マインドフルネスストレス低減法の著者カバット-ジンが、対人関係のストレス対策に合気道を推奨している事は、あまり知られていない。

マインドフルネスストレス低減法の著者カバット-ジン1)が、対人関係のストレス対策に合気道を推奨しているように、武道系の対峙練習の型は、ストレスを現場で受け流す知恵を内包している。

カバット-ジンが推奨しているにも関わらず、世の中にあまり広まっていない理由は、一言で言うなら「難しい」からです。

「難しい」ものは商業主義では敬遠されやすいですが、会得する事ができればストレスともそんなに心配しないで共存、対処できるかも知れません。

合気道は大きく分けて2種類あります。
一つは力とタイミングと関節技の合気道。もう一つは力を使わず相手のエネルギーに調和融合する合気道です。
前者の合気道の方が万人に再現性があります。カバット-ジンは後者の合気道の事を言っていると私は信じています。

スタジオでは、ああでもない、こうでもないと楽しみながら合気を学んでいます。動画は、カバット-ジンが「合気道による訓練」章で書いている4つ目のシナリオに当てはまります。本では手首を掴むことになっていますが、動画では正面から打ってくるパターンです。

動画を解説すると、対峙した段階ですでに自然体が出来ています。相手の攻撃の意思やエネルギーに動じずに、いわば肚を据えて無心で場と調和しています。

次に相手の攻撃のエネルギーを察知して場に溶け込ませて、自分の肉体も相手の肉体に合わせて、攻撃のエネルギーも自分と場に調和融合させると、お互いに動画のように自然な笑顔が出てきます。この境地を著書では「相手の意思には関係なく、あなたは敵ではなく仲間になるのです」と訳されています。


1)(カバット-ジン ジョン,春木豊(訳),マインドフルネスストレス低減法,2007,北大路書房,京都,p239-254.)

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