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〜直腸付近リンパ摘出ストーマ手術入院 実録〜⑨

ー手術後 8日目ー
(途中、ストーマ説明写真画像あり)

夜中の24時。
隣の患者の変な歌で目覚める。

いつもながら寝言だとは思えないデカイ声だ。
「どこの?アメリカなの?そうなのー!?」
かと思えば話し言葉の寝言になった。
何かがアメリカのだったらしい。

斜め向かいの患者は今日も飴玉を食べて
転がしながら噛み砕いている。
そんなに食べて糖尿病にならないのだろうか?
心配だ。
向かいの患者から寝返りの音と共にチッと舌打ちが聞こえた。

そりゃそうなるわ。

向かいの患者さんは夕方ぐらいから体調が
すこぶる悪く、ベッドでずっと吐いていたのに
今日もこれじゃあね。

私は私で水ぶくれはマシになったし、
テープも少なくなったので痒みがマシになると思っていたが、どうやら今回は
ストーマを皮膚にとめてるテープが
痒いみたいだ。

ストーマをとめる部分のテープは、
普通のテープか、某有名な絆創膏の
キズパワーパッド系しかない。
因みに肌に優しいのはキズパワーパッドだ。
そして私はキズパワーパッドの方のテープだ。
前途多難だな。

まだまだ夜は長い。


朝早くから私は病棟の中の
コインランドリーにいた。

誰一人いないシンとしたコインランドリー室でもくもくとドラム式洗濯機に入れていくも、
ぬれたパジャマを別の袋に入れていたのに
気づき、ふと手が止まり昨夜と早朝の事を
思い出す。

結局、深夜に痒すぎて、とりあえずトイレで
ストーマの状況を確認しようと眠さと痒さで
イラっとしながらトイレに行った。

排出物もそんなに入ってないがストーマの
テープが痒いしストーマの中も少し膨らんでるからガスを抜こうとストーマの便排出口の蓋を開けた。

どうやら、よく私は昔から屁を出す方だからかガスが溜まりやすい。

プシュー
もっと肌に近い奥の方から、おさえたら全て
ガスが出そうだったので手を上にもっていく。
次の瞬間、ストーマの中身がこぼれ落ちる。
どうやら上に手をやるために、どっちの手も
一瞬離してしまったらしい。

油断していた。

良かったのは、あんまり入ってなかった事だ。
少しの被害ですんだが汚れたパジャマを見て、
とてもこのパジャマで寝れそうにはない。

少し、みじめになりながら薄暗い病室に戻り
新しいパジャマを探す。
今日の夕方ぐらいに体を拭いてもらって新しい
パジャマを着たばっかりなのに!

薄暗い中パジャマを見つけ音に気をつけながら
履き替えて汚いパジャマをお湯洗いだけでも
手で洗おうと、手さげのついたビニールに
入れ、またさっき来た道を忍び足で行く。

「洗濯は朝すぐにしよう...」
夜中の病棟の廊下で独り言を小さくいった気がしたが無駄に響いた気がした。

朝早く、わざわざ私の担当看護師じゃないのに
ナースコールすら押してないのに来てくれた
看護師さんのおかげで、コインランドリーを
運良く朝から回せた。
コインランドリーは病棟の中に2台あり、
前の入院の時は予約制だったが、今はどうやら
空いてたら使えるらしい。

どうやら昨日の朝、無駄にお節介を私が言って
しまった看護師だったようで朝早くから隣の
患者の寝言で今日も私が眠れなかったんじゃないか?と心配で見に来た雰囲気だったので、
すぐ気づき、すぐさま昨日の朝の事を謝った。

それからストーマの痒さの話をして、
パジャマを汚して新しいパジャマのストックがない事、洗濯をしたい事を言ったら、
こころよくすぐにコインランドリーが
空いてるか確認してくれた。

ストーマやシャワーの相談をしてたら途中
隣の寝言に中断されたが、かなり相談にのって
もらえて助かった。
おかげで、胃の調子は悪くない。

ドラム式洗濯機に全て入れ終わり、
スタートボタンを押すと小さな丸まどから
回り出すのがみえた。

ここの病院は500円玉が洗濯機に入らず、
100円玉5枚か、冷蔵庫&テレビカードが
病棟内で売ってるのでソレを買ってきて
洗濯する。因みに、カードは1000円だ。
だから入院する時、100円玉と1000円は多めに
持ってた方がいい。

なぜ油断したのか?

なぜ?を夫がよく言ったりしてるせいで
失敗した時の何故なぜ?が
癖になってきている。
夫婦とは、やはり似るものだなぁ。

何となく答えは出ている。

眠たさとイライラもあるが、
昨日の午後の検査時に全ての管が取れたの
だか、当初この検査で取れるのは
ケツの管だけだった。

検査内容はケツの管に造影剤を入れて撮影すると白く見えるので、漏れてないか?などを確認して問題なければケツの管をとめてる糸を
切ってぬくのだ。抜糸だ。

この内容を聞いてすかさず、
「痛いですか?」
早めに聞いてた方が、痛いなら危ないので
おさえててくださいと自分の前準備ができる。
主治医の答えは
「いや、管を入れる時の最初の方が
   痛いですよ!」
だった。
え?でも入れる時て麻酔効いてて痛みわからなくない?例え微妙なんだが?
とちょと思ったが口をつむった。

そして午後さっそうと余裕な感じで検査室へ
行くと部屋には主治医と担当医と、その他何人かいて手術かよ!こんなに医者がいるとは思わなかったよ!と見て思って緊張してきた。

しかし、始まったからには仕方ない。
因みに、部分麻酔も痛み止めも直前に
投与されないからあしからず。

「ちょっとチクッとしますよー」
ちょきっと音がなると同時に痛みがくる。
いや、痛いんかーい!
まぁ、糸切るし、少しは痛いよな、うん。
しかし、コレは痛み地獄の始まりだった。

造影剤を管に入れて撮影がはじまった。
「いってぇー!」
つい、小さい悲鳴をあげる。
徐々に抜いていきながら、一旦止めて撮影を
どうやらしてるみたいで、2回ならまだ許せたが3回目の抜きながら手を止めて撮影の時、
痛すぎて少し涙目になった。

追い打ちをかけるように、
胸のあたりの血を排出している管も
別の医師がすぐさま糸を切り、取りだした。
いや...今日はケツ管だけていってたやん。
どうやら、写真の結果が良くて2つ同時に
抜いちゃえ!て思ったんかな?
主治医が私にニッコリ笑いかけ、
「よく頑張った!おつかれ!」
と言ってきた。

あとはストーマを完璧にできるようになれば
退院だと思うよと言って主治医が部屋を
出ていった。

病棟に戻ると看護師さんがビックリしていた。
「え!?全部、管取れたんですか!?凄いですね!!あとは、点滴だけですね!」

点滴を終わらせるには今日の夕飯の粥を半分以上食べるのと、オカズも半分は食べなきゃならないと聞かされた。

前にも苦手と言ってたが、ぶっちゃけた話、
私はお粥が大嫌いだ。
大事なことなので2回以上言いたいくらいだ。

だからどうしても毎回、3口ぐらいで
限界がくる。

コレは一種の試練だ。
無理矢理でも食べねばココまで頑張ったんだ
粥ごときで立ち止まってたら、今まで頑張ったのが水の泡みたいじゃないか。
そんな日に限って私の大嫌いなオカズが粥と
一緒にわんさかとあった。
ほぼ、無理やり口に押しこんで、その日の
夕食は、ほぼ完食に近かった。

やってやれないことはない。

あんなに痛かった術後最初の痛みに比べたら
こんなのへのへのかぁーぱぁーだ!

そんなこんなで管も全部抜け、点滴もぬけ、
そのおかげで歩く時に手が塞がる点滴スタンドもなく、ここまでやったんだから
何でもできる!
ちょろいぜ!
これならすぐ退院だぜ!
と意気込み、甘く考え、それでだいぶ
油断していたんだと思う。

そして深夜にパジャマを汚すというヘマをしたんだと結論に至った。

要するに調子にのってたのだ。
 
洗濯し終わり、さっきの結論に追い討ちを与えるかのごとく看護師が流石にまだ1回も自分でストーマを替えた事がないのに、今週中に退院は早すぎるし、他にもストーマについて
学ばなきゃいけないよ。
と言われるわ、担当医や自分の他の病気の先生が次から次にきて現実を直視しなければ
ならなかった。

まだまだストーマの次は他の病気の治療も
待っている。しかもストーマを取って穴を
塞ぐためにまた手術入院しなきゃならない。

有り難い事に親から支援してもらったお金が
あるが、親がずっと支援できるわけではない。

嫌でも病気とは戦わなきゃならない。

世の中の皆そうだろうが、お金はいくら
あっても足らない。
もっともっとがんばらなければ。
自分のできる範囲で。

弱音を口で、はいてもいい。
ただ、頑張る事を前進する事を、
やめてはいけない気がした。


さっきまで調子がよかった胃が痛みだした。

先生は痛み止めのせいで胃が痛くなってるの
かもと言ってたけどこればっかりは違うと
断言できる。

負けるもんか。

なんとしても、今週の日曜日に退院してやる!

午後の急な検査が入ってバタバタと慌ただしく過ぎていった。
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