「名もなき人たちのテーブル」席では、ひっそりと面白いことが起こることになっている。
【読書記録】
文字を目で追っていると、瑞々しい言葉が波のように心に寄せては返し、胸の奥で沸き立つ静かに熱く燃える何か…を抑えきれなくなった。
鼻の奥がツンとして、視界がぼやける。
─人生
─その中で出会う人や事物
─自分を失い、流され、落ちゆく深淵
出会わなければよかったのに出会ってしまった人。
出会うべくして出会えた人。
その誰とだっていつでも会える、なんてことはない。
懐かしい声を聴くために。
もしくは、もう聞くこともないと思っていた声を聴くために。
鼻の奥に残るあの香りを求めて。
あるいは、嗅ぐだけで胸の痛みが蘇るあの香りを求めて。
会いにゆかねばならないときがきっとある。
自分には足かせが嵌められていると勝手に思い込んで動けずにいるのかもしれない。
でも、たとえ足かせが嵌められていようとも、その鍵はすでに私の手中にあるかもしれない。
その手に握る鍵を、鍵穴に差し込んで回しさえすればいいのかもしれない。
会いにゆかねばならない人がきっといる。
静かに旅をするような気持ちで読了。
帯に書いてある一節がすごく好き。
そう。派手じゃなくったっていい、面白くさえあれば。