死人の出た家に舞う鴉/遠い日の迷信
イラストエッセイ「僕の昭和スケッチ」75枚目
<「鴉の舞う家」 画/もりおゆう© 原画/水彩 サイズF5>
「死者の出た家の屋根には鴉が舞う」
これは僕が子供の頃に母親の在所の岐阜県黒野村に行った時に母親から聞いた言葉。
「あそのこ家では今日ご不幸があったんや…ご主人が今朝方畑で倒れんさって…そやで鴉が屋根の上にあんなに集まりよる…」
と母親が暗い空を見上げて言った。
もちろん、これは根拠のない迷信で、鴉が夕空に舞うのは珍しい事ではない。たまたま曇天の薄気味悪い日だったので母の口からそんな迷信がついて出たのだろう。
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