授業アイデア 理科「発芽条件実験装置をぶっ潰せ」
教科の学習を通して身に付く力とは?科学の正解は現時点での多数決ってことかなぁ
国語・社会・理科・算数などなど教科って、系統化された知識や考え方を学ぶのが目的ではなくて、実は、人間として生きていく能力を身につけるのが究極の目的なのかなって、漠然と考えながら仕事をしていました。例えば、「国語」は「脳内の思考を深く広くするために言語の複雑な結びつきを強化していく訓練」みたいな感じです。
そんな中で、科学の正解は、その時代の多数決で決まるのでは、とシンプルに言ってました。天動説地動説みたいなやつです。どんなに正しくても、多くの人がそれを正しいと信じなければ、それは科学的には正しくないという授業をやってみたくなりました。
発芽条件を実験で見出すために似非科学を糾弾してみる
発芽に必要な条件はご存知の通り、水・適温・空気なわけで、低学年の朝顔やミニトマトの生育を通して、肥料と光と土がごちゃ混ぜのものを精選していく学習です。同条件から1つだけ変化させ、それ以外は、「全く同じ」にする「条件制御」という「科学的思考」を学ぶ単元と言っていいのかな?(実はあんまりよくわかってない)この「全く同じ」というのが子供たちにわかりやすくて、議論しやすい。
班ごとに明らかにしたい条件を炙り出すための実験装置を発表していくのだが、それを聞いている他の班が科学的に「ケチ」をつけていくという授業を行った。子供は本能的に相手を攻撃するのが好きなので、ちょっとでも雑な条件制御をした班に対しては、容赦ない反論が出てくる。そんな中で圧倒的に盛り上がったのが、空気の必要性を確かめる実験装置だった。
多くの学校で行われていると思うが、一つがシャレーに脱脂綿を敷き湿らせ種子を上に置き、もう一方はビーカーに水を張り、その中に種子を沈める装置。この装置にある班が噛み付いて、「脱脂綿がない」「水の量が違う」と糾弾し始めた。結局その日は、結論が出なかった。
全員が変な笑いが出てしまう奇想天外な装置を発明
この理科の授業は、一部教科担任制を敷いていた学年での出来事で、そのクラスだけ、そこで揉めていたので、他のクラスは、教科書的な実験装置ですすんでいた。
数日後、そのクラスの授業で、いい実験装置を思いついたとその班が発表した。飼育用の水槽に水をはり、2つのネットに入れた種子を沈める。一つはそのまま、もう一つには、飼育用のエアレーションを下にセットして、常に空気の泡が種子に当たるようにするものだった。半分、感心しつつ、その奇妙な絵面にクラスが微妙な雰囲気になった。特に反対意見も出なかったので、その実験は行われた。
ある日、そのクラスの子が満面の笑みとびっくりまなこで私のところに来て、「芽が出た!!」と言ってきた。エアレーションを浴びせたネットの中の種子は隙間から根っこをはみ出させていた。
結果を確かめるだけの実験は面白くない。クリティカルシンキングなどと格好良く言わなくて良い。
科学的思考で真剣に戦わせてみても面白い。
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