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1分で読めるショートショート・36 ホワイトボード異世界譚


目が覚めると、そこは真っ白な世界だった。見渡す限り、白い平原が広がっている。

「ここは……どこだ?」

戸惑っていると、目の前に突如として巨大なホワイトボードが現れた。そして、その上には謎の文字が浮かび上がる。

『ようこそ、異世界転生者よ。ここは君の望んだ世界だ』

「え? 僕が望んだ世界?」

すると、ホワイトボードに新たな文字が書き加えられた。

『そう、ここは君の心の反映だ。この世界で、君は自由自在に物語を創造できる』

「物語を創造?」

次の瞬間、僕の手に一本のマーカーが現れた。恐る恐るホワイトボードに触れると、マーカーが滑らかに動き出す。

『さあ、君の物語を書き始めよ』

僕はマーカーを走らせ、異世界の冒険譚を描き始めた。勇者が魔王を倒す物語、平凡な高校生が異世界で英雄になる物語……。

描き続けるうちに、僕は気づいた。この世界は、僕だけの物語を紡ぐための無限のキャンバスなのだと。

そして、僕はこの世界の創造主として、終わりなき物語を紡ぎ続けることを決意したのだった。


この少年は実は異世界に転生したのではなく、交通事故で昏睡状態に陥った少年の意識が作り出した空想の世界だった。

少年は病院のベッドで眠り続け、意識の中で無限の物語を創造し続けていた。そして、その物語は現実世界では出版され、多くの人々に感動を与えている。

どうやって昏睡状態なのに意識を読み取れるのか、などとヤボなことは気にしてはいけない。

そう。これは『異世界』なのだから。

向こうの世界からすれば、だが。

少年は、現実世界に戻ることはなかったが、彼の物語は永遠に生き続け、人々の心に希望と勇気を与え続けるだろう。


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