海遊びのリスク管理🐳
その日は、学童の週末イベントで、小学生20名とスタッフ5名で海遊びをする仕事だった。
天気は曇り。
北風が吹いていて、すごく寒い。
風は風速5メートルくらいで、海には、うねり&白波があり海人間の私でさえ(私だからこそ?)「うっわぁ…今日の波、なんか荒いけん遊ぶの怖いな…」と思うくらいだった。
そんな私とは裏腹に、元気いっぱいの小学生たちは、躊躇なく、波打ち際のギリギリまで近づき、波から走って逃げる遊びを楽しんでいる。
遊んでいる子ども達の目はキラキラしていて、かなり楽しそうだが、見守る私はドキドキして一瞬たりとも目が離せない。
「てか、この子たち、大波が怖くないの?」という素朴な疑問が湧いて、考えてみた。
もしかして、子ども達は、海遊びをすることには〝慣れている〟けど、海で〝怖い体験〟をしたことはないのでは?
そこで、小学生の男の子に話しかけてみた。
私「今日さ、波大きいよね〜!」
小学生「うん、大きい!」
私「〇〇くんは、こんな大きい波見たことあった?」
小学生「初めて見た!」
私「そっかぁ。大きくて迫力満点だよね〜!ちなみにさ〇〇くんは、この大きい波を見て〝カッコイイなぁ!すごいなぁ!〟って思った?それとも、〝ちょっと怖いなぁ〟って思った?」
小学生「えー全然怖くない!カッコイイと思った!」
私「なるほど!?!?!?!?!?!」
驚いた。たまげた。マジかよ!って思った。
海のある町で育ち、海の怖さを幼い頃から耳にタコができるほど聞かされ、体験していた私は、大波を見て〝全然怖くない!〟という感覚がありえなかった。
だからと言って、楽しんでる子ども達に対して、海の怖さを言葉で説明したり、遊びを制限するってナンセンス。
とにかく今は、楽しんでいる子ども達の遊びを保障しつつ、起こりうる全てのリスクに対して、一つひとつ解決策を頭でシュミレーションし、何かあったら、すぐ助けられるように、一瞬たりとも目を離さず、楽しさと危なさの割合を見て、声を掛け、見守るしかない。
結局、海遊びでの怪我は1つもなく、無事終わった。
子ども達は、大波を初めて間近で感じ、海の迫力を味わい、すごく楽しい1日だったようだ。
私は、いつも以上に、疲れた1日だった。
私は、これまで、
海で溺れたことがある。
海で何度も怪我をしたことがある。
荒波にもまれて、カヌーが沈没したことがある。
海の楽しさも知ってるけど、海が怖いのも知ってる。
だからこそ、海遊びの怖さを知らない、体験したことがない人の気持ちが分からないのだ。
「そろそろ危ないかも…」の感覚がズレてることに気付けたことは、今日1番の学びだった。
私の夢は【海遊びの楽しさを伝えること】だけど、それを叶えるためには【海遊びの怖さから守ること】がすごく大切だと思った。
海遊びのリスク管理!
言葉だけで説明し「危ないよ」と子どもの遊びを止め、経験させないのではなく、スタッフ間でリスクを想定し、危なさを理解した上で、最低限のルールを伝えることが〝海遊びの楽しさ〟を削らないポイントだなと思った。
※海での最低限のルールとは:ライフジャケットを着る。マリンシューズを履く。大人が見えないところで遊ばない。など
知らない人と知ってる人。
知ってるからこそ、分からない感覚。
知らない人のことを知ることって大切なんだな。