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【料理エッセイ】立川晴の輔 独演会で『山号寺号』を聞いたので、初詣は成田山新勝寺へ行き、川豊のうなぎを食べて、たっちゃん漬けをお土産に買ったよ

 去年のクリスマス、立川晴の輔 独演会に行ってきた。

 いまや言わずも知れた笑点メンバー。神奈川出身のわたしはTVKで放送していた『キンシオ』という番組で立川志の吉時代の晴の輔を知った。高校生のときだった。

 いま一緒に暮らしているパートナーは中学校の同級生なんだけど、その人が立川志の吉ファンで当時から独演会に行っていたので、何度かついて行ったこともある。まさか、笑点メンバーに入り、全国的な有名人になってしまうとは! 新メンバー発表のニュースを見て、めちゃくちゃ驚いた。

 だから、去年、また独演会に行きたいねとパートナーと話し合っていた。でも、かつては簡単に取れたチケットも途端に取れなくなってしまって、ギリギリ、クリスマスの夜になってしまった。

 パートナーは去年も独演会に行っているけど、わたしは数年ぶり。さすがは時代の人になっただけあって、オーラがあふれ出ていた。かつ、バラエティは最前線で戦っているからだろう。トークがキレキレになっていた。

 加えて、落語も面白くなっていて、噺家にとって「売れる」って重要なんだなぁと思い知らされた。

 その中でも『山号寺号』という駄洒落ネタの構成が見事だった。枕の部分で小話を短いものから長いものへと変化していく様を見せ、ところどころ、ダジャレのくだらなさを声のトーンと表情で示すのだけど、そのすべてがハマっていたので本ネタの解像度が高まりまくっていた。

 仲入りの後は年末だし、立川流だし、『芝浜』かと思ったら、去年もやっているからということで『茶の湯』だった。

 ただ、これもまた凄かった。なにが凄いって顔芸。隠居が知ったかぶりで点けた毒みたいなお茶を飲んだ面々の苦渋に満ちた百面相の雄弁なこと。同じネタをやっているところを見たことがあるけど、明らかにパワーアップしていた。テレビで表情筋を鍛えている蓄積を垣間見た気がする。

 そんなわけでクリスマスは立川志の輔 独演会を堪能したわたしたち。『山号寺号』の影響で、〇〇山〇〇寺という響きに取り憑かれたせいだろう。初詣は成田山新勝寺に行ってきた。

 さすがの混雑っぷりに圧倒されつつ、お参りし、本当のメインイベントであるうなぎ屋さんへレッツゴーした。

 老舗の川豊はもちろん人気。本店は1時間半待ちというから諦めようかと思ったら、臨時店舗を出しているとかで、そっちは待ち時間なしというけ向かうことにした。

 いわゆる屋台みたいな感じ。本店で食べるのとは違うかもしれないが、一月一日は特別なんだし、別にいいよねって受け入れた。

 もちろん、美味しかった。正月から贅沢できると考えれば大満足。肝の生姜煮と骨せんべいも注文し、自販機で売っていたプレミアムモルツで乾杯した。

 お土産には梅宮辰夫のたっちゃん漬け。

 むかし、よくダウンタウンが高過ぎるとバカにしていたけど、これ、芸能人の商品と思えないほど実は最強に美味しい。正直、日本に数多存在する漬物の中でわたしは一番好きである。

 むかしは観光地のいたるところに出店し、たっちゃんの人形が目障りと言われたりもしたけれど、いまじゃすっかりつぶれまくって、関東だと3店舗しか残っていない。通販ページも404エラーが表示される始末で人知れずレア商品と成り果てている。定期的にたっちゃん漬けを食べたくなるわたしはそのことを熟知しているぐらいには鬼リピーター。成田へ行くたび、爆買いしている。

 当然、夕飯は年末に用意したなんちゃっておせちとたっちゃん漬けでご飯を食べた。

 たっちゃん、やっぱり美味しいよ。

 大学生の頃、よく行く定食屋さんで梅宮辰夫さんを見かけてことがある。常連だったらしく、映画研究会の後輩たちは「梅宮さん、『仁義なき戦い』最高でした!」と声をかけて喜んでもらったとか。

 それを聞いて、わたしも「たっちゃん漬け最高でした!」と伝えればよかったと後悔したものである。

 おやっさん、わしの目が暗いうちはたっちゃん漬けやらしまへんで……

 ごぼうの入ったきゅうりをバリボリ噛み締めながら、仁義を貫く決意を固め、2025年が始まった。




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