見出し画像

内容項目「個性の伸長」(第5学年及び第6学年)

前回の「くずれ落ちただんボール箱」に引き続き、今回も5年生の教材で授業づくりをしていきます。
授業づくりで使用する教材は、Gakken新版みんなの道徳 5から「日本の『漫画の神様』」です。
今回の記事では、内容項目のA:主として自分自身に関すること「個性の伸長」について自分なりに考えたことをまとめていきます。

内容項目について

「日本の『漫画の神様』」で学ぶ内容項目は、A:主として自分自身に関すること「個性の伸長」です。
学習指導要領解説 特別の教科道徳編「個性の伸長」第5学年及び第6学年では、以下のように示されています。

自分の特徴を知って、短所を改め長所を伸ばすこと。

第1学年から第4学年のものと比較すると、第4学年までは「自分の特徴に気付く」ことになっていますが第5学年からは「自分の特徴を知る」になっていますね。

「気付く」と「知る」

まずはこれらの言葉をgoo辞書で調べてみました。

【気付く】
①それまで気に留めていなかったところに注意が向いて、物事の存在や状態を知る。
 気がつく。
(②は省略)

【知る】
①物事の存在・発生などを確かにそうだと認める。認識する。
②気づく。感じとる。
③物事の状態・内容・価値などを理解する。把握する。さとる。
(④以降は省略)

読み比べてみるとどちらも似通っていますね。
ここで2つの違いについて自分なりの捉えを「個性の伸長」に当てはめてまとめてみます。

気付く
「今まで知らなかった、感知していなかった自分の長所や短所を認識する」

知る
「すでに知っている、感知している自分の長所や短所について、どのような時に発揮されるのか、どのようなメリットがあるのか、反対にどのようなデメリットがあるのかを理解する」

ということだと考えます。

発達段階的に高学年はそれまでの学年に比べ、メタ認知能力が高まっています。
低学年の頃のような万能感はかなり薄まってきているのではないでしょうか。
「個性の伸長」第5学年及び第6学年においては、自分の長所や短所を少し客観的な立場から見つめ、その良さや問題点を理解することを通して、より自分らしい生き方に対する考えを深めていくことできるようにしていくことが大切なのだと考えます。

「短所を改める」とは

「個性の伸長」について考えていく中で気になったのが「短所を改めるとはどういうことなのだろうか」ということです。
(1)内容項目の概要には、長所を生かして伸ばしていくことの大切さとともに、短所については以下のように書かれています。

…短所についてもしっかりと受け止め、努力によって望ましい方向へ改め、自分のよさを一層生かしさらにそれを伸ばしていけるように配慮することが大切である。

ぼくは「短所を改める」という言葉から、「短所をなくす」というイメージが思い浮かびましたがみなさんはどうですか?
しかし、「自分の短所はいけないんだ。なくさなきゃいけないんだ」と考えるとしんどいなぁと思います。
もし「なくす」以外の道があるとしたら何が思い浮かびますか?

短所を…
・減らす
・目立たなくする
・工夫してデメリットが表れない、表れにくいようにする
・捉え方を変える(リフレーミング)

似たようなところもありますが、ぼくが思いついたのはこんなところです。

自分の短所によって人に迷惑をかけているにも関わらず「そのままでいい」とは思いません。
けれど自分が短所だと認識している部分を「ダメなところだ」「なくさなければならない」となるのはしんどくなりそうです。
だから、「捉え方を変えると長所にもなり得る」「こんな工夫をすれば迷惑をかけることはなさそうだ」と改める選択肢をもてたら、自分の短所に対して過剰にガッカリしなくてすむかもしれません。

「長所を生かす」「長所を伸ばす」

(1)内容項目の概要にこのようなことが書かれていました。

個性の伸長は、自分のよさを生かし更にそれを伸ばし、自分らしさを発揮しながら調和のとれた自己を形成していくことである。

ここで言う「よさ」を「長所」とするならば、長所を生かし更にその長所を伸ばすことが個性の伸長であると言い換えることができます。
「長所を生かす」「長所を伸ばす」とはどのようなことなのでしょうか。

【生かす/活かす】
③有効に使う。活用する。

【伸ばす/延ばす】
③勢力や能力などを大きくしたり、豊かにしたりする。

goo辞書から「個性の伸長」に関わりそうな部分だけピックアップしました。

以上のことから、自分の長所を理解したら、その長所によって自分や人の役に立てることに使うことが生かす。
自分や人の役に立つように長所を発揮することで、よりその長所を発揮する範囲を広げたり効果を高めたりしていくことが伸ばす。

というように考えました。

こう考えてみると、自分の長所を生かせる場を見つけさえすればあとは勝手に伸びていくような気もします。

おわりに

「個性の伸長」についていろいろ考えてみましたが、自分の長所や短所って案外見つけるのが難しいですよね。
長所と思っていたことが周りから見れば実は短所だと思われていたり、その逆もあったり。
自分が所属しているコミュニティやその文化によっても、自分の個性が長所となって表れるか短所となって表れるかは違いますね。

これから教材を読んでいきますが、授業づくりの際には教材の特性も考慮しつつ子どもたちが自分の個性を肯定的に受け止められるようにしていきたいなぁと思います。


ぶっく📚

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集