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昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ

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中学生で「大脱走」のS・マックイーンにハマり、こよなく西部劇を愛した10代。還暦の今も<いい映画>を求めて彷徨っています。
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『シン・ウルトラマン』ウルトラマンは〝神〟だったー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(25)

https://www.youtube.com/watch?v=2XK23KGM-eA  見て来ました!  何しろ私の少年時代のヒーローですから、楽しみにしてました。  冒頭のタイトルはあの懐かしいグルグル。そして昔のままのレトロなロゴ。「ウンウン。それでいいんだ」と心の中でうなずいてました。  じつは心配していたんです。気取った映画にされていないか?と・・・へんに気取られて〝平和主義〟のヒーローにされるのだけは勘弁して欲しかったんです。でも大丈夫。ウルトラマンは強くて

『ハクソー・リッジ』じつは戦争映画の王道だったー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(24)

「良心的兵役拒否」を主人公にした異色の戦争映画・・・と言いたいところですが、じつは戦争映画の王道です。 主人公のデズモンド・ドスは実在の人物。彼は愛国の真情から兵役を志願しますが、自分の人生体験と宗教的な理由から銃器等をもつことを拒否します(ですから正確に言うと兵役拒否ではないわけで、映画の謳い文句とはややズレてます)。 彼は軍事裁判で自分の信条を貫き、衛生兵として認められて日本軍との熾烈な戦闘が繰り広げられている沖縄戦へと出征します。 さて、どこが戦争映画の王道か?と

『フューリー』今の戦車映画って凄すぎる・・・ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(23)

某SNSの友人に以前から勧められていた映画です。 ようやく見たわけで・・・「見ますね」と言いながら、かなり見るのが遅れちゃいました・・・。 さてなぜこの映画を勧められたかと言いますと、シニア世代の私にとって戦車映画と言えば1965年公開のF・フォンダ主演『バルジ大作戦』と1970年公開のジョージ・C・スコット主演『パットン大戦車軍団』が完全ツートップなんです。 前者は100%面白い娯楽戦争映画で、後者は一人の軍人の生き様を描いた奥行きある人物映画です。この2本についてF

『Codaコーダあいのうた』家族がわかりあうための歌声ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(22)

映画館で久々の号泣。涙止まらず。こんなのホントに久しぶり。 主人公のルビーが歌を歌うたびに涙が出ちゃうんだけど、同時に自分も歌いたくなってしまう不思議。 アメリカ東海岸で漁業を営む小さな家族。父・母・兄は聴覚障害があるが妹のルビーだけは健聴者です。そのため彼女は家族の中でなくてはならない存在。高校生の彼女にとって家族は大事だが重荷にもなっています。そのルビーは歌が大好きで素晴らしい才能もあるですが…。 この映画は正攻法の家族物語でありながら、凡庸なお涙頂戴ではないところ

『朝が来る』生みの母と育ての母・その葛藤ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(21)

久しぶりに映画のすごさを堪能しました。 できれば映画館で見たかった…が見終わった直後の感想です。 私が今イチオシの蒔田彩珠がこの映画で各映画祭の新人賞や助演女優賞を総ナメしてます。 主演は永作博美ってことなんでしょうが、もちろん永作博美もホントに素晴らしいんだけど、助演の蒔田彩珠が永作博美をある意味で「食って」しまってます。 …いやそれは言い過ぎかもしれません。蒔田の「陰」が永作の「陽」をより輝かせていると言った方が正しいかな。 ただハッキリ言えることは、この「陽」

『蜜蜂と遠雷』天才コンテスタントたちの群像劇ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(16)

ベストセラーになった恩田陸原作の映画化です。 読んでから見るか、見てから読むか…なんてキャッチフレーズがその昔ありましたが、これは私のツレがすでに原作を読んでいて「見たい」というので付き合いで鑑賞。 別に期待もしていませんでしたが面白かった!満足の音楽エンターテインメント映画でした。 主役はピアノコンクールだと言っていいでしょう。そこに集う若いコンテスタント(この言葉初めて知りました)たちの群像劇です。 13才で一度姿を消し、復活をかけて参加する女性ピアニスト。完璧な

『サバイバルファミリー』じつはお父さんが隠れテーマのサバイバル映画ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(20)

こういう映画をB級映画と呼ぶのが適切かどうかわかりませんが、屈託なく楽しめるという意味でB級映画のよさが満載です(私はB級映画という言葉をマイナスの意味で使ったことはありません)。 ストーリーは単純です。東京が突然、原因不明の停電状態になります。この状況下でドタバタを繰り広げるごく普通の家族(小日向文世・深津絵里・葵わかな・泉澤祐希)が主人公となります。 バス・鉄道が止まって駅が大混乱。歩いて出勤。マンションの10階から降りてゴミ捨て。財布を忘れて再び階段。ロウソクと自転

『武士の献立』包丁侍と加賀騒動と柚餅子ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(19)

久々に時代劇を見ました。江戸時代に実在した「包丁侍」の物語。 四條流「幕府台所人」から加賀藩「御料理人」となった舟木伝内に西田敏行、剣の腕はたつが料理に身が入らない次男・舟木安信に高良健吾、そして主役である安信の妻・はるが上戸彩です。 ストーリーは料理の腕は抜群だがやや気の強いのが玉にキズの妻・はるが料理は苦手の夫を鍛えていきます。そこへお家騒動が起こって・・・。このお家騒動も実際にあった「加賀騒動」が元ネタになっています。藩主が3回も入れ替わり、そのたびに主流派と反主流

『ファウンダー』マクドナルド巨大化のきっかけはナショナリズムだったー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(18)

「ファウンダー」とは〝創業者〟という意味です。では、あのマクドナルドの創業者は誰か?これがこの映画の主題です。 一人のうだつの上がらないセールスマンが、偶然にも大繁盛するハンバーガー屋を見つけます。そして彼はこの店を経営するマクドナルド兄弟が開発した無駄のないスピーディーな商品提供システムに感動してフランチャイズ化を提案します。 そしてご存知の通り、マクドナルドは全米さらには全世界を支配する企業へと上り詰めるわけです。では創業者はマクドナルド兄弟なのか?それとも巨大企業へ

『日本沈没』日本人難民というシミュレーションを見よー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(17)

この映画の公開は約50年前の1973(昭和48)年です。私は中学1年でした。 当時、小松左京の原作は大ベストセラーになっていてウチの親父も上下巻(確かカッパブックスだった。これも懐かしいなあ)買ってきました。 私も興味津々で読み始めましたが…あまりにも難しく、2ページ目に入った所で即挫折。 というわけで、この映画はそんな子ども時代の懐かしい体験から「見てみよう」と思った次第です。何しろ50年前ですから、火山の爆発や津波等の特撮シーンは正直言って退屈です。 しかし、この

『いしゃ先生』貧しかった頃の日本はこんな人に支えられていたんだー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(15)

http://ishasensei.com/ 実在の医師・志田周子の半生を描いた映画です。 時は昭和10年。日本がまだまだ貧しい頃のお話。しかも、舞台となる山形県の村は雪深い山奥。そこはさらにもう一段上の貧しさ。もちろん無医村です。 そこへこの村の出身である志田周子が医師としてやってきます。まだ医学を勉強中で東京に恋人がいる周子は不本意ながら3年間だけという約束で村長(周子の父親)の頼みを聞き入れます。そして…。 この映画は、貧しかった頃の日本を教えてくれます。貧しい

『461個のおべんとう』日本人の心をわしづかみするお弁当のもつ力ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(14)

https://461obento.jp/ これは某SNS関連のお友達から紹介された映画です。 で、じつはそのお友達からお弁当に関連するあるプロジェクトを紹介されました。それを見て、改めて私たち日本人にとってお弁当というのは民族のタマシイ的なものがあるな、と感じていたところだったんです。 そんなところでこの映画を見たところ…。今の私の心にドンピシャ!でした。 一言で言うならベリー爽やかな映画です。主役の親子(井ノ原快彦・道枝駿佑)にグッと来ます。その親子の絆が毎日のお

『海よりもまだ深く』みんな不満なんだけど希望も捨てないのが人生ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(13)

これ5年前の映画です。蒔田彩珠が子役で出てるというので見てみました。主人公の姉の長女役。ホンのちょっとだけですけど。   でも映画そのものは面白い!  嫌いな人もいるみたいですが、是枝監督ってある意味天才的な監督だと思います。 何気ない家庭の風景、何気ない家族の会話の作り込み方が半端なくリアルなんです。 この作品では主人公の売れない小説家(阿部寛)の母親(樹木希林)が団地に住んでいるんですが、彼女が料理するときに使う使い込まれたお鍋が何ともリアルなんです。これを見るだ

『長いお別れ』本人と家族の人生がリンクする涙と笑いの認知症映画ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(12)

この映画のテーマは「認知症」です。 と言えば私の映画レビューの第1回が同じく認知症をテーマにした『ファーザー』の紹介でした。 というわけで、必然的にこの2本を比べながら見ることになってしまいました。 義父母を介護した経験のある私の妻いわく『長いお別れ』は実体験にかなり近くて現実を反映しているということです。当時の私は横からちょっと手助けしただけだし、施設でお世話になっている実父も認知症がひどくなる前に運よく入居できたので妻ほど苦労はしていません。なのできっと妻の評は正し