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心温まる本ピックアップ|『働く男』『レインツリーの国』など

日々忙しくしているみなさん。読書で穏やかな気持ちになりたいと思いませんか。心温まりそうな本をピックアップしてみました。

レインツリーの国 / 有川浩

《あらすじ》会ったこともないキミに恋をした。メールから始まる二人の物語。恋愛小説の、新しいスタンダード。きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった

《感想》これまでサスペンスばかりだったので刺激のなさそうな本を読めるか心配でしたが、杞憂でした。最後まで穏やかな気持ちで読めました。ただ、あらすじの「かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった」の”理由”が思いのほか早く明かされて、もう少しあとに引きずっていたら良かったな。


博士の愛した数式 / 小川洋子

《あらすじ》[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。

新潮社(https://www.shinchosha.co.jp/book/121523/)

《感想》こちらかなり好き。終始穏やかに進みますが、つまらないとか飽きはこない。単体で感想を記事にしているので、そちらも良ければ覗いてみてください(『博士の愛した数式』を読んで)。メインの登場人物3人は全員穏やかで、それぞれが持つ愛情が作品を通じて全面に出ていました。ネガティブな言動がそれほど出てこないのも魅力です。ひたすら穏やかな空気が続きます。日々忙殺されている人に読んでほしい。


使いみちのない風景 / 村上春樹

《概要》ふと甦る鮮烈な風景、その使いみちを僕らは知らない――作家と写真家が紡ぐ失われた風景の束の間の記憶。文庫版新収録の2エッセイ、カラー写真58点。

中央公論新社(https://www.chuko.co.jp/bunko/1998/08/203210.html)

《感想》こちらもすごく好き。村上さんの小説は賛否が分かれるとどこかで聞いた気がします。そして私も昔読んだ「螢・納屋を焼く・その他の短編」は理解できなくて、ずっと積読しています。映画にもなった「ドライブ・マイ・カー」が収録されている短編集「女のいない男たち」は、半分くらい上の空で読んでいました。

村上さんの話、苦手っていうわけではなくて、とっつきづらい印象があります。けれど著名な方なので何かしら知りたいと思い、ふと目に止まった「使いみちのない風景」を買ってみました。これは大当たり。読むと普段の何気ない生活や過去を振り返ることができます。

「使いみちのない風景」と題して書くほど好きです。本作で一気に村上さんの文章が好きになりました。使いみちのない風景…これからの人生でも増やしていきたいものです。


働く男 / 星野源

《概要》働きすぎのあなたへ。働かなさすぎのあなたへ。音楽家、俳優、文筆家とさまざまな顔を持つ星野源が、過剰に働いていた時期の自らの仕事を解説した一冊。映画連載エッセイ、自作曲解説、手書きコード付き歌詞、出演作の裏側ほか、「ものづくり=仕事」への想いをぶちまける。文庫化にあたり、「働く」ことについて現在の気持ちをつづった書き下ろしのまえがき、芥川賞作家となったピース・又吉直樹との「働く男」同士対談を特別収録。

文春文庫(https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167904524)

《感想》テレビをあまり見ない私は、星野源さんのことをほとんど知りませんでした。恋ダンス流行ったな、ガッキーと結婚したな、くらい。清潔感があって、丁寧そうで…そんな印象。

ですが、本作を読んで印象がガラッと変わりました。友達にいたら楽しそう。ちょっとひねくれたところも良い。しょうもないなと思うことから、普段言葉にできない曖昧な感覚まで、人間味に溢れるエピソードが盛り沢山でした。オードリー若林のエッセイ(「ナナメの夕暮れ」「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」)とかを好きな人は、こちらも気に入りそう。


ラオスにいったい何があるというんですか? / 村上春樹

《概要》旅をしている人にだけ見えてくる風景がある。そこには特別な光があり、特別な風が吹いている――ボストンの小径とボールパーク、アイスランドの自然、「ノルウェイの森」を書いたギリシャの島、フィンランドの不思議なバー、ラオスの早朝の僧侶たち、ポートランドの美食やトスカナのワイン、そして熊本の町と人びと――旅の魅力を描き尽くす、村上春樹、待望の紀行文集。「熊本再訪」初収録。

文春文庫(https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167910563)

《感想》またまた読みました、村上さんのエッセイ。こちら紀行文集です。話のところどころに小話が挟んであって読み応えがあります。アメリカ、アイスランド、イタリア、ラオス、フィンランド、そして熊本。現地の写真もあって、まるで旅をしている気持ちになれます。本当に。

村上さんの本を読みたいけれどとっつきづらい、て人は、「使いみちのない風景」か「ラオスにいったい何があるというんですか?」を手に取ってみてほしい。


うずまき猫のみつけかた / 村上春樹

《あらすじ》アメリカのケンブリッジに住んだ1993年から1995年にかけての滞在記。ボストン・マラソンに向けて昂揚していく街の表情、「猫の喜ぶビデオ」の驚くべき効果、年末に車が盗まれて困り果てた話、等々なごやか(?)なエピソードの中に、追悼特集で報じられたニクソン元大統領の意外な一面や、帰国後訪れた震災後の神戸の光景がキラリと光る。水丸画伯と陽子夫人が絵と写真で参加した絵日記風エッセイ集。

新潮社(https://www.shinchosha.co.jp/book/100146/)

《感想》こちら読了していません…が、面白かったのでご紹介。読んでいない理由はつまらないとかではなく、他に優先したいことがあったから。図書館で借りていた本ということもあり、一旦返却して、再度借りるつもりです。

『うずまき猫のみつけかた』というタイトルですが、内容はアメリカ滞在記。”猫”につられてまんまと手に取りましたが、良かった。村上さんの作品は過去にいくつかトライしていて、けれど理解できないものが多くて、くやしながらに諦めていました。

本作はエッセイで、かなり読みやすい。村上さんに苦手意識があっても、これなら楽しく読める。写真やイラストも付いていて、ほっこりします。


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