『発達障害グレーゾーンの部下たち』読了
タイトルの本は、『発達障害グレーゾーンの部下たち』(舟木彩乃著・SB新書刊)という本です。
昨今、マスコミなどで話題になることが多い「発達障害」、それも、そのような診断名が医師よりなされない、「発達障害」より状態は良いが、「定型発達」(健常者)未満のボーダーの方について、「発達障害グレーゾーン」と名付け、そのような方の置かれた困難な状況(主に“生きづらさ”として現れる。)の具体的な典型事例を記載したものです。
「発達障害」という言葉は、最近、本当によく聞き、アメリカのトランプ政権に大きく食い込んだイーロン・マスク氏も、自身のことを、発達障害の一類型である「アスペルガー症候群」だと公表しているようです。
氏は、ものすごい勉強家であると言われ、言わずもがなものすごい知性の持ち主ですが、非常に奇矯な行動でも知られ、発達障害というのも、推して知るべし、といった感触があります。
発達障害の人には、しばしば、ものすごい知能の持ち主がいるとされ、過去の偉人伝など(例:実業家、学者、芸術家)からも、この人は発達障害だったのではないか、と推察されることがあるそうです。
先の本では、みなさんの職場などにもこんな人はいませんか、と問いかけています。
・場の空気や雰囲気を読むことが苦手。
・表情や声の抑揚が乏しい。
・ルーティンを乱されると不快感を表す。
・悪意はなさそうなのに、よく人を怒らせている。
・音にストレスを感じやすい。
これらは、「発達障害」に見られる特徴の一部なんだそうです。発達障害は、脳のさまざまな機能の発達に関する障害のことを指し、先天的(生まれつき)なものとされています。
発達障害には、「自閉症スペクトラム障害:ASD(Autism Spectrum Disorder)」や「注意欠如/多動性障害:ADHD(Attention-Defect/Hyperactivity Disorder)」があり、先ほどの特徴は、ASDとADHDに見られるそれぞれの特徴を挙げたもの(だそう)です。
先に挙げた「発達障害グレーゾーン」の方は、「発達障害」という診断が医師からなされ、障害者手帳を持つまでには至らないが、「発達障害の“傾向”がある」と、医師から指摘を受けるような人のことを言います。
全般的なASDやADHDの特性はそれぞれ以下のとおりです。
【自閉症スペクトラム症(ASD)の特性】
・言葉や視線、表情、身振りなどで他人とのコミュニケーションをとるのが苦手。
・他人に対する興味が薄く、相手の気持ちや状況を理解することが苦手。
・特定のことに強い関心を持っていたり、こだわりが強かったりする。
・音や匂いなど感覚の過敏さを持ち合わせている場合がある。
【注意欠如・多動症(ADHD)の特性】
・中核症状に遂行機能障害(例:企画書どおりに仕事を実行することができない)がある。
・「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性がある。
一方、以下のようなことは、それぞれ得意とされています。
【自閉症スペクトラム症(ASD)の得意な面】
・ルールを守る真面目さや細やかさがある。
・行動に裏表がなく、誠実。
・視覚的又は聴覚的な記憶力が優れている。
・特定分野に関する知識が豊富。
・一つのことに集中してコツコツと行うことができる。
【注意欠如・多動症(ADHD)の得意な面】
・発想力や独創性に富んでいる。
・好奇心が強い。
・行動力や決断力がある。
・興味のあることには抜群の集中力を発揮する。
著書の中では、「発達障害グレーゾーン」の方は、残念ながら、管理職適性は低い一方で、得意なことに目を向けて、専門性などを発揮できる分野を担当するのが良いと指摘しています。思い当たるフシもあるのでは…。