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「鳴かないセミ」夏の駄菓子屋玩具
「僕の昭和スケッチ」イラストエッセイ145枚目
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これは、夏になると昭和の駄菓子屋で売られていた「鳴くセミ」。
お腹の辺りを押すと、ペキペキといった音が鳴る。
それを鳴くと称して売られていた。
勿論、それは到底セミの鳴き声とはほど遠いものだった。
つまり、どう考えてもこれは「鳴かない」セミだ。
しかし、このオモチャには不思議なところがあり、買うとがっかりして2度と買うまいと思うのだが、どういう訳か暫くすると何故か又買ってしまうのだ。
単に価格が安いせいなのかも知れないが、僕はあの音にクセになるような響きがあるせいなのだと思う。それは気泡緩衝材をプチプチと潰したくなる衝動にも似ている。
誰が考えたのかは知らないが、不思議な夏の昭和玩具だ。
<©2022もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(©2022 Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)