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「こうしたらこうなる」⇒一手先を読む
私の大学時代の友人で、留年を相当繰り返している人がいました。
その友人が高校時代に関わった友人について、頭に来たからといって、石を投げるヤツがいたが、と前置きして、「石を投げたら、相手がケガするかも、という想像が及ばないんだよね。」と言っていたのを、時々、思い出します。
ほんの小さなエピソードですが、確かに、「頭に来た」⇒「石を投げる」⇒「相手がケガをする」⇒「自分が傷害罪で逮捕される」みたいな、小学生でもわかるような一連の流れが理解できない人がいるんだな、と結構、ビックリして聞いていた思い出があります。
私が話を聞いた友人は、穏やかな人でしたが、時に計算外の行動も取るような人で、大学を(何とか)卒業して、入った上場企業も、数年で辞め、職を転々として、フリーターのような生活をしていましたから、友人が関わったというそのまた友人を、単に非難するのは、ちょっと言えないんじゃないかなぁ~と思っていました。
その友人も、(悔い改めたのか、)定職に就いて、結婚して子供ができたとの年賀状が来ましたが、その年賀状も、その後、何年かで、来なくなってしまいました。
無事、過ごしているといいんですがね。
私も、ちゃんとできているわけではないので、エラそうなことは言えないのですが、「自分の起こした行動によって、次、どのような展開になるのか」くらいの想像力は持ちたいなと、常々、考えています。
かつて、太平洋戦争中、帝国海軍の零式戦闘機(ゼロ戦)の名パイロットだった方の手記を読んだことがありますが、いわゆる撃墜させられなかったパイロットというのは、研修で習ったような“まっすぐに飛ぶ”なんて(バカな)ことはしなかったと言います。
まっすぐに飛んでいたら、相手(敵機)に飛行する軌道を簡単に読まれてしまい、簡単に撃墜されてしまうからです。
だから、うねうねに飛ぶんだそうですが、さもありなんですね。
ちなみに、あの昆虫のチョウチョが、ゆっくりした速度ながら、なかなかに捕まえられないのは、チョウチョの飛ぶ軌道が読めないために、チョウチョを捕食する鳥などに捕まえられにくいように進化した末のようです。
ゼロ戦パイロットの話は続きます。
ゼロ戦は、敵機から打たれると、パイロットを防護するものがほとんどないので、簡単に炎上して、墜落しますが、その分、身軽なので、上昇・降下・回転性能が敵機(米軍機)より、良かったようなんです。
それで、腕に覚えのあるゼロ戦パイロットは、敵機の行く“先の軌道上”に、20mm機関砲をバババッと撃ち込むのです。
すると、敵機は、そのまま先に行くと、撃たれると思って、機体を上昇し始めます。
そうなると、ゼロ戦は、上昇・降下・回転性能が、敵機より高いですから、回転する飛行戦に持ち込めることになり、“勝てた”というのですね。
私は、この「敵機の行く“先の軌道上”に、20mm機関砲を撃ち込む」というエピソードが大変気に入っているのです。
つまり、これにより、敵機が撃たれまいとして、機体を上昇し始めて、自機との回転戦に持ち込めて有利になる、という“次の一手”を見越した頭脳戦であることが、スゴい気に入っているのです。
先の大学時代の友人の関わった友人のように、次の展開がどうなるのかを何も考えずに、闇雲に、かつ、衝動的に行動するのとは、全く反対の手法だなと感じるのですね。
プロの棋士のように、何十手も先を読めと言っているのではないのです。「こうしたらこうなる」という次の一手くらい読んで行動しようと、私は自分自身を諫めているのです。