【マシュマロ】一方的な好意を意味するパラソーシャルが推し活をベースとする現代のエンタメ産業を支えている! + フェミニズムを体系的に学べる本はあるのだろうか?
マシュマロに質問を頂きました。
ありがとうございます!
一方的な好意を意味するパラソーシャルが推し活をベースとする現代のエンタメ産業を支えているとわたしは思っています。
インターネットの普及による趣味の多様化で、国民的スターが生まれなくなって久しいですが、エンタメ産業の市場規模は右肩上がりを続けています。その背景にはクリエイターが有名じゃなくても十分に稼げる環境の整備が関係していると言われています。
具体的にはSNSによる集客、YouTubeやTikTokの収益化、投げ銭システムの活用など。その是非はともかく、ユーザーが好きな相手に直接課金できるようになったことは革命的で、好きになってもらうことの付加価値が爆増しています。
単純計算で、月に数万円課金してくれるファンが10人もいれば、アイドルも芸人も歌手も役者も、バイトせずに食べていけるわけです。YouTuberやVtuberも、登録者数に関係なく直接課金してくれるファンがいれば生活できます。絵師や作家も同様で、あらゆるクリエイターの活動がブレイクしなくても金銭的に成り立つようになりました。
そうなると課金してもらえるようにそれぞれ頑張るのは必然。コンテンツはユーザーの好意を集める方向へと知らず知らず流れていきます。
刹那的な消費を前提としているネットコンテンツの場合、それは可処分時間の奪い合いとなり、毎日投稿や定期生配信という形で顕現します。自分を見てもらうことをユーザーの習慣にすることで日常をハックするのです。内容としても親近感を持ってもらうため、プライベート情報を開示していくようになります。
結果、ユーザーは家族や友だちよりも長く推しの顔を見て、声を聞き、、思想を反芻するので好意を抱くのは当たり前というか、そうでなくては自分の行動を正当化できません。一方、クリエイター側にとってそれは営業活動。課金や登録者、閲覧数、いいねの数など常に見返りを求めています。
従って、現代のエンタメ産業において、ユーザーはクリエイターから非対称な関係を強いられているわけです。これを健全と呼べるかどうか? たぶん、みんな不健全だと思ってますよね笑
Chilla’s Artのゲーム『Parasocial』が視聴者から一方的な好意を寄せられるVtuberの恐怖を描き、大ヒットしたのはその表れで、近々、推し活バブルは破綻するような気はします。
フェミニズムを体系的にまとめた本って、案外、ないんですよね。恐らく、フェミニズムって一枚岩ではないので、時期によっても人にとっても、目指しているものが違っているため、正史のようなものが決めづらいからなんだと思います。
例えば、フェミニストとして有名な人物だけど、女の幸せは結婚にあると言っていた点でフェミニストとして扱うのはいかがなものか? 暴力行為を肯定するのはいかがなものか? みたいな議論がなされがちなのです。
個人的にはヘレン・ルイス『むずかしい女性が変えてきた――あたらしいフェミニズム史』はそういうフェミニストたちから問題視されているフェミニストこそ取り上げているという点でオススメですが、400ページを超えるので初心者向けではありません。
そういう意味では体系的でないけれど、現代のフェミニズム的価値観を踏まえたエッセイのような本の方が読みやすく、ざっくり全体像が見えてくるような気がします。
過去に記事で取り上げたこともあるのですが、ガブリエル・ブレア『射精責任』は強熱なタイトル通り、責任という観点からジェンダー格差を捉えているのでわかりやすいです。
また、クリステン・R・ゴドシー『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』は経済格差がジェンダー格差を固定化していく点を指摘していて面白いです。
逆に、立場の弱い男性はどうするんだ? という問題については西井開『 「非モテ」からはじめる男性学』が参考になります。モテないという現象が男性のホモソーシャルで発生するもので、女性から好かれないことよりも、女性から好かれないダメな男と仲間から思われるのがツラいという競争原理の苦しみが浮き彫りとなっています。
これらはフェミニズムを直接的に扱った本ではありませんが、フェミニズムの本質である社会的弱者の連帯と改革をベースに書かれているので、結果的にフェミニズム共通の理念みたいなものがつかめると思います!
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