藤田田(でん)氏の著作、「ユダヤの商法」と「勝てば官軍」を読んだ感想
日本マクドナルドの創設者であり、若き日の孫正義氏に「米国ではITを学んできなさい」と助言を行った故・藤田田氏のベストセラー2冊を読んだ。
結論、あまりにも情緒的・感情的な記述が多く、また「欧米は凄いのに日本は全くダメ」といった西高東低論が次々と展開され、中には差別的発言や品のない表現が多く、後味の悪い著作であったことは否めない。
だが、この方がいなければ孫正義氏は米国でITでの起業をせず、ソフトバンクさえも誕生していなかった可能性がある。著作の内容にはほぼ感銘を受けなかったが、孫正義氏に貴重な助言を行い、日本のIT黎明期が拓かれるきっかけを与えてくれた、という一点においてのみこの著者を尊敬している。
なお、マクドナルドについては人生でほぼ食べたことがないのでありがたみがわからない。
<勝てば官軍の感想>
人間、年をとると思想や思考が極端になるのだということと、まさに題名の通り「勝てば官軍」で、成功したらなんとでも好き放題言えてしまうのだということがわかる本が、「勝てば官軍」である。
「データと論理に基づく判断を日本人は全くしていない」と言いながら自分は結構直感的・情緒的な判断でマクドナルドの出店戦略を考えていたり、「ビジネスは女と口を狙え」というこれまたユダヤ人の誰から聞いたのかわからない受け売りをそのまま自身のビジネスに応用しているところ、欧米礼賛・ユダヤ人礼賛思考が相当に感じられる一冊である。
一方で、ところどころに商売のセンス、アイデアマンとしてのセンスが光る記述があり、さらにそれを実行するほどの実行力もある。
概して記載内容は品格がなく、これが東京大学法学部を出た人間の思考なのか、と少し驚愕する部分はあるが、著者には稼ぐセンスが相当にあるということが理解できた。
<ユダヤの商法の感想>
これも「勝てば官軍」と同様、自身が考える成功の法則が並んでいる。その中でも自分が納得できたのは下記の太字部分だった。その他はあまりにも感覚論的な記述ばかりなので、実ビジネスには役に立たなそう。
この本がなぜ1970年代の日本でベストセラーとなり得たのか不思議なくらい、バイアスと事実無根の虚言に満ちた作品である。
77:22の宇宙法則を認識せよ
金持ちから儲けさせてもらえ
女を狙え
口を狙え
判断の基礎は外国語だ
必ずメモを取れ
勝負はタイミングで決まる
一手先を読め
金持ちから流行させろ
文明の落差を売れ
休息は必ずとれ
恥垢をとって病気を追放しよう
ボインは赤ちゃんのためにあるんやでえ
時間の使い方を考えろ
寿命を計算せよ