アサミメーコ

プロフィールページにお越しいただきありがとうございます。 2023/4/1〜無期限・無計画で休養中です。

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マガジン

  • わたしの読書記録

    自然や生物を題材にした本、純文学、海外文学、ノンフィクション。 文学は1900年初頭~昭和半ば頃までに書かれたものや、戦争文学が特に好き。 谷崎潤一郎、堀辰雄、原民喜、梅崎春生、安部公房など。

  • ナースのよもやまばなし

    ナースだからといって、みな天使のようで、元気ハツラツなわけではない。よこしまなことを考える私のようなナースもいる。そんなはなし。

  • 虫のいいはなし、虫といいはなし。

    私の目で見た昆虫の世界。 自分でこんなこと言うのは虫がいいと思うけど、虫のいいはなし、読んでいただけると嬉しいです。

  • 母のはなし

    生まれて70余年、ずっと同じ海と山に囲まれて暮らす母の、忘れられない思い出、母のエピソードをここに書き記します。

  • 生き物の生き生きしたはなし

    昆虫以外の生き物日記。 虫も蛇も蛙もリスも、みんなみんな、生きているんだ、友達だと思ってるんだ。

最近の記事

わたしの今日を形作った2023年の本

年が明け、北海道は冬本番を迎えております。 今冬は雪雲にエンジンがかかるのに随分と時間がかかり、ここに来て毎夜しんしんと舞い落ちた雪により、ようやく例年通りの雪景色が見られるようになりました。 北国の人はこの現象をこう言います。 「雪の量は毎年帳尻が合うように降るもんだべさ」 最近考えることといえば「あと二ヶ月で春が来る。春よ、来い。早く、来い」に尽きます。 さて、noteを放置するに任せたこの九ヶ月ほどの間にわたしが行っていたのは、相変わらずの読書でした。 昨年は北海道各

    • 優しさの湿布

      体調不良や不眠、神経をすり減らす業務に、気がつけばただただその日をやり過ごす毎日で、そしてまた眠れず疲弊して…の負のスパイラルが続いている。 昨日も予約枠の倍近い患者で全ての時間がギッチギチ、目の前の仕事を片付けることに精一杯になっていたところに、受付職員から「受診患者さんご自身のことじゃないみたいんですけど…看護師さんに聞きたいことがあるみたいで。ちょっとお願いしてもいいですか?」と声がかかった。 一人の高齢女性が待合室の隅で背中を丸め座っている。 月に何度か診察やリハ

      • 誰がため、何がために書くのが日記か

        谷崎潤一郎「鍵」 読み始めてまもなく、冷えた指先で衿首を撫でられたようなざわめきが背筋に走った。 サイドテーブルに無造作に置かれた手帳に目を落とす。 そして、脇に置かれた数冊の本をそっと上に積み重ね、その存在感を消し去った。 昨年秋から、毎日この手帳に日記を書き続けている。 どんなにとりとめのないことでも、心の悲喜も、隠すことなく書いている、つもりだった。 「夫は勝手に盗み読むことはないだろう」という彼ら夫婦とは全く逆の信頼感によって、鍵もトリックもない居間の共用空間に置

        • 頂いたクッキーとハンドクリームと本、そして、借りた本と、買った本。 どれも、とてもありがたいご縁の下で結びつけてくれたものばかりで、並べるだけで嬉しい。 読みたいものがまだまだ他にもありすぎて、それまた嬉しい。 貝に続く場所にて、は久々の日本の現代作家によるもの。すごくいい。

        • わたしの今日を形作った2023年の本

        • 優しさの湿布

        • 誰がため、何がために書くのが日記か

        • 頂いたクッキーとハンドクリームと本、そして、借りた本と、買った本。 どれも、とてもありがたいご縁の下で結びつけてくれたものばかりで、並べるだけで嬉しい。 読みたいものがまだまだ他にもありすぎて、それまた嬉しい。 貝に続く場所にて、は久々の日本の現代作家によるもの。すごくいい。

        マガジン

        • わたしの読書記録
          39本
        • ナースのよもやまばなし
          13本
        • 虫のいいはなし、虫といいはなし。
          59本
        • 母のはなし
          8本
        • 生き物の生き生きしたはなし
          8本
        • 切ったり貼ったり描いたり編んだり
          5本

        記事

          蝦夷の春事情

          3月17日(金) 6℃/−1℃ 晴れ のち 雪 寝る前に入れた湯たんぽを足先でさぐると、まだ少し暖かい。 春はまだまだ先だなぁ、と嘆きながらも、1ヶ月前に比べて日の出が1時間も早まっていることに起きがけカーテンを開ける動作で気がつき、誰にともなく感謝したくなる。 去年の今頃はまだまだシャーベット状の雪がそこここに分厚く残っていて、脇道では轍に乗り上げた車がボインボイン弾み、私の足はひっきりなしに雪に取られてヨレヨレ歩くほかなかったが、今年は1週間も前からアスファルトがすっ

          蝦夷の春事情

          心に余裕を、そして平常心を。

          ポツン。 可哀想だなぁと思った。 ポロリと落としてしまった人も、ポツンと取り残されてしまったこの物体も。 今朝、地下鉄の座席にポツンといたのはワイヤレスイヤホン、のケース。 中が入っているかどうかはわからない。 いっそのこと、中身のイヤホンが入っていたほうがいいのにな、と思った。 でもきっと、イヤホンは主人の左右の耳に嵌まり込んだまま、ケースだけがカバンかポケットの隙間からポロリとこぼれ落ちてしまったのだろう。 実用的に考えるとケースなんて何処かでまた手に入るわけだか

          心に余裕を、そして平常心を。

          「幸せの列車」に乗せられた少年

          うまく感想を書けない。 でも、心の奥深くに感じた。 人の愛を。 7歳のアメリーゴの素直な言葉が、揺れ動く少年の心を痛いほどに描ききっている。 子供にとって、人にとって周りの環境がいかに大切なことか。 愛とは、家族とは、何か。 家族の愛、血縁でなくても通じ合う心、分け与える愛について考えさせられる一方で、誰しもが抱く母を求め恋うる本能の部分での愛を強く感じた。 日本と同じ「敗戦国」であるイタリアで、戦後まもなくの1946年から1952年までに行われていた「幸せの列車」活

          「幸せの列車」に乗せられた少年

          昭和31年発行の古書に「押し蟲」を発見した。 この小さな生き物は、いつか誰かがパタンッと閉じたその瞬間に絶命したまま何年も、或いは何十年もの間ここにひっそりと存在し続けたのだろうか。 そこに居るはずのない過去の痕跡を眼にすると、とても不思議な気持ちになる。

          昭和31年発行の古書に「押し蟲」を発見した。 この小さな生き物は、いつか誰かがパタンッと閉じたその瞬間に絶命したまま何年も、或いは何十年もの間ここにひっそりと存在し続けたのだろうか。 そこに居るはずのない過去の痕跡を眼にすると、とても不思議な気持ちになる。

          〈小さなことばたちの辞書〉に自分だけのことばを集めること、それはわたしの人生そのものとなる。

          頭に浮かんだのは、数年前に観た映画「博士と狂人」だった。 あれも確かオックスフォード英語大辞典編纂に纏わる実話だったはず。 調べてみると、時代背景や人物は「博士と狂人」に描かれたのと同じ実在のものをベースに、辞典には載せられない(正確な出典のない)市井の人たち─主に女性たち─が使う「迷子のことば」に関心を寄せ、生涯に渡ってことばと向き合い続けた一人の女性の姿をプラスし、女性参政権や第一次世界大戦と絡めてフィクションとして描いたらしい。 地位や財力のない当時の多くの女性、“

          〈小さなことばたちの辞書〉に自分だけのことばを集めること、それはわたしの人生そのものとなる。

          涙と刺しコブは優しさの証

          ここの血管はかてぇよ。オレ昔自分でしょっちゅう針刺してたからよぉ、わかんだよ。なんの注射かは言えねぇけど。へへ。こっちの方が刺しやすいかもな。ま、どこでもいいから何回でも刺せ刺せ、気にすんな。 看護師一ヶ月目の私に腕を差し出してくれた長袖長ズボン系総入墨のおじさん。 入院期間中そりゃもう何回も刺させてもらった。 何回も失敗したし、1回はおじさんに刺した後の針を片付ける前に自分に刺してしまい数カ月間追跡のための血液検査を余儀なくされおじさんに「俺のせいでゴメンな」なんて謝られ

          涙と刺しコブは優しさの証

          わたしと戦争と文学と

          窓を背にした図書室の隅、日も当たらない薄暗い本棚の下、私は煤けた床にしゃがんでいた。 一番下の棚には、大型の書籍が収められている。 ぎちぎちに詰まった本の群からハードカバーの花切れに爪を立て、ぎゅっぎゅっぎゅっと一冊抜き出す。 しましま模様の服を着た人物が写る白黒の表紙──アウシュヴィッツ強制収容所の写真集だった。 図書室はとても静かで、私以外に誰もない。 いや、もしかしたら他に誰かいたのかもしれないが、なんの音も、声も、気配も感じられなかった。 それほどまでにそれらの白黒

          わたしと戦争と文学と

          気持ちを切り替え、自分らしく続けていけるよう、名前を変えました。 アサミメーコ。 この名前で呼ばれたら、何の迷いもなく「うん?」って振り返れます。 時々変な事を言ったりやったりしてしまうのは大目に見て頂きたく… これからも、どうぞよろしくお願い致します。

          気持ちを切り替え、自分らしく続けていけるよう、名前を変えました。 アサミメーコ。 この名前で呼ばれたら、何の迷いもなく「うん?」って振り返れます。 時々変な事を言ったりやったりしてしまうのは大目に見て頂きたく… これからも、どうぞよろしくお願い致します。

          夫が帰ってこない理由

          この時間になっても、夫が帰ってこない。 久しぶりのことだ。 よほど盛り上がっているのだろう。 ちょうど1ヶ月前の1月4日。 お互いの実家にも帰らず、ひたすらグダグダとしたお正月休みをもて余していた我々夫婦は、「歩かなすぎて脚もだるくなってきたし、さすがに今日くらいはどっか行こっか」となった。 どっか と言っても、この雪と気温とでは選択肢は少ない。 最低5000歩くらいは歩けそうな暖かいところ。 極力外には出ないでなんでも済ませられるところ。 以上の条件から決まった行き

          夫が帰ってこない理由

          夜中3時の夢幻の夢中

          仄明るい光を瞼に感じ目が覚めた。 窓の向こうから光に照らされ透けるカーテン。 朝と見間違うほどに光を放っているは太陽ではなく雪。 雪に反射するは丸みを帯びた月明かり。 月に反射するは太陽の光。 そうか、これは元を辿れば太陽の光なのか。 寝ぼけた頭でそんなことを考え再び目を閉じた夢幻の午前3時。

          夜中3時の夢幻の夢中

          遠い水平線の夢

          目線の先にはいつもの見慣れた海岸。 見慣れた? わたし、前にもここに来たことがあったの? ここはどこだろう。 右足は太陽の熱の伝わる真っ白な砂の上に、左足は冷たくごつごつとした小石に乗っている。 目線を上げると、右側の海水はどこまでも透き通ったコバルトブルーで、左側は日本海のような鈍色をしている。 中央で二色が混ざり合い、そのどちらとも言えない青碧色をした波が立っている。 右から左へ流れるように移動する人。 逆に左から右へと海面を滑るヨット。 別の色をした海でも、行っ

          遠い水平線の夢

          内田百閒「ノラや」で蘇る、我が家の「ユイや」──生き物と共に過ごす時間

          野良猫だから、ノラ。そのネーミング、好きです。百閒先生。 四毛模様だからヨモ、牛柄だからウシ(ではあまりにも猫らしくないので訛ってウッチ)、小さかったからチビ(現在8キロ)。我が家もそんな見たまんまネーミングにこだわり続けて早数十年目の猫生活を送っています。 その先代の先代…元祖先代と言っていいのが、今日お話するユイちゃん。 どの角度から見てもかわいいから、「かわゆいのユイ」ちゃんは、その母猫の「にーゃん」と鳴くからニーヤンがはらぼてで我が家に迷い込んだ36年前に、玄関先

          内田百閒「ノラや」で蘇る、我が家の「ユイや」──生き物と共に過ごす時間