世界初?!コンデンサの製造工程をお菓子作りで再現してみた!🍪
こんにちは!村田製作所の広報担当です。
突然ですが、こちらはムラタの主力製品である「積層セラミックコンデンサ(以下、コンデンサ)」。
どんなものなのか、どうやって作られているのか、ご存知ですか?
普段みなさんの目に直接ふれる機会も少ないので、あまり知らない…という方も多いかもしれません。
このコンデンサには、ムラタの技術力が本当にたくさん詰まっています!
しかしその製造工程は企業秘密が多すぎるため、実際の工程をお見せすることができません…。
そこで、今回のムラタのnoteではなんと、
コンデンサの製造工程をお菓子作りで再現してみました!
そのお菓子は…クッキー!!🍪
長年、老若男女に愛され続けてきたお菓子です。
初めての挑戦です。果たして、うまく再現できたのでしょうか?!
この記事を通して、みなさんにコンデンサを少しでも身近に感じていただけると嬉しいです😊
まずは準備から!
なるべく忠実にコンデンサの工程を再現できるよう、事前に社内の有識者に相談し、レシピを作成しました。
実際のコンデンサの製造工程は大きく分けると以下の10工程になります。
(細かい工程は今回は割愛しています。)
今回、この10個の工程をクッキー作りで再現していきます!
これからコンデンサクッキーに生まれ変わる予定の材料はこちらです。
いよいよ準備が整いました!
いざ、コンデンサクッキー作りのスタートです!!
製造開始!!
工程1. 材料を混ぜる
まずは、クッキーの材料を混ぜ合わせ、生地をつくっていきます。
(その後、ひとかたまりにして冷凍庫で生地を寝かせます。)
コンデンサでは?
いろいろな粉や液体状の材料を混ぜて、粘性の強い誘電体※の原料をつくります。
ここがポイント!💡
この工程を担当しています!
工程2. 誘電体シートの作成
工程1でできたクッキー生地を、均一な厚さ(3mm)になるように薄く伸ばしていきます。
伸ばした生地を10cm×10cmにカットしました!
このあと積み重ねていくので、これと同じものを5枚つくります。
コンデンサでは?
工程1でできた誘電体の原料を薄いシート状にし、「誘電体シート」をつくります。
誘電体シートを積み重ねる枚数が多いと、蓄える電気の量が増えます。
たくさん積み重ねるため、なるべく薄くすることが大事です!
ムラタはこのシートを1mmの1,000分の一の単位でつくっています。
ここがポイント!💡
工程3. 誘電体シートへの内部電極印刷
内部電極※に見立てたココア生地を工程2の生地になるべく均等に並べていきます。
コンデンサでは?
工程2でできた誘電体シートに内部電極となる金属ペーストを塗布します。
工程4. 誘電体シートの積み重ね
工程3でできた生地をずれないように積み重ねていきます。
今回は5枚の生地を重ねてみました!(限られた時間での手作業ではこれが限界…)
コンデンサでは?
工程3でできた誘電体シートをたくさん積み重ねていきます。
コンデンサでは、何百層ものシートが積層されています!
ここがポイント!💡
この工程を担当しています!
工程5. プレス工程
上から圧力を加えてプレスします。
全体に均等に力を加えるのが難しかったのですが、なんとか1.5cmほどの薄さになりました!
工程6. カット工程
重ねてプレスした生地を、包丁でカットしていきます。
コンデンサでは?
積み重ねた誘電体のブロックを1.0mm×0.5mmや1.6mm×0.8mmなど所定のチップサイズにカットします。
工程7. 焼成
いよいよ焼成です!
カットした生地を天板に並べ、170度に予熱したオーブンで15分ほど焼きます。
コンデンサでは?
カットしたチップを1000度~1300度くらいの温度で焼成します。
これにより、誘電体シートと内部電極を一体化させることができます!
ここがポイント!💡
この工程を担当しています!
工程8. 外部電極塗布、焼き付け
15分焼き終わると、ほんのり焼き色がつきました!すでに甘くて良い香りがします。
続いて生地の両端面に、外部電極※に見立てた卵黄を付け、
170度に予熱したオーブンで再度15分ほど焼いていきます。
コンデンサでは?
焼成の終わったチップの両端面に、外部電極となる金属ペーストを塗布します。
その後800度前後の温度で焼き付けます。
工程9. めっき工程、 そしてついに完成!
ついに焼きあがりました!
美味しそうにこんがりと色づいています💛
しかし、まだ完成ではありません!
実際のコンデンサの工程では最後に外部電極部分へ「めっき加工」を施しますので、
このコンデンサクッキーでは、めっきの代わりとしてグラニュー糖に投入します。
コンデンサでは?
実際のコンデンサは外部電極の表面にNi(ニッケル)およびSn(スズ)のめっきを施します。
Niめっきは信頼性向上(故障や異常の発生を抑えて、安定した特性を発揮)、Snめっきは半田実装をしやすくするために行われます。
そしてめっき加工が完了し、ついにコンデンサクッキーが完成しました!!
実際のコンデンサ(3.2×2.5mm)とコンデンサクッキーを並べてみました!
これでもムラタのコンデンサの中ではかなり大きいサイズのものです。
コンデンサがいかに小さいかが、一目瞭然ですね。
この小さな部品の中に、たくさんのムラタの技術が詰まっています!✨
ちなみに、積層セラミックコンデンサは別名MLCC(Multi Layered Ceramic Capacitor)と呼ばれますが、これはMLCC(Multi Layered Cocoa Cookie)ですね😉
工程10. 測定、包装工程
ついに完成しましたが、このままでは誰かにお渡しすることはできません。
実際のコンデンサも、最後にできあがったチップが所定の電気的特性を有していることを確認し、
テーピング等の包装を施した後、ようやくお客さまの元へ届けることができます。
ということで、コンデンサクッキーをカットして断面をチェックします。
コンデンサの工程をクッキーで完全再現してみましたが、残念ながら完璧で美しい積層にはできず、
ひび割れも多数出てしまい、ムラタのコンデンサのように綺麗に作ることはできませんでした…。
やっぱり難しい…!
このコンデンサクッキーをとある方にプレゼントするため、包装を行いました!
ふう…。ようやく長い10工程が終わりました!達成感がすごいです。
あの小さなコンデンサができるまでに、これだけ多くの工程があること、
そしてその1つ1つの工程にさまざまな技術が詰まっていることをクッキー作りで再現する中で実感しました!
各工程を支えるたくさんの従業員の努力や、部資材のサプライヤーさまのご協力があってこそ、ムラタはこのコンデンサを世界中に届けることができます。
セラミックコンデンサ事業本部の本部長にインタビュー!🎤
完成したコンデンサクッキーを、実際のコンデンサを世界にお届けしているセラミックコンデンサ事業本部の大森本部長へプレゼントしてきました!🎁
Q. コンデンサクッキーはいかがでしたか?
Q. ムラタのコンデンサ、そしてモノづくりへの想いを聞かせてください
そもそも、コンデンサって何?
コンデンサとは一時的に電気を蓄える機能を持った電子部品です。
電流に含まれるノイズを取り除いたり、必要な信号だけを取り出したり、直流をカットし交流だけを通したり・・・と、電子回路の中でさまざまな形で使われています💡
コンデンサは電気および電波を扱う機器には必ず使われ、スマートフォンでは1台あたり約1,000個、ノートパソコンで約800個、自動車には約8,000個も搭載されているんです!
この小さな電子部品が、私たちの身の回りの便利な生活を陰で支えてくれています✨
さいごに
今回のムラタのnoteはいかがでしたか?🍪
この記事を通じて、ムラタのコンデンサや技術力について知っていただき、より身近に感じてもらえていると嬉しいです♪
ぜひ皆さんもコンデンサクッキー作りにチャレンジしてみてください💪
ちなみに生地は結構余りましたので、半分の材料でも同じものをお作りいただけると思います!
私たちも次はもっとたくさんの層での製造に挑戦してみたいです。
次回もお楽しみに!