見出し画像

何気ない日常


「ねぇねぇ」
「何?」
「いつもありがと」
「何急に?」
「なんとなく」
「ふーん」
「ふーんって何さ」
「他になんて言ったらいいの」
「他には…どういたしまして、とか?」
「なんで上からなのって怒るでしょ」
「まぁ…うん(笑)」
「ほら(笑)」
「でもふーんはないでしょ」
「だってありがとうもアレだし」
「だからって」
「もうわかったって(笑)」
「まぁ確かに逆の立場だったらなんて言えばいいかわからん」
「でしょ」
「うん」
「でも…あれ、なんでこんな話になったんだっけ」
「だから、そっちが…あれ、なんだっけ」
「あー、いつもありがとうだ」
「そうだそうだ」
「なんでそう思ったの」
「なんとなく」
「いやなんとなくでも理由はあるでしょ、きっかけとか」
「いや、ないんだって」
「あるでしょ、洗濯物見たとか」
「いや、違う。だって今日は畳んだのこっち」
「あ、そっか」
「そーだよ」
「じゃあほんとになんとなくなの?」
「なんとなくだよ」
「ふーん」
「あ、またふーん」
「だってふーんしか言えないってやっぱり」
「確かに(笑)1度流れが変わってもやっぱりふーんだったね」
「ありがとうはね、思ってもらえるだけで嬉しいもんですよ」
「ですな」
「だから、わざわざ言ってもらって何かを言う必要は無いの」
「そうだね」
「むしろいつもありがとう」
「何急に」
「別に、言いたくなっただけだよ」
「そんな、急に?」
「なんとなくだよ」
「ふーん…あっ」
「ははっエンドレスだわ」

テレビのリモコンを取る。
そのまま電源をつけて、2人の好きな録画番組を観る。

そんな日常。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?