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運命で決まってるからこそ気楽に生きていい。 〜「掏摸」を読みました〜

中村文則さんの「掏摸」を読みました。

まず、スリの描写がリアルすぎてすごいです。
実際にやったことないのに、スリした気分を味わえてしまいます。

背景に「抗えない運命」みたいなテーマがあって、とても好きです。
スリしないで生きられる人もいれば、スリしなきゃ生きられない人だっている。
きっとその差はほんの僅かなもので、自分がもしかしたらする側の人間になっていたかもしれないし、これからの人生でしないという確証もない。
それくらい、人生とは運命に翻弄されるものなのだと思います。

全ては遊び。
人生を深刻に考える必要なんてないんだ。
という文章が本書に出てきます。

確かに。
全ては遊びです。ゲームです。
運命を嘆きながらも、気楽に死ぬまで生きていればいいのだと思います。

中村文則さんの小説はダークで好きです。
ダークな中に、励まされたり心が軽くなる一文があったりするので、めちゃくちゃ好きです。

スリは社会的に認められる行為ではないけれど、スリを通じた人間の描写から、人生の困難さでありどうにもならなさであり、だからこそそんなに深刻に生きる必要なんてないんだと気付かされました。

他人に迷惑かけない程度で、もっと気楽に、もっと自由に、人生を楽しんでいけたらいいなと感じました。

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