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ネイルをつけたヒーローの夢


初めてネイルサロンでネイルをした日の夜、夢を見た。

「助けて!」という悲鳴が聞こえて駆けつける私。
敵と思しき全身黒ずくめの男とそいつに襲われていると思しき女の子の間に立ち、手を天に掲げる。

シャキーンと長く伸びる爪。
ただし親指と人差し指と中指だけ。
薬指と小指の爪は伸びなかった。

「なんだお前は」という名前を聞いてくれる優しい敵の好意に甘え、名乗る私。
「ネイルマンZ!!」
とんでもなくダサい夢の私のセンスに脱帽。

「何がZだ!これでも喰らえ!」
当然のツッコミをもらい、男がシティーハンター冴羽獠さながらのパイソンを私に向けて発砲した。

飛んでくる銃弾。
フッと笑う私。

スッと音を消して銃弾は私の指の間に収まっていた。
そう、指の間。爪じゃなく。
つまり、薬指と小指の間。

いや、そこでとるんかーい
普通長い爪で弾くとかじゃないのか!
と思ったけど恐らく爪が折れるのだろうという解釈で心を落ち着ける。

「何っ!?」
「お返しするわ」

指で挟んだ銃弾をそのまま相手に飛ばし、飛んだ銃弾は敵の脳天を突き破った。

いや、強ー、そしてグローい

敵は倒れた。

「もう大丈夫…」

と後ろを向こうとしたその時、腹部に激痛が走った。

「な…」

腹部を見ると、後ろから刺さる長い何か。

「油断したね、ネイルマンZ」

助けてと叫んでいた女の子の爪が伸び、私の腹部を貫いていたのだ。

「貴様…一体…」

私は両膝を着いて地面に倒れ込んだ。

「私…私はネイルマンA。あんたの次に作られた、ネイル界のヒーローよ!あんたの地位、私が頂く!」

いや、Aに戻るんかい…

と思ったその時に目が覚めた。
なんでこんなくだらない夢を見たかなぁと思って、爪を見ると、薬指と小指のネイルが取れていた。

ケチってネイルチップにするんじゃなかった。
てか、取れやすすぎるだろ。

開店したら、昨日のサロンに文句を言ってやろうと思った。

夢のように本当に爪が伸びてなくて良かった。
店に乗り込んでクレームつけちゃうところだったもん。

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