見出し画像

その笑いをどうか僕に

頑張るやつを笑うやつが1番面白いんだぜ

彼は僕を前に立ち、そう言った

全くその通りだと思うと同時に

自分がやってきた過ちを恥じる

頑張るやつの努力を踏みにじる笑いにはしてないが

あいつの躍進がどうも

悔しくて悔しくて悔しくて

こうすることでしか自分を保てなかったんだ

どうしたって僕は俺になれなくて
悔しさ以上に込み上げる切なさ
やるせなさと共に苦汁を舐めて生きてきた

それなのに彼は僕に言うんだ

だからお前が1番、俺の中では面白いやつなんだぜ

冗談でもあり皮肉でもある
そこに見え隠れする彼の本音を

僕が一瞬でも見抜けていたら

今こうはなっていなかっただろうか

うるせぇよ、悪かったって

なんて軽い言葉で彼の本音を踏みにじった僕は
きっとこの世で1番つまらないやつで

今目の前にぶら下がる君の両の足を
掴んで泣くことしか出来ないんだ

ごめんな、ごめん

僕は彼を笑い
彼は僕を笑った

でもその笑いは一生重なることの無い
種類の違う嘲笑と苦笑

彼は今、笑っていますか

僕を、笑っていますか

どうか笑っていて
僕が彼を笑った種の屑のような笑いを

どうか僕に向けていて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?