心に余裕を、そして平常心を。
ポツン。
可哀想だなぁと思った。
ポロリと落としてしまった人も、ポツンと取り残されてしまったこの物体も。
今朝、地下鉄の座席にポツンといたのはワイヤレスイヤホン、のケース。
中が入っているかどうかはわからない。
いっそのこと、中身のイヤホンが入っていたほうがいいのにな、と思った。
でもきっと、イヤホンは主人の左右の耳に嵌まり込んだまま、ケースだけがカバンかポケットの隙間からポロリとこぼれ落ちてしまったのだろう。
実用的に考えるとケースなんて何処かでまた手に入るわけだから、落とした本人は「イヤホンは無事で良かった」なんて思ってるかもしれない。
しかし、ケースにとっては?
突然ひとりポツンと取り残され、誰からも見向きもされず、このまま数駅行けば終点で、駅員さんが見つけてくれるだろうけれども、その主人が引き取りに来くれるかどうかはわからない。
だからケースが一人ぼっちではなく、中にイヤホンのお二人も入ってたらいいのにな、なんてことを考えていたら駅に着いていた。
中途半端な情け心で拾って、見ず知らずの駅で届け出るよりも、終点で拾ってもらったほうがスムーズにことが運ぶに違いないという逃げ口上で、そろそろと下車してしまった。
先週からバタバタと何やら忙しい。
医師の一人が緊急入院、手術を受けることになり、その間その医師に受診予定の外来患者を別日に移すための調整、謝罪電話に忙殺された。
そして今日は、その医師の復帰第一日目。
もともとギチギチに予約が入っていたところに、さらに予約日を変更した方を無理やり詰め込んだので、ギッチギチになっていた。
あぁ、忙しかった。
と思ったら、普段やらないようなミスをしでかしてしまった。
こういうときに、こういうことになるんだよなぁ。
あぁ、変な汗出た。
と思ったら、今度は全く私のミスでもないのに何故か私が咎められていた。
うーーん…と思ったけど反論しても仕方ないとわかっていたので黙って聞いていた。
まぁ、こういう日もあるもんさ。
足したり引いたりして結果プラスだったらそれで良し!みたいにその分他で取り返すなんてことはできないかもしれないけど、その他やるべきことはちゃんとやったし、各方面への気配りも忘れずにできていたはずだ。
落ち込まないわけじゃないけど、起きてしまったことは仕方がない。
明日からも平常心で稼働するまでのことだ。
それにしてもあのケースはどうなっただろう。
無事に主人やイヤホンたちに再会できただろうか。