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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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2022年8月の記事一覧

【8/28横浜戦○】村上くんがそこで、打ち続けたこと。

息子がこっちにやってきた。初めて一人で飛行機に乗ってやってきた。空港まで迎えにいくと、「よゆーーーー!!」と、笑ってゲートから出てきた。まあ何度も来ている島だし、空港のゲートまでパパがお見送り行けたらしいので、余裕!なのはわかるけれどもそれでも、えらい。ほんとうにもう、大きくなったものだ。 空港の近くにいつのまにかできていたショッピングモール「サンエー宮古島シティ」で夕飯のお買い物をし、ホテルに戻る。子どもたちは宿題(息子はもちろん、学校の宿題がまだ終わっていない)、私は仕

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【8/27横浜戦○】「また明日ね」とおじいは言う。

昼間は小雨が降って涼しかった今日の宮古だけれど、夕暮れ時になって雨もあがり、今日もチェアを持ってビーチに来て、おにぎりを食べながら試合を見ることにした。 まだまだ明るい空の下で、DAZNを開く。ライアンはあっというまにピンチを招き、あっというまに1点を取られる。「う…」と、私はうめく。でも1点なら…1点ならなんとか…と、そう少しだけ思えるようになったのは、ここのところの良い流れかもしれない。 1点ならなんとか…の思いを汲むように、キブレハンは来日初ホームランを放った。そこ

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【8/26横浜戦○】宮古島で、変わるものと変わらないもの

むすめと二人で宮古島へ来ている。私にとってこの島はなんというか、「ふるさと」みたいなもので、毎年毎年やってきては「ほっとする」という感覚を味わう。そのたび、新しいものができていて(マクドができたり、ドンキホーテができたり、今年はなんと無印ができていた)はっと驚くけれど、でもこの島に初めてきたときから17年くらい、なにも変わらないものもたくさんある。 あちこち行くのが好きで、あまり落ち着きのない私にとって、毎年毎年同じ場所にやってきて、一週間とか二週間とか過ごすというのは、結

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【8/25広島戦●】やちむんと古着とタイ料理と、ヤクルトと

「野球、お好きなんですか?」と、聞かれて、私は一瞬「え?」と戸惑う。目の前のお姉さんの視線は、私の手元にそそがれている。画面はスポナビの速報になっていた。「ああ、そうなんです」と、私は笑う。そしてスマホをむすめに手渡し、「ちょっとママがお会計してる間、応援しておいて」と、言う。「けーじくんが取られへんように祈っておいて!」と。 那覇はやちむん通りのお気に入りのお店で、うつわを選んでいた。2年前にきた時にかったお椀がとても使いやすくて気に入っているので、お皿も買い足すことにし

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【8/24広島戦○】好きについて書くこと、たけしとてっぱちのこと

最近気づいたのだけれど、「好き」について書くのは結構、難しい。というか、ほかの誰かも「好き」である物事に関して自分の視点での「好き」を書くのは難しい。いや、気づくのが遅いけれど。 これは私がnoteでこの観戦エッセイと、そしてランニング日記の主に二つのマガジンを書いていて思ったことである。ランニング日記の方は、私が一人で走って一人で考えた(主にどうでもいい)あれこれである。もちろんそこに登場人物がいたりするけれど、その対象についてものすごく深く考えるわけではない。せいぜい、

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【8/23広島戦○】みんながヒーローだ。

マクガフが牽制球をそらせて1アウト3塁のピンチを招いたとき、マウンドに集まったおっくんは、もう、高校球児のような笑顔でマクガフを励ました。私と息子はもう、言葉にもならない思いで、二人で顔を見合わせて、なんとなく同時にうなずいた。いやおんなじことを思っているよ、と、私は無言で息子に伝え、そしてそのまま、画面の向こうのおっくんとマクガフにもうなずいた。

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【8/21中日戦●】それでも集中力を切らさなかったことと、夜空ノムコウ

あの16連敗のとき、何が一番辛かったんだろうと、思い返してみる。 日に日に増えていくマスコミの数、やけに盛り上がるスポーツニュース、いろんな人が「何連敗まで伸ばすのか」とお祭り騒ぎ的に注目することがちょっとつらい、ということもあった。いや、今振り返ってみればあれはもはやおまつりみたいなもんだったわけだけれど、渦中にいるときはもちろん、そんなふうには思えない。 「なんでわざわざそんな弱いチームのファンになったの…?」と真顔で聞かれた時の答えがまったく思い浮かばない、という辛

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【8/19・20中日戦●○】悔し涙も嬉し涙も全部ひっくるめて

「メイのばか!!!もう知らない!!!」というセリフをしっかり覚えてしまっているのは、そう言いたい場面が、人生に何度か訪れるからかもしれない。 例えば、ヤクルトのサヨナラ負けとか。

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【8/16〜18阪神戦○○●】わが家のドタバタ3日間とヤクルトの記録。

8/16○ 流行病に振り回されるのはなにもプロ野球チームだけではない。わが家にもやってきた。これは、台風の記録である。

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【8/12・14 横浜戦●○】うまくいったときの貯金と、苦しいときのふんばりと。

実家で一泊し、烏丸三条のホテルに一泊、そのあと母校の近くである東山七条に二泊する予定である。どちらもすてきなホテルで、とにかく仕事もスローペースに抑えてゆっくりしようと思っているわけですけれども、しかし心はあまりゆっくりできなていない。なぜならヤクルトは元気に7連敗中だからです。 7連敗。まあ、しんどいものはしんどい。いろいろ強がってみたところで(そんなのは慣れっこだとか、懐かしい響きだとか、いろいろと。)つらいものは、つらい。前半の良かった時期を見続けていたからこそ、やっ

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【8/11広島戦●】Every cloud has a silver lining. と、「怒らないこと」。

京都での仕事を終え、実家に帰っている。妹一家もやってきて、みんなでバーベキューをして、じいじが張り切って買ったでっかいプールで子どもたちはきゃはきゃはと遊んだ。田舎なのでどれだけ騒いだって怒られない。ひとしきり遊んだあとは、近所のでっかいスーパー銭湯へみんなで行くのである。最高の夏休み。  というわけで、私は今日もまた、銭湯でヤクルトの試合を追っていた。外気浴でととのっていると通知がくる。「広島3-0ヤクルト」。うむ。と、私は思う。うむ。 『怒らないこと』という本を読み返

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【8/10広島戦●】故郷に帰る。

なんというかまあ、ここまできたらこっちのもんだ、という気も、しなくはない。いや、しないか。しないかもしれないけれどもこういうのは得意技だったじゃあないか、という気だってしてくる。 なんの話かというと、「五連敗」という、あれである。 五連敗。なんというか、慣れ親しんだ響きのようにも思う。それは昔から知っている懐かしいあの友達、しばらく連絡をとっていなかったけれども心の片隅にはいつもいた、気になっていたあの友達、いつだって戻るべき場所はここなのだとそう教えてくれるようなそう…

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【8/9広島戦●】うまくいく時期といかない時期はあるけれど

なかなか、うまくいかないというか、もどかしい時期というものがある。世間一般ではそれは「スランプ」と呼ばれるのかもしれない。きっとそれはピカソにもあればトルストイにもあればヘミングウェイにもある。もちろん、イチローもオータニさんにもある。そして、ヤクルトたちにもあり、それがチーム全体の状態となることもきっとある。 うまくいく時期を知る人ほど、うまくいかない時期というのは苦しいものかもしれない。よく考えれば私にはあまりスランプと呼べるほどのものはないけれど、それは「うまくいく時

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【8/7巨人戦●】心の中で、ぽんと背中をたたくこと。

「ママ、あれ見て」と、息子が言った。荷物を片付けながら「どうしたの?」と聞くと、「丸ちゃんが…一塁から立てないみたい」と、言う。息子が指差した方を振り返ると、丸ちゃんは悔しそうに、一塁ベースにうずくまっていて、コーチに手を差し出されてようやくその場から立ち上がったところだった。 それは長いペナント一つの敗戦のはずだけれど、そのたった一つの敗戦には、多くの悔しさが集う。 代打で打てなかったぐっちの悔しそうな表情を見た。Twitterでは、ベンチから最後まで立ち上がれないてっ