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『蜜蜂と遠雷』天才コンテスタントたちの群像劇ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(16)

ベストセラーになった恩田陸原作の映画化です。

読んでから見るか、見てから読むか…なんてキャッチフレーズがその昔ありましたが、これは私のツレがすでに原作を読んでいて「見たい」というので付き合いで鑑賞。

別に期待もしていませんでしたが面白かった!満足の音楽エンターテインメント映画でした。

主役はピアノコンクールだと言っていいでしょう。そこに集う若いコンテスタント(この言葉初めて知りました)たちの群像劇です。

13才で一度姿を消し、復活をかけて参加する女性ピアニスト。完璧な演奏で世界を味方にするイケメンピアニスト。無音鍵盤を使って練習する最年少ピアニスト…。

焦点が当たるのは皆、天才たちです。天才というのはじつに性格がいい。天才に意地悪な人間なんていないんだと思いました。温和で優しくて人懐こくそして前向きです。

この映画の面白さは私たち凡人がこうした天才たちを眺めることにあります。考えてみれば、音楽などの芸術だけでなくスポーツもそうです。私たちは自分には出来ないことをやってのける天才たちが見たくて日々のつまらない日常を我慢しているのかもしれません。

ただ、ある意味この映画の本当の主人公は松坂桃李演じる参加年齢資格ギリギリの28才かもしれません。彼は天才たちに混じって「生活者の音楽」を引っさげて戦います。

天才たちは音楽が自分の人生そのものになることにほぼ間違いはなく迷いなどありませんが、彼だけはそここそが「戦場」の一丁目一番地なのです。

それぞれが夢と心の葛藤、そして己の才能をかけてコンクールに臨みます。

見ている貴方はこの中の誰を優勝させたくなってしまうか?さて結末はいかに!


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