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続:小川で小ブナを釣った日々/責任を取らない人達へ
イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」73枚目
<画/もりおゆう© 原画/水彩 サイズF5>
これは、先週の記事「小川で小ブナを釣った日々」の続きです。
(上の絵は、先週の記事にあった所とほぼ同じ場所です。)
中学になった僕が2年ぶりに母親の在所を訪れ、在所の子らとあの小川に出かけると…
行く道々で在所の子らが言いました。
「ゆう君、もう魚はおらんで。川へ行ったかて何も釣れへんで。」
案の定、小川へ着くと、護岸はコンクリートで固められ水は黒く汚れていました。なんでも上流に工場が出来、汚水が川に垂れ流されているとの事でした。
それでも僕は、そんな油に汚れた川に釣り糸を垂れてみました。
良く晴れた日で、黒く濁った水にも青空が映っていましいた。
けれど、在所の子らの言う通り、浮きはピクリとも動きませんでした。
どす黒いものが僕の中で次第に沸き起こって来ました。
それは、子供の僕が生まれて初めて持った社会や大人に対する怒りでした。
「綺麗に澄んでいた小川は一体どこへいってしまったのだろう…
何故こんなことをするんだろう?
川を汚して一体何か良い事があるんだろうか?」
在所の子が言いました。
「川は死んでまったでな…」
と。
*絵は私の記憶の中の心象風景であり、当時の実際の風景を正確に描写したものではありません.
<この絵と文は著作権によって守られています>
(This picture and text are protected by copyright.)