社し60歳定年がゴールという前提が色濃く残っており、失敗せずに忠実に組織に従うことが、ゴールテープを切る最善だからだ。

イヌの特徴として「自分の意志よりも社命を優先して行動する」というものがある。これだけを捉えると救いようのない感じもするのだが、イヌも組織に属したての時は疑問を持っていたのだと思うし、多少の違和感を感じながら働いているイヌもいるはずである。ただ、調整文化で育つにつれ、だんだん疑問に思うのが面倒くさくなっただけなのである。

ということで、一定数はイヌとして働くことに違和感を感じながら日々を過ごしている人もいるはずである。そんな人達に向け著者の仲山さんはネコという働き方も存在することを示してくれる。

ちなみに、「組織のイヌ」を揶揄しているわけではなく、イヌとして働くことが幸せな人もいるだろうし、良し悪しではない。ただ、組織の同調圧力に負けてイヌ化しているのであれば、ネコの可能性を探ってみる価値はあると思う。

「組織のネコ」とういう働き方

著者の仲山さんが描くネコの特徴は次のとおりである。

組織には属していても、ネコのように自由気ままな人。自分の意志がしっかりあるので会社の指示をなんでも聞くとは限らない。

一見すると自由奔放で、組織に貢献していない存在のように見えるのだが、ネコの自由とは「自分で考えて動く」ことをさす。だから、組織への貢献度は決して低くない。イヌとの違いは社命を優先するのか?自分の意志を優先するのか?である。

となると、「組織のネコ」として働くためには、自分の意志を優先させることが必要なのであり、自分の意志をしっかりと認識していることが重要になる

ここで冒頭に示した図に戻ろう。

一点、図の内容が異なるのだが、それは自分の価値観の枠の濃さである。要するに自分の価値観を自分で認識できている状態を意味している。
ネコとして働き、自分の意志に従うには自分を知っておく必要があるのだ。

「『組織のネコ』という働き方」は、ネコというタイトルではあるものの、大半は「組織のトラ」の働き方について書かれている。ネコにはというトラ(社命より使命)になるという道が存在するからである。

本の中では、実際にトラとして働く人達を紹介しながら、「組織のトラ」の働き方を読者にイメージさせてくれる。本を読みながら、読者は自分とトラの距離を測り、自分の現在地を考えるのである。

ライオン、トラ、イヌ、ネコ。

どれが正解というわけではない。
働き方のタイプを思考することを通して自分を知ることに「『組織のネコ』という働き方」の面白さがあるのだと思う。
そして、自分を知り、夫々を尊重できれば、組織で見える世界は変わってくるだろう

組織に悩んだり、組織と自分に向き合おうと思ったらぜひ手に取って欲しい1冊である。

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