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糀のリパーゼの働き
糀のリパーゼは脂肪を分解する酵素で、食品中の中性脂肪をグリセロール(グリセリン)と脂肪酸に分解します。主な脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ステアリン酸などで、香りや味わいの形成に寄与し、日本酒、味噌、醤油などの発酵食品の風味や深みに大きな影響を与えます。さらに、生成された脂肪酸は酸化や発酵を経て芳香成分となり、発酵食品特有の香りを生み出します。
糀のリパーゼは中性〜弱アルカリ性で活性を持ち、発酵食品の環境に適しています。また、一部は耐熱性があり、加熱後も機能を発揮します。このため、糀を使用した調味料や漬物では脂肪の分解によって素材の味が引き立ち、消化吸収が助けられることから健康面でも寄与します。
リパーゼの働きにより、糀は単なる保存技術にとどまらず、発酵食品の風味を高める重要な役割を果たします。この特性を活用することで、糀の魅力をさらに広げることができます。ここまで、糀の持つ三大消化酵素の働きを見てきました。次は酵素の働きについてお話します。