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この本に共感する生きづらい人の存在が、生きづらい僕の人生を肯定してくれる。 〜「すべて真夜中の恋人たち」を読みました。〜


川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」を読みました。

大好きな芸人のオードリー若林さんが推薦している本です。

読んだ感想として、「すごく綺麗だなぁ」と感じました。
言葉の一つ一つが、とても綺麗。

あとは、人間の感情や何気ないシーンを切り抜くのが、とても上手だなと思います。
こんな気持ちあるよな‥、とか。わかるわかる‥。なんて、共感しながらページをめくりました。

人付き合いが苦手で自宅で校閲の仕事をする主人公の女性。
物理教師をしている年上の男性。
二人の不器用な会話が、なんとも言えず心が温かくなります。

噛み合わなさそうでハラハラするからこそ、それなりに形になってうまくラリーが続いていくことに喜びを感じる。
酒に溺れたり嬉しい帰り道に一人でスキップしてしまったり。
登場人物たちが皆、人間らしいよなと思いました。

この本に共感する人が多いということは、生きづらさを抱えて生きている人がたくさんいるということです。
もちろん私だって、こんなに楽しく本書を読んでいるということは、どこかで生きづらさをしっかりと抱えている、立派な人間だと思います。

本書を通じたテーマとして、「光」があります。
目の前の全てが光を反射し、私たちの視界を生み出している。
そう意識してみると、なんだか世界に祝福されているような、世界がみんな仲間に見えてくるような、不思議な感覚に陥ります。

この真夜中の中に、私と同じように本書に共感し、生きづらさの傷を少しだけマシに感じられている仲間がきっといる。
本を読むということは、同じ感情を共有している人間がたくさんいるんだという安心感を得られる素晴らしい体験をもたらしてくれます。

生きづらい人。
生きづらくても、生きてていいんだと思えるかもしれない、素敵な本書をぜひ読んでみてください。

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