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#海での時間

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人気の記事一覧

勇気を持って作ってみたら、最高峰のスープが出来上がった。 【レシピ-船厨】

 世界中のあちらこちらにはローカルフードなどと呼ばれるものがありますが、最もわかりやすいのはスープかもしれません。タイといえばトムヤンクン、フランスはブイヤベース、北米東海岸のクラムチャウダー、イタリアのミネストローネ。中国のフカヒレスープも忘れてはなりません。あまり知られていないと思いますが、パナマにはサンコーチョというスープがあって……唐突でしたが、これも美味い。  ここにざっと書いたスープはすべて魚介を使っていますね。海ってすごい。  日本の味噌汁も忘れてはなりませ

海と釣りの魅力は人から人へ、親から子へ。 【社員紹介- 私が海を愛する理由】

 「きた!」  魚のアタリがあったようです。ルアーをキャストしだしてから30分ほど経っていたでしょうか。ロッドとリールを操りながら丁寧に魚を寄せてくると、元気なイナダの姿が見えました。浜名湖にも外海から青物が入ってくるのですね。  そういえば、マリーナでタモ網を借りつもりだったのに、すっかり忘れて出港してしまいました。仕方が無いのでイナダは海から引っこ抜いてキャッチ。  「短い時間でしたが、取材で釣れたので良かったです」  きれいな魚体を手に、和田源太さんはとても満足そうです

マグロは時速150キロで泳ぐ。でも、いったいどうやって? 【海の博物誌】

 ずいぶんと前の話ですが『マグロは時速150キロで泳ぐ』という本が話題になったことがあります。この本のタイトルから想像できる通り、マグロは泳ぎが達者です。また、マグロに限らずほとんどの回遊魚はみんな速い。  マグロを例にすると、体系は紡錘形で断面はほとんど円状になっています。そして身体の最も太い部分が中心よりやや後方に位置しています。これは層流翼形といい、これにより泳ぐ際に起こる乱流を防ぎます。  また、身体の対面はぬるぬるとした粘液に覆われています。これは、水の抵抗をより

海が育んだ旨味成分たっぷりのパスタ。 【レシピ- 船厨】

 これは小さな子供でも知っていることだと思うのですが、イカというやつは外敵に襲われると目くらましに墨を吐きます。だから、明け方、漁港に帰ってくるイカ釣り漁船は、たいていはイカスミで真っ黒に汚れています。  このイカスミには旨味成分が含まれていて、イタリア料理では当たり前のように使われているようです。よくある言いぐさだけれども、この真っ黒な液体を初めて口にした人——イタリア人だか、スペイン人だかは知りませんが、ほんとうに「よくぞやってくれました!」と感謝したくなります。  

【我ら、海洋民族-1】 激流の多島海に残した潮気-村上海賊 (前編)

 瀬戸内海の大島(愛媛県今治市)へは、広島空港から車で訪れた。本州の尾道から四国の今治までを繋ぐ〈しまなみ海道(西瀬戸自動車道)〉は、芸予諸島に浮かぶ六つの主島を橋で渡る。地図を広げてみると気づくが、3000余りの島が浮かぶ瀬戸内海にあって、この芸予諸島はもっとも島が密集し、複雑に入り組んだエリアだ。  大島は、その〈しまなみ海道〉の六つの島のなかで、もっとも四国に近い、面積41.89キロ平米ほどの島である。島には芸予諸島や来島海峡を見渡せる眺望に優れた山がいくつかあるが、

【我ら、海洋民族-2】 激流の多島海に残した潮気-村上海賊 (後編)

 戦国時代に瀬戸内海の中心部・芸予諸島を拠点に力を振るった海賊・三島村上氏の最盛期といえば、やはり能島の村上武吉が総領となっていた時代といえるだろう。  その時代、能島の村上武吉のほかに、来島には村上通康が、因島には村上吉充がそれぞれ城を構え、船を有し、力を奮った。  今治市村上海賊ミュージアムの学芸員・松花菜摘さんによると「三家は互いに同族意識はありながらも、常に行動をともにしているわけではなく、敵対するところもあった」という。  来島は四国からわずか240mほどの近距

渡り鳥たちの生き方に共感したりして。 【キャビンの棚】

 昨年の暮れに最終回を迎えたあるテレビドラマのなかで、主人公が水辺の鳥を見て「カモメ」と言ったら、動物が大好きな自閉スペクトラム症を持つ弟が「違います。カモメ科のウミネコです」と言い直すシーンがありました。弟さんのこだわりです。その後でもっと台詞が続くのですが、カモメとウミネコの違いを知るだけで、海が楽しくなることを知っていたので、そのこだわりの大切さ、といったら大袈裟かもしれませんが、とにかくその台詞が印象的で、共感を覚えたのです。   さて、海には様々な鳥が飛んでいます

仕事を通して広がった、ちょっと“変則的”な海の楽しみ方。 【社員紹介- 私が海を愛する理由】

 伊豆半島の東隣、神奈川県の最西端にある真鶴半島。先端には名勝・三ツ石を有し、また半島全体が原生林で覆われた、美しい自然を残す小さな半島です。  「若い頃、初めて手に入れた原付バイクのRD50に乗ってこの真鶴にはよく来ていたんですよ。二宮(神奈川県)の家を出て、海岸沿いの135号線を走って真鶴半島をぐるりと走って。そんなツーリングを気軽に楽しんでいました」  取材の待ち合わせ場所だった知人のボートがある真鶴のマリーナに、愛車のビッグスクーター「マグザム(MAXAM)」に跨が

「覆水盆に返らず」といいますが。 【海の道具】

 チューブに空気を入れて使用するボートをインフレータブルボートといいますが、一般的にはゴムボートと呼ばれることが多いです。  ゴムだチューブだというと華奢なイメージですが、実物は何層にも化学繊維を貼り合わせてあって、かなり硬いのです。とはいえ、空気を抜けば折り畳むくらいはできます。  インフレータブルボートの長所としては、普段はコンパクトに収納できる事、水面へのエントリーが楽な事などが挙げられます。それらは手軽にボートを楽しむ場合にとても有効なのです。  インフレータブル

迷ったらみんなで「しゃーぶ、しゃーぶ」 【レシピ- 船厨】

 いつもの話ですが、ボートで釣りをしているといろいろな魚が釣れます。普通の船釣りというのはナニカ、つまりマダイだとかタチウオ、マグロだとかといった本命を狙って楽しむもののようです。マイボートでの釣りも実は同じなのですが、結果的にいろいろ釣れてしまいます。  タイラバという独特のルアーを使ってマダイを狙って釣りを楽しむことが多いのですが、マダイはさっぱりでも、季節によってホウボウ、イトヨリダイ、アマダイ、チダイ、サバなど様々な魚が釣れるのです。ヤガラなんていう奇妙な姿をした魚も

味も量も自分の好みに仕切り直した穴子丼。 【レシピ- 船厨】

 先日、ある取材で広島を訪れた際に、時間を作って厳島に渡ってきました。日本三景の一つに数えられている、いわゆる「安芸の宮島」です。もみじ饅頭で有名なものだから、いい歳になるまで「秋の宮島」だと思い込んでいたことはここだけの話です。  地元の方や宮島に行ったことのある方はご存知だと思いますが、ここは食いしん坊にとって楽園ともいえる島です。買い食い天国なんです。  ほかほかの「紅葉饅頭」やら、熱々の「焼き牡蠣」やら、棒に刺さった練り物の「にぎり天」など胃袋がいくらあってもたりな

プロ・フットボーラーのカルチャーショック。 【 キャビンの棚】

 ここは海の本や音楽、DVDなどを取り上げるコーナーなのですが、「奇跡のタッチダウン」は、タイトルからお察しの通り、ボートやヨットはおろか、海にもほとんど関係のないアメリカンフットボールをテーマにした娯楽小説です。それでも読んでいるうちに、この小説に共感してくれそうな海好きたちの顔が次から次へと浮かんでくるから不思議です。  NFLで大チョンボを繰り返してきたクォーターバックのプロ選手が、ついにどのチームとも契約を結ぶことができなくなり、イタリアのパルマにあるチームと契約し

日本全国のシースタイルで釣りがしたい。 【社員紹介】

 「いま、走水(神奈川県横須賀市)の沖で太刀魚が釣れてるみたいですから、行ってみましょう。ここから15分も走れば着きます」 そう言って、溝邊景祐さんは横浜ベイサイドマリーナからボートを出してくれました。この日はゲストを乗せてシースタイル艇(ヤマハ発動機が運営するレンタルボートのサービス)での釣行です。  溝邊さんはヤマハ発動機のグループカンパニー、ヤマハマリーナ株式会社ヤマハボート横浜店に勤務する営業マンで、大の釣り好き。2020年に同社に入社する以前からボート免許を所有

いくつ読める? お寿司屋さんでの、もうひとつの楽しみ方。 【キャビンの棚】

 1988年に評者は初めてニューヨークへ行きました。お上りさんのご多分にもれず、出張のあいまを縫ってエンパイア・ステート・ビルに登ってみたいなあと現地に行くと、その一階には回転ずし店があったのでした。実は当時、まだ日本でも回転ずしには行ったことがなかったので、初の体験がNYというのも面白いと思って入ってみました。  おお、ホントに回ってる回ってる(笑)。いや、まったくのお上りさん気分です。ざっと見まわしたところ日本人らしい客は見当たりませんでしたので、かえって気楽なもんです

船のロープの王様は「麻」から「化繊」へ。 【海の博物誌】

 天然素材は肌触りがよく、独特の光沢や風合いをもっているため、衣料の素材としての評価は一般的に化学繊維よりも高いものです。ヨットやボートで使われるロープにも天然繊維のものと化学繊維のものがあり、長い間、同じように評価されてきました。  昔からロープの王様といわれているのは、マニラ麻で作られたもの。柔らかくて軽く、水に浮かびやすいので係留策や曳航策に使われます。ところが、実のところ、マニラ麻は水に弱く、濡れると縮んで堅くなってしまうのが欠点です。また、濡れたままにしておくと腐

1月の壁紙- ボラボラ(仏ポリネシア領) 【海の壁紙】

 フレンチポリネシアのボラボラの海です。ここは、波静かな海にいつもセーリングクルーザーが停泊しているところがいいですね。世界中のブルーウォーターファンがこの島々に集まってくるのです。彼らにとって、まさに楽園なのでしょう。  新しい年を迎えました。さあ、海に出ましょう。楽園を目指して。  ダウンロードはこちらからどうぞ。

きょうも海で奮闘する漁師を思いつつ、マグロのたたき 【レシピー船厨】

 「クロマグロ(本マグロ)」といえば青森県の大間が有名で、漁の勇壮なイメージと、どこか一攫千金的なムードが番組的には受けるのでしょうか、よくテレビに取り上げられます。同じ津軽海峡を漁場とする船団は北海道からもやってきます。  もちろん日本のクロマグロ漁は津軽海峡だけで行われているわけではありません。好漁場は多く、長崎県壱岐の勝本も大間に匹敵するブランド品として名高いのです。  北海道の恵山を母港にマグロの延縄漁を行っていた漁師さんに話を聞いたことがあります。現在のような漁獲規

網をくぐり抜けて摘み取りをして行く明石のノリ養殖 【ニッポンの魚獲り】

 日本に住む人々にとって、ノリ(海苔)は最も身近な海産物のひとつ。おにぎりや寿司はもちろん、煎餅や餅に巻いたり、佃煮にしたりと、使い方、食べ方は様々です。また、初春の季語としても用いられるなど、文化的にも密接に関わっています。  さてそのノリですが、養殖で採取されることがほとんど。江戸時代の初期に東京湾で養殖が始められてから、現在では太平洋側の多くのエリアで行われています。  そして生産量をみると、福岡、佐賀、熊本、長崎の4県に面した有明海の海苔が有名ですが、県別で見ると兵

日本から最も遠いところにある国の水辺は夏真っ盛り。 【Coumun- 潮気、のようなもの】

 年末になると人は移動を始める。帰省する人が多い。日本中のあちこちで、生まれ育ったところに帰り、正月の数日を過ごす。その風習をどこか美しいものと感じている。拙子の場合は妻ともども実家というものが首都圏にあって「帰省」の経験が無いに等しいから、少し羨ましい。  年末年始の休暇を利用して海外に渡航する人も多い。テレビを付けると芸能人さんたちが空港を歩く姿が映し出される。ハワイが人気のようだ。拙子もハワイは大好きだ。これもまた羨ましい。  どちらもたいへんな混雑が伴うようだ。それで

同じ海の仲間として応援したくなります。 【キャビンの棚】

 海上自衛隊第71航空隊(岩国基地)に所属する救難飛行艇「US-2」は昨年、いったんは生産打ち切りが決まったのですが、今年になって一転復活、生産の継続が決まりました。世界でもまれな性能が考慮されたのでしょう。本書はその8年にわたった開発を追ったドキュメンタリー漫画です。登場する組織は実名、人物は仮名です。  巻頭。  2013年6月、宮城県沖1200km。雨が降りしきる中、ライフラフト(救命いかだ)で漂う2人の男性。かなり消耗しています。そこへゴオオオオオオオと舞い降りる

「海の時間です。」 より新年のご挨拶〜あけましておめでとうございます。

旧年中はご愛読、まことにありがとうございました。新しい年を迎え、皆様のますますの素敵な海での体験、美味しい海の幸、本や音楽との出会いなど、美しい「海の時間」との出合いをお祈りします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

秋になると秋刀魚が気になって夜も眠れなくなります。 【レシピ- 船厨】

 秋になるとどうしても秋刀魚(サンマ)が気になります。今年は豊漁なのか、不良なのか。お値段の方はいかほどか。特に晩秋に水揚げされるサンマは脂がのってとにかく美味い。刺身も美味い。焼いても美味い。どうやっても美味い。それがサンマです。  人気の魚である割に、釣魚としてはそれほど注目されません。運良く大群に出くわせば簡単に釣れるようですし、北海道などでは岸に近づくときがあって、港の中でも釣れることがあるようですが、それが新聞やテレビのニュースになるぐらいなので、やはり趣味での釣

頭の隅っこで「アンカーローラー」 【海の道具】

 マリーナなどで見かけるボートの船首にローラーが取り付けられているのにお気づきでしょうか。賢明なる読者諸氏のご推察通り、あのローラーはアンカー(錨)を降ろす際に、ロープやチェーンなどで船べりを傷めないように、そしてスムーズにアンカーが降りていくようにするためのものです。  漁船などになると、前方に大きく突き出していたりして、俗名“角ローラー”などと呼んでいたりします。もう一つ、横向きのローラーの両サイドに縦向きのローラーが付いているものもあります。これは、アンカーを降ろした

漂流者追体験をバーチャル体験してみる。 【キャビンの棚】

 表題の島は、伊豆諸島の「鳥島」のことです。本州からは600km足らず離れた—— 同諸島では最南の有人島である青ヶ島のさらに南200km余りの ——無人の火山島です。直径2.5kmほどの丸い小さな島には、かつてはアホウドリが大量に生息していましたが、明治期に羽毛布団のために乱獲され、火山噴火もあって、いっときは絶滅をあやしまれたこともある、そんな島です。  著者はナショナルジオグラフィック協会の後援を受けて、ダニエル・デフォーが小説『ロビンソン・クルーソー漂流記』のモデルと

アジアの海の上に暮らす、生粋の海洋民族たち。 【Column- 潮気、のようなもの】

 西太平洋に浮かぶフィリピンのミンダナオ島、インドネシアのカリマンタン(マレーシアではボルネオ)、同じくインドネシアのスラウェシ島などに囲まれたセレベス海は、シパダンに代表されるように、極上のダイビングポイントを有する海として名高い。それと同時に、海を漂いながら生きてきたバジャウ族が定住しているエリアとしても知られている。シパダンの玄関口として知られるセンポルナの町も、人口の多くがバジャウ族なのだと聞いた。  現在のバジャウ族の多くは、海岸沿いに高床式の家を建てて定住してい

上対馬の紅王。 サクランボ……ではなくアマダイです。【ニッポンの魚獲り】

 玄界灘の沖合に浮かぶ、国境の島・対馬(長崎県)。暖流・対馬海流が通るこの周辺海域は、好漁場が多く、様々な漁業が行われています。アマダイの延縄漁もそのひとつ。シーズン中のこの漁場には、福岡など九州本土からも漁船がやってきて、アマダイを狙います。  もちろん地元となる対馬でもアマダイの延縄漁を行っています。  対馬の北部・上対馬で漁獲されるアマダイは、“紅王”の名が付けられたブランド魚として流通しています。  アマダイの旬は秋から冬にかけてというのが一般的ですが、海底にアミ

タコの習性を活かした伝統的なタコ壺漁。 【ニッポンの魚獲り】

 本州と四国の間、瀬戸内海にむけて九州から丸く突き出た国東半島。江本英樹さんは盆踊りで知られる姫島を望む、この半島の北部、国見町で生まれ育ちました。水産高校卒業後に、実家の漁業を継ぎ、〈竜英丸〉を駆り、海に出る日々を過ごします。  竜英丸では時期によってヒジキ、ワタリガニ、潜水によるナマコの漁など多岐にわたる漁が行われますが、その軸となるのがタコ壺漁。  タコ壺漁は弥生時代から始まったとされる原始的な漁です。餌を求めてタコが壺に入るということもありますが、逃げ場の少ない場

12月の壁紙- プエルト・ラ・クルス(ニュージーランド) 【海の壁紙】

 プエルト・ラ・クルスの沖に浮かぶ島々を眺めながらのクルージングです。ベネズエラは南アメリカ大陸の最北端にある国ですが、どこ乾いた、独特の形をした景色は、海外からやってきたボーターに異国情緒を存分に感じさせてくれます。まるで蝋燭のような岩の天辺にあるサボテンがお気に入りです。 ダウンロードは以下からどうぞ。

天日干しか、乾燥機干しか。干物のついての悩み。 【レシピ- 船厨】

 海辺にいることを実感させてくれる風景というものはいろいろです。空飛ぶカモメやその鳴き声であったり、ずらりと並んだ漁船とそれにぶら下がる、きれいな陽を写すガラス製の集魚灯であったり。街道沿いに並ぶ定食屋や、防波堤の際に無造作に積み上げられた漁網などに海っぽさを感じて、しみじみする方もいると思います。  小さな漁港のスロープを上ったところにある、ちょっとした広場に天日で干された網の上の魚もまた、海辺を感じさせるもののひとつではないでしょうか。  日本人にとっては馴染みの深い

養殖の合間を縫って行われるヒラメの刺網漁 【ニッポンの魚獲り】

 牡鹿半島西岸の中ほどに位置する宮城県石巻市の給分浜漁港。沖に浮かぶ田代島や網地島が防波堤の役割を果たしているため、この辺りの穏やかな入江では、カキの養殖が盛んです。この豊かな海に、父子で出て行く安藤さんの姿があります。  2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波は、この地にも大きな被害をもたらしました。  当時、牡鹿半島沖で創業していた安藤渉さんと雄さんの親子は、そのまま沖に留まって津波から船を守ったそうです。  「幸い、直後に家族と携帯電話

“我が家のカレーがいちばん”という声も聞こえてきそうですが。 【レシピ- 船厨】

 カレーライスはもはや日本のソウルフード。いまさら記事を書いたり、レシピを紹介したところで、「カレーライスは我が家のがいちばん」「私が作ったカレーライスがいちばん美味しい」といった声が聞こえてきそうです。  日本のカレーライスを食べてインド人がびっくり、なんて話も聞きますが、小麦粉を入れてルーにした日本のカレーはアジアを飛び越えてイギリスから伝わった物なのだそうです。  そもそもカレーは、アジアを中心に様々なところで食べられます。インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、シ

地球の寸法を元に作られた海の単位 【海の博物誌】

 “海里”は地球の寸法を基に作られた単位なんです。陸上で一般に使われている距離の単位「メートル」は、“光が真空中で299,792,458分の1秒の間に伝わる距離”とされています。それ以前はクリプトン86原子から出る光の波長でした。そのまた前は、国際メートル原器というものがあり、さらにその前は、地球の子午線(北極と南極を結ぶ線)の長さを基にしていました。  海上で距離を表すときは、今でも「海里」を使用しています。領海200海里などと言うときの海里がそれで、緯度1分にあたる地球

偏屈な目線で楽しんだ、バリの旅。 【Column- 潮気、のようなもの】

 先日、女性がひとり旅をするのにどこかお薦めはないかといった話をする機会があって、いろいろと思い巡らせているうちに、インドネシアのバリに足繁く通っている知り合いのことのことを思い出した。  その知り合いによると、何でもバリでは高級リゾートでの滞在が何よりも楽しいそうで、行ったらほとんどホテルの外には出ないのだという。私もバリには何度か訪れているが、海辺に出歩くことが目的の仕事旅だ。宿泊に利用するのはちょっと高価なビジネスホテルのようなところで、高級リゾートなどには滞在した経

夜の東京港は面白い。 【Column- 潮気、のようなもの】

 9月の初めに、夜の東京港を船でクルージングするイベントがありました。ボートやヨットの業界で仕事をしているライターやカメラマン、編集者などからなる団体の主催で、かれこれ20年ほど前から、長く続けているイベントです。  パーティ用のクルージングボートを借り切って、知り合いや仲間を誘い合って飲食しながら夜景を楽しみます。走るコースは毎年趣向を変えているものの、これだけ毎年参加していると飽きそうなものですが、そうでもない。長く続けてこられたのも、けっこう楽しかったりするからです。や

低水温でゆっくりと育てる厚岸のカキ 【ニッポンの魚獲り】

 北海道の東の釧路市と根室市のなかほどに位置する厚岸町は、西からせり出した尻羽岬と湾口に浮かぶ大黒島に囲まれた湾(厚岸湾)が広がる穏やかな海を有しています。さらに湾の奥には、広大な森や湿原を流れてきた別寒辺牛川のミネラル豊富な淡水と、太平洋のプランクトン豊富な海水が混ざり合う汽水湖の厚岸湖が広がります。  そんな厚岸町の最大の名物はカキ(牡蠣)。日本には広島や宮城などカキ養殖が盛んなところは数多くありますが、厚岸のカキは一年を通じて出荷できることが特徴です。その理由は厚岸の

Season's Greetings! 良い年末を。 【Tadamiの絵日記(風)】

 街やマリーナのクリスマスイルミネーションが美しい季節になりました。今年も残すところ3週間あまりです。子どもたちにとってはプレゼントが待ちどおしく、多くの大人は贈る歓びを感じる季節でもありますね。今回の絵日記(風)は、私が大好きなタグボートをベースに絵を描き、2007年に建造した20フィートのボートです。エントツはもちろんプレゼントをもらうために付けました。かのプレゼンターが忍び込むには、ちょっと小さすぎたかもしれません……。  良い年末と新しい年をお迎えください。

冒険気分は読書で済ませておくのが無難かも。 【キャビンの棚】

 ホーン岬、あるいはドレーク海峡。  ときに40kn(時速70km)の偏西風に南極環流、絶えず生まれ続ける温帯低気圧、それらがつくる100ft(約30m)の波の壁、流れ来る氷山…。世界最大幅の海峡にして、世界最凶の海況の海峡です。  ボート、ヨット好きでも知られる人気ホラー作家の鈴木光司さんが、そのエッセイ集『海の怪』に収めた「吠える60度線」で、わが国トップともいえる冒険セイラー白石康次郎さんの体験を、次のように小説風にまとめて紹介していました。  もちろん康次郎さん

船上カップ麺を美味しくするインバーターの話。 【海の道具】

 インバーター? エアコンの話か? と思ってしまいそうですが、電気の変換器のお話です。  車もそうですが、ボートも同じく電気はバッテリーを通して供給されます。ということは、つまり直流12ボルトとか24ボルトといった電力が供給されるわけです。  マリンの専用電気機器であればそれをそのまま使えますが、家庭用の電化製品を使うとなると、これを交流100ボルトに変換しないとなりません。そこで登場するのがコンバーターという変換機です。  コンバーターは交流を直流に変換する回路のことで

決して自慢しているわけではないのです。 【海の道具】

 フィッシングフラッグなるものを掲げて航行しているボートを見かけたことがありますか? と言われてイエスと答える方は、そうめったにはいらっしゃらないでしょう。そもそもそんなものの存在さえ、知らない方がほとんどだと思います。  このフラッグ=旗、法律で定められたものではありませんが、カジキ釣り大会などでは準備することが義務付けられている場合が多いようです。  まずもってどんなものかというと、カジキやシイラなどの魚が旗1枚に1種類描かれている。もしくは「Fight」などと書かれて

張り詰めた心と体を癒やす海。 【社員紹介- 私が海を愛する理由】

 広島県の向島。本州・尾道の市街地とは橋で結ばれ、本州側からしまなみ海道を行くとき、最初に渡ることになる、風光明媚な島です。橋だけでなく、現在も通勤や通学の足として使われている渡船があって、それは美しい島の風景の一部になっています。  そして、中世に瀬戸内の海を支配した海賊衆“村上水軍”の拠点があり、現在は造船の島としても知られます。豊かな自然ばかりか、日本の海や船の歴史・文化をも垣間見ることのできる、とても魅力的な瀬戸内海の島です。  槇瑛人さんが海を語るとき、この島での

子どもの頃に憧れていた大人の味、栄螺。 【レシピ- 船厨】

 食いしん坊の筆者が幼かったころ、大人になったら必ずやってやろうと思っていたことがいくつかありました。そのうちの一つはホールケーキの独り占め。そしてもう一つ、よく思い出すのが、ビールを飲みながら海辺でサザエ(栄螺)を好きなだけ食べる、ということでした。  子供のころの筆者にとってサザエは「大人だけが食べることをゆるされたもの」だったのです。海水浴場のにある海の家などで旨そうにサザエを食べている他人を羨ましいと思っていましたが、父は偏屈なのか、自分がそれほど好きで無かったのか

要するに、キセルのようなもの。 【海の道具】

 アンカー(錨)に使うチェーンをアンカーチェーンといいます。わざわざアンカーチェーンなんて言わずとも、街中で見かけるチェーンと何も変わらないじゃないか、と思われるかもしれません。でも、これが厄介なことに違いがあるところがマリンのマリンたる所以。  重要なのは当然ながら錆対策です。錆で固着したチェーンは、フレキシブルに動かず、アンカーチェーンとして役に立ちません。そのために亜鉛をコーティングするか、ステンレスを使って作るなどされています。  ところで、アンカーチェーンには大

海を哲学すると優しい気持ちになれるのです。 【キャビンの棚】

 もしかしたら、この本は舞台が海でなくてもよかったのかもしれません。そして、主人公がくじらといるかでなくてもよかったのかもしれません。ひととおり読んでそんなことを思います。けれど、また最初に戻ってページを開くと、やはり、海の本なのだな、と思い改めるのです。  海は、人の涙でできあがった、というふうに書いてあります。  巻頭にあるこれを読んで感じたのは、ビル・エバンスが弾いた「SEASCAPE」に歌詞を付けたらこんな歌になるのではないかな、ということでした。時に人を受け付け

航海者たちの心を妖しい歌声で奪う。 【キャビンの棚】

 本欄でドビュッシーの「海」を取り上げたことがありますが、今回は「海」と並び称される傑作「夜想曲」について触れてみます。  世紀末の1899年に作曲された「夜想曲」は、ドビュッシーがモネ、セザンヌ、ルノワールらフランス印象派の影響を受け、マラルメの詩に寄せた「牧神の午後への前奏曲」によって確立された管弦楽法を、さらに完成させた作品です。これによって印象主義音楽が確立された記念碑的な作品でもあります。  「それは不動の空を雲が緩く、憂鬱に動いていく光景であって、柔らかな白色

東京で潜るのはハードだった

これは別世界への旅行。 ダイビングする時はいつもそう感じています。 たくさんお魚さんがいて、 時にはフレンドリーに寄ってきてくれたり、時には威嚇してきたり。 たとえエサ目当てであっても、怒っていても、可愛らしいのです。 そんな触れ合いのおかげで潜った後はいつも幸せでいっぱいです! でも海の中ですから、一歩間違えると、命の危険もあります。 そうであっても、また、あの中に行ってみたいと思うのです。 ダイビングは人間が本来入ることができない場所での冒険なのかもしれません。

“ヤドカリ”でつくすトマートクリームパスタ の贅。 【レシピ- 船厨】

 カニは美味い。毛ガニ、花咲ガニ、タラバガニ、タカアシガニ、ズワイガニ、松葉ガニ、越前ガニ、ワタリガニ、ガザミにヤシガニ…。思いつくままあげてみると、日本にはたくさんのカニがいます。ただ、ここにあげたカニの種類、かなり大雑把というか、いい加減なのであります。  松葉ガニと越前ガニは、ともに産地によって分類されるブランド名で、同じズワイガニ。ワタリガニとガザミも呼び名の違いだけで同種のカニです。ヤシガニはこの中では唯一の陸棲生物で、カニではなくヤドカリです。さらに北海の花咲ガ

海中をセーリングするハマグリ 【海の博物誌】

 昔の海辺はとてもにぎやかでした。砂浜にはハマグリやアサリ、マテガイがいたし、岩場にはサザエ、アワビ、ウニなどの高級魚介が張りついていたものです。  貝は、タイラガイなどのように、岩についていて、岩が動かないかぎり、そのままずっとそこに居続ける、というイメージがあります。  でも、岩とくっついている繊維をときどき切って、数メートルほど移動するアコヤガイなどもいるし、ふつうの二枚貝は貝を開閉したり足(舌)を使って移動します。  そのなかで一番活動的な貝として知られるのがホタ

名も無き逸品「シャックル」 【海の道具】

 見たことはあるけど名前は知らない。そんなアイテムは巷に数ありますが、シャックルもそんなものの一つでしょう。  U字型をした鋳物やステンレスで作られたのが本体で、U字の開いている部分の左右にネジ山を切り、本体同様の素材で造られたネジを締め込んで塞ぐ。用途としては、チェーンや、スプライス加工したロープなどを繋ぎ止めるのに使います。  日常生活で目にするとしたら、駐車場などでチェーンの固定に使われているところでしょうか。ボートではアンカーとアンカーチェーンを繋ぎ止めるのに用い

9月の壁紙- 沖縄県(日本) 【海の壁紙】

沖縄本島の中部西岸に位置する恩納村の沖で潜水漁を行う海人の取材をしていたとき、大きな積乱雲が沖に湧き上がりました。いかにも夏らしい海の景色です。雲から強い雨が落ちているのが目にできます。暑い海の上でスコールに出合うと、最初は気持ちがいいなどと思ってしまいますが、小さな舟の上でこれが長く続くと、視界がまったくなくなる心細さに加えて、体温も奪われ、たとえ数10分ほどの時間が数時間にも感じられるほどきついのです。突風にも気をつけなければなりません。「晴れでも雨支度、夏でも冬支度」。

人生に悩んだら海で珈琲を飲む人を想う。

noteを始めて、本当に良かったです。 興奮のあまり、初めての1日2投稿。笑 インターネット上においても、出不精で引きこもりがちな自分が、このnoteを始めたおかげで、 まるで読むだけで旅へと引っ張り出してくれるような素敵なライターさんの記事に会うことができました。 そして、そんなライターさんが、こんな自分の拙い記事も読んでくださる。。涙 この交流には、普段小さなカフェを営んで何人ものお客様をお迎えしている、交流に少しスレた?自分であっても、なんとも新鮮でドキドキとする