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夜の独り言


私は睡眠が嫌い

寝たら起きないといけないから

当たり前のことを言っていると思うでしょ
でも寝なければ夜はずっと続くのよ

もちろん朝は来るわ
でも寝なければ、朝が来るのが遅くなるの

愛おしい夜が長く長く続くのよ

やりたいことは沢山ある
でも時間が足りないなんて
そんなのは言い訳よ

時間は無限にある
それは貴方が生きている限り

眠らなければいいの
眠りを知らない体になりたいわ

眠れる森の美女も真っ青の
そんな女になりたいわ

王子様のキスで目覚めたあなたには
こんなにも独りの夜が愛おしいことは分からないでしょうね

上を見上げれば星が
下を見れば風に唄う草が

私の夜を美しくする

眠くないの寝たくないわ
永遠に夜であればいいと思うの

寝静まった夜の喧騒が永遠に起きなければいい

眠りたくない
起きなければならないから

それでも私に眠気はやってくる

私は欠伸をして部屋に戻る

眠りたくないのに
それでもベッドはどうしてこんなにも私を
優しく包み込んでくれるのかしら

愛おしい夜に別れを告げて
名残惜しむように瞼を閉じる

さよなら夜、また明日

これは朝が来ない世界より
夜が来ない世界が怖い一人の少女の
眠る前の独り言

きっとそれはどこかに
夜を嫌う人を慈しむ
そんな少女の独り言

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