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「なぜいちいち説明しないといけないんだろう?」空港の中の哲学者たち【本を1冊持って1泊旅行】

「なぜいちいち説明しないといけないんだろう?」

自分のやっていることを説明しないといけない、そういう圧力を感じることがある。その圧力からほんのひと時だけ開放されて、自分の時間を自分のために考えることだけに使う。

そのためには旅にでるのが一番。
今回はちょっと哲学的な旅のお話です。

「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」
それを追いかけ、海の中での潜水のごとく、ひとつのテーマについて皆が深く考える哲学対話。

「水中の哲学者たち」(著:永井玲衣)

ということで、成田空港の第3ターミナル(T3)を訪れました。

コロナの影響はもうほとんど感じられず、多くの旅行客が空港を利用していました。もちろん飛行機に乗るために空港に来たわけだけど、ただそれだけじゃなく空港という空間にある特殊な居心地の良さも、それも目的なのです。

今回は【本を1冊持って1泊旅行】の記事で、旅行の途中で訪れた空港の居心地の良さと、そこで読んだ1冊に関してアウトプットしていきます。

今回の読書空間:成田空港第3ターミナル

空港はとても特殊な空間だ。

空港には不特定多数の人々がいて、お互いが何も言わずにその場の行動様式に従って、それぞれの最終の目的を果たしている。

そこには事前の打ち合わせなどはない。まるでスターバックスに入るとレジで注文をし、その注文したコーヒーを赤いランプの下で受け取るかのように、身体が自然にそう動く。

そして目的を果たすまで、つまり飛行機に乗るまでの時間をそれぞれが自由に過ごす。誰も何も言わず、それぞれが自分にとって最適な方法で時間を過ごすのである。

ある人たちはおしゃべりをして、ある人はパソコンでなにやら作業をして、ある人は仮眠をして。そしていちいち説明をしなくても、それに対して誰も何も言わない。

だからとても居心地がいい。

今回読んだ1冊:「水中の哲学者たち」

わたしは持ってきた書籍「水中の哲学者たち」を読んでいた。
永井玲衣という哲学研究者の哲学に関する本だった。

ヘーゲル、ニーチェやハイデガーから想像される難しそうな哲学というよりは、身近に生活している中でポッと出てきた小さな疑問に対して深く考えていく哲学。

大きい問題に対して大きく説く哲学ではなく小さく説く、小説のような哲学を勧めている1冊だ。ちょうどいい機会なのでこの1冊をヒントに空港を哲学的に考えてみる。

空港は飛行機に乗るためにある。あたりまえだ。
これを大きく説いた空港とする。じゃあ小さく説く空港はなんだろうか?

それはおしゃべりをしたり、パソコン作業をしたり、仮眠をとったり。もちろん本を読むためだったり。 そういうことも十分にありえる。むしろこっちの方が大切だったりすることもある。飛行機に乗ることよりもずっと。

空港のもうひとつの魅力とは?

空港は必ずしも飛行機に乗るためだけにあるわけじゃない。

飛行機に乗るまでの時間と空間はそれぞれが好きに使うことができる。しかもそれに対して誰も何も言わない。それは飛行機に乗るという大きな目的が前提としてあるからなんだろう。

そう、空港という場所には、そこには大きな目的と無数の小さな目的が共存している。乗客として次の目的地に向かうための飛行機に乗ること。そしてその共通の目的とはまったく関係なく、個人として好きに自由な時間を過ごすこと。

いちいち説明することなく自分の好きに自由にする。
空港の外では共存できないことが、不思議にも空港の中では共存している。

そのことに気づくと、わたしは飛行機には乗らず自宅へ引き換えしたのだった。

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