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站椿功(たんとうこう)と甩手(すわいしょう)エピソード@古式ボディワーク

站椿功(たんとうこう)甩手(すわいしょう)は、両方とも気血の巡りを良くする古伝の知恵です。
これをスポーツクラブのレッスンで真面目に取り上げることは非常に難しい。なぜなら、エンターテイメントを期待する人が多い環境だからです。

甩手(すわいしょう)は、「メインの動作を行う前の 簡単な準備運動」としてならアルバイトのイントラでも教えられる。でも、私は、それでは先人に申し訳ないと思うので、真面目に取り組んでいます。シンプルに繰り返すことに意味があります。しかし、なかなか伝わらず、100名来て下さったら、50名は「つまらない。」と去っていかれます。

余談ですが、映画「ベストキッド」のなかで、ジャッキーチェンに「ジャケットの脱ぎ着」を延々に繰り返すことを強いられた少年が、意味が分からず切れてしまったのと同じですね。仕方なく続けた少年が、ジャッキーが演じる師匠が放った拳を難なく受けることが出来る様になったあのシーンです。
少林寺をはじめ武術、太極拳の世界で千年以上大切にされてきた理由です。シンプルな「型」の繰り返しに意味があります。

クラブでは強制的にやらせることは出来ませんが、その中でも気がついて下さった50名は3年、5年と継続して下さいます。
入退会の激しいクラブにおいて、年単位で継続して下さることは凄いことなので 感謝しています。

甩手(すわいしょう)は、「腕を捨てる」と訳します。肩から指先までの力は完全に抜きます。

肩の力を抜くことが非常に難しいのです。初心者の方は、腕を力で振ってしまいます。力で振っていることや軸がぶれている事すら気づきません。自分の身体なのに。

でんでん太鼓のように抗重力筋を軸として振れないと気血の巡りが良くなりません。

武術で使う甩手(すわいしょう)は、気血の巡りを良くする他に「軸の確立」が求められます。

二本足で立っている時の軸(=木が根を張っている様に立つ)、一本足で立っている時の軸の感覚をつかみ取っていく繰り返し。

この軸は、スポーツに応用出来ます。会員さんから「泳ぐ時に楽になりました。」という声を頂くのは軸が出来て水の抵抗が少なくなったからです。
本当に「根を張る立ち方」が出来ているのか「検証」する対練がありますが、さすがにクラブでは出来ません。
この「根を張るように立つ」という言葉ですが、色々な流行のエクササイズで姿勢の悪いインストラクターまでが言葉のスキルとして使われているのには驚きました。お客さんもインストラクターの姿勢の悪さに気づいているのかいないのか。言った者勝ちではありませんが「検証」してやりたくなる時がたまにあります。
大事な肉体は横に置いて頭だけで理解させる手法の方が商業主義では必要なのでしょうね。

站椿功(たんとうこう)は、「クラブでは無理だな」と10数年前に判断して以来、使っていません。
なぜなら、「我慢大会」となってしまうからです。

その我慢に我慢を重ねて修練させられてきた方に先日出会いましたので少し書きます。「なんで良いのか分からない。」と道場にいらして下された空手の高段者の方が本音を打ち明けて下さいました。こういう時って真実を知るチャンスなのです。

さっそく、站椿功(たんとうこう)をして頂くとやはり力で頑張っていらっしゃるので、緩めていただきました。

下半身ももっと楽にして頂いて、アレコレ調整して、呼吸法をして、気を通して、、、站椿功(たんとうこう)の完成です。
すると「気持ちいいです」という言葉が出てきました。嬉しい出来てきました。

「その気持ちいい状態のまま居て下さいね! 蹴りを入れていいですか?」

「はい。」

バシ!!

「痛くない。」 スマイルも出ました! これは修練してきた方だから分かる世界なのかも知れません。一般の方に蹴りは絶対できません。

一発ですべてを理解して下さいました。さすがです。

「気血が巡り気持ち良く、鋼の様に強い。」站椿功(たんとうこう)の世界です。

站椿功(たんとうこう)は、「立禅 」とも呼ばれています。

「気持ちいい」を味わっている状態がまさにマインドフルネス瞑想。

なかなか呼吸に没頭どころか色々な妄想、情動が頭を巡ります。

余計なことが頭をかすめても答えず、呼吸に戻る。また惑わされても呼吸に戻る。

いつしか今あるがままを捉える。平常心と自然体。

それを日常に持ち込む。

なんと幸せな人生。

なんてね。。

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