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ひねくれ映画『ジョーカー』1が傑作なときの2の受け止め方~なんで恋愛ミュージカル映画になっとんじゃああああ!?

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『ジョーカー(Joker)』と『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(Joker: Folie À Deux)』の話をします。

※最初(目次1)から『ジョーカー(Joker)』のネタバレを、
途中(目次3)から『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(Joker: Folie À Deux)』ネタバレを含みますのでご注意ください。

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レイトマジョリティな私がめずらしく、
公開初日に映画を観に行きました。

なぜかというと、とても好きな映画の続編だったからです。

※レイトマジョリティはマーケティングの用語で、要はバズッたあとに見に行く野次馬的な層のことです。

・イノベーター(革新者)2.5%
まじ最先端すぎて一般人にはついてけないです。小さい映画館で誰も知らない映画を観ます。
・アーリーアダプター(初期採用層)13.5%
アンテナの張り方が良いです。人脈も含めて情報感度高めです。
・アーリーマジョリティ(前期追随層)34%
ここのすそ野は広いです、なんちゃって文化人からなんちゃってパーティーピーポーまで様々です。とりあえず食べログ3.5以上の店しか行きません。
・レイトマジョリティ(後期追随層)34%
もうこの辺からは別種です。食べログなんか信じないです、サイゼリアしか信じません。サイゼが最高です。
・ラガード(遅滞層)16%
遅れているらしいです。たぶんガラケー勢です、たぶん。何か極端な信念があるんです。

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1.まず『ジョーカー(1)』についての感想(え、いまさら??)

私は、『ジョーカー(1作目)』(以下、1)にとても感動しました。「映画館に行くようになった、きっかけの映画」と言っても過言ではありません。

というのも、私は貧乏症なので、
・そのうち金曜ロードショーでやるでしょ・ネット配信されるでしょ
・二時間座りっぱなしって長い。他の事したい。。。
・隣の席の人がポップコーン食べてるだけでイヤ。。。(ただの神経質)
と思ってしまうのです。

しかしこの『ジョーカー1』を見たら、やっぱり名作を映画館で観るのは特別な体験だと思わずにはいられませんでした。流行っていたのでミーハーで映画館に行っただけだったのですが、とても感動しました。

音楽が。
この表情が。
全身で、訴えかけてくるものが。
すごく心に響いたのです。

主人公アーサー・フレック(演:ホアキン・フェニックス)の説得力が尋常じゃないのです。彼の声が! 表情が! ダイナミックな音楽と、始終薄暗くてしかし良い色をした映像と相まって、絶望を訴えかけてくるんです。

これは映画館だからこそです。
二時間集中して、大画面で、良い音響で体験したからこそ溢れる感動です。

映画が進むにつれて、どんどん主人公に感情移入というか自己投影をしていって、、、
普通と・世の中とのズレが、必死で生きているのにどうしても埋まらなくて、、、
だんだん溝が広がっていって、、、
あがいてもあがいても、沈んで行って、、、

ーーもう、狂っていいよ。
ーーくるわなきゃ、やってられないよ。
ーーおかしいのは、世界の方だよ。
ーー君は、もう、、、くるっていいんだよ。

そんなことを思う、苦しい映画です。
すごくすごく、感動しました。
映画館、最高でした。

実際、家でネット配信で見直しても、これほどの感動はありませんでした。

私は同じ映画を2回見るなんていうのがそもそも稀なのですが、『ジョーカー1』は4回は見ました。家で観ると画面サイズが小さいので、改めて構図が良いなとは思いました。画面がとても見ていて気持ちが良いというか。違和感のある絵が無いというか。どのシーンも、美しい写真みたいに惚れ惚れしました。

まあでも感動という意味では、やっぱり映画館でした。

虎杖(いたどり)の友達も言っていました。
「やっぱり映画館で面白い作品ひいたときの感動はでかいよ」と。

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(ここから一瞬、めちゃくちゃ薄い「呪術廻戦」の話をします)

虎杖は東堂みたいなあんな変態筋肉ビブスラップ男じゃなくて、吉野順平みたいなああいう素直な友達をもっと持つべきなのです!

「食戟のソーマ」の美作昴 (みまさかすばる)ならいいんです。あのぐらい変態筋肉モノマネ男なら、カッコイイです。あのぐらいちゃんと悪役をすべきなのです。東堂は薄めた美作みたいで嫌いなのです。。。カムバック、順平、、、

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さて、話を戻しまして、

ジョーカーは自分の物語です。
どうにもならない自分の話です。病の母がいて、自分も持病があって、恋人もいなくて、仕事はうまくいかなくて、世間に居場所がなくて、それでもコメディアンになるという夢があって、、、

なにもかもが自分の物語です。
そして狂気だけが、救いです。
狂った世界で、狂気だけが安らぎです。

道化は、人々を笑わせます。
パンとサーカス、それが大事です。

でも、笑顔を浮かべる人々の仲間に、道化は入れてもらえないんです。
ピエロは嗤う人々を、どうして許さなくてはいけないんでしょうか。

僕の人生は悲劇でも、世の人々はそれを喜劇にするんです。
狂気に身を浸したアーサーが、同じくはみだし者のゲイリーだけを許します。これがもう、彼の狂気の美しさです。

狂気は、そうせざるを得なかった苦渋の決断であり、救いなんです。すべてをゆだねたくても、たとえ母親を殺したとしても、やっぱり殺せない人もいるんです。

何度見ても心が動かされる、本当に良い映画だと思います。

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2.あれ、予告のようすが、、、

ーー「フォリ・ア・ドゥ」はフランス語で「二人狂い」という意味。
妄想を持った人物Aと、親密な結びつきのある人物Bが、あまり外界から影響を受けずに共に過ごすことで、AからBへ、もしくはそれ以上の複数の人々へ妄想が感染、その妄想が共有されること。。。

お、ぉお、な、なんだそれは!ってかんじです。
テンションあがります。

『ジョーカー1』のラストは、狂気が伝染していくシーンで終わったので、このままアーサーがみんなの中心になって英雄になって世界をぶっ壊す的な話なのかなと期待します。

理不尽な世界VS狂った主人公の構図が1で出来上がっており、舞台は整っているわけです。ついに戦いを挑むわけです。腐った世の中に革命が起こるわけです。

1でもう十分に素晴らしかったのに、そこに2を付け足すのですからもうワクワクが止まりません。

と思って予告を見ると、、、

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あれ、、、なんか恋愛モノっぽく見えます。
まさかの新女性キャラでダブル主人公の様子です。

ま、まってください。
恋愛なんか妄想の中でしかしないのが彼のいいところだったのに、現実の女性にうつつを抜かす話ならちょっと悲しいです。

1作目でカリスマになったという話の構成だから、まあ2作目では多少女性にモテたって仕方ないかもしれませんけど。。。

まあ、まだ起こっていないことをあれこれ考えたって仕方ありません。観ればいいのです、観れば。2024年10月11日金曜日、頑張って初日に観に行きます!

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3.なんで恋愛ミュージカル映画になっとんじゃああああ(※ここからネタバレです)

ーー真実の愛が必ず君を見つけるからぁ~♪

はあぁあああ!?
なんじゃこりゃぁああああ!?

これじゃ犯罪者カップルが傷を舐め合ってるだけじゃないか!?
殺人鬼と放火犯が大画面でなぁにをしとるんじゃぁああああ!!!

まあ、これがファーストインプレッションでしたよね。「観てどうだった?」って聞かれたら最初にこう答えますね、はい。

アーサーは寄るべもなく、ひとり冷蔵庫に入っていたあのときの気持ちをわすれてしまったのでしょうか?

ひとつだって縋れるものは無かった。信じたかったものは、ことこどく自分を裏切った。
自分さえも、自分を裏切った。。。
あの夜を、、、

忘れたのかぁぁああああ? 

と、叫びたくなりますね、はい。

まあでもだからこそ、
彼が愛を見つけたのは、しあわせで、
ほんとうの意味で救いなのかもと、、、

いやぁ、、、恋なんかじゃ救われないと思うんだけどなぁ。そんな簡単に救われるわけがないよ。

これじゃあ『ジョーカー1』がただ童貞がイキって六人殺した話になってしまったじゃないか。。。童貞が童貞ゆえに人を殺したみたいになっちゃったじゃないか。。。

いや実際、そうなんだけれども。1は要約すると童貞がイキって六人殺した話なんだけども。

人殺しはどうしたって正当化されないし、、、
でも彼は、どうしたってそうせざるを得なかったんだっていうことを丁寧に丁寧に描いた傑作だったわけで、、、

だからこそ、このチープなかんじが許せないんですよ。安易に恋愛に走っただけではなく、ご都合主義だったところが許せないんです。

ミュージカルで2人が歌ってたらいつの間にか恋に落ちているのは、お作法だから仕方ないと思います。まったく腑に落ちないけど、いきなり2人が結ばれるのは仕方がない。ラブロマンスはそういうものだから仕方がないと自分に言い聞かせます。

それにしたって、爆弾でぜんぶ吹っ飛んで主人公だけ無事で逃げ出すってあまりにチープな展開ではないですか。。。

そんなぶっ飛んだフィクションやるなら、最初にやってよと。それでさっさと2人の愛の逃避行をしてしまえと。なぜ半端に、檻の中に閉じ込め続けたのかと。

まあでも、ラストはちょっと良かったなと思うところがあります。
ヒロインのリー(演:レディー・ガガ)の言葉で、ピエロのメイクが濃くなったり薄くなったりして、彼の仮面や自信が揺らいでいるところを表現しているのは良かったと思います。
あと、あれだけ散々歌い散らかしといて、最後に「歌うのをやめて」と言うところも。
ちゃんと六人殺した人間には救いがなくて、報いがあるところも。
この辺が良かったと思います。

途中退席しなかったからこそ、観られたラストではあります。なんだかんだ言いつつ最後までは観たのです。

観客が映画に対してひどく落胆した際、取れる選択肢は途中退席だけなので。我々消費者は逃げ出すくらいしかできないのです。。。

(そもそも途中退席したとしてもすることがあるわけではなく、そんな忙しい毎日を送っているわけではないので、ただ最後まで観ていればいいのですが)

そして、ラストのカタルシスはある種、ご褒美ではあるはずです。最後まで観たからこそ迎えられるエンディングです。でもやっぱり、むかつきます。このラストでぜんぶチャラになんか出来ないです。

だってこれじゃあ『ジョーカー1』が可哀想です。これじゃあ最後まで・『ジョーカー2』まで観ない方が良かったです。

これが人生♬ なんてまとめ方は人生を馬鹿にしてると思うんです。

ーー歌って踊って恋をして、やっぱり自分はどうしようもなくて、報いを受ける。

それで、人生なんてこんなもんだろ? って。

そう言ってるなら、人生をバカにするなと思うのです。

『ジョーカー1』は、
どれだけ世界に爪弾きにされても
君だけは君を尊重し、君自身を愛し、
一切の同情もされず地獄に落ちるとしても、
君だけは君の願いを聞くことができる、と。

そんなすべての人間に価値があるというテーマ性だったのに。

ここまできて、やっぱり大事なのは愛でした、
でも人殺しに救いなんかあるわけねっす♪ 
って話はつらすぎます。

愛がもらえないから狂うしかなかったんですよ!?

狂ったけどたまたまカリスマになって、運よく自分を愛してくれる人に出会って救われた、なんてそんな普通の成功者みたいな話ありますか。

学生時代モテなかったから卑屈になったけど、起業したらうまくいったから女優と付き合ってますー、ってぐらい普通の成功者の話ですよ!

男子校時代(1の頃)を無かったみたいにして、女の子とイチャイチャして喜んでる大学デビューの友人ぐらい腹立ちますね。

ジョーカーファンはそんなの求めてないのです。。。(いや求めていないのは私だけで、みんなは求めているのかもしれない)

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4.それでも擁護しようとすると

(※前回の『AOAO SAPPORO』という水族館の話に引き続き、私は一方的に文句を並べたりしないように、バランスを取りたいと思っているので、擁護もしようと思います。2はほんとは擁護したくないんですが

まあそんな簡単に世界は変わらないから、とりあえず恋愛しとけよっていうのは分かります。

しかしそれでは結局、性欲ではないでしょうか。。下半身に脳みそ支配されてないでしょうか。。けっきょく、モテたいから努力して金稼ぐのが正義だって言うんでしょうか。

まあでも誰にも愛されず、ひとりぼっちだった彼が、一時的にでも愛されたことは、とても幸せなことだと思います。人の幸せをひがんではいけません。

なんとなく、RADWIMPSの『いえない』という曲を思い出しました。

ーーいつだって愛は必死さ
ーー甘くなんてないのさ
ーー甘いのは愛が見せる夢のほうさ

こういう風な観点で映画を観ると、また違うかもしれません。

愛が必死だったんです。そこはたしかです。

他人の恋愛に興味が持てない私の方がサイコパスなだけです。。。

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5.おわりに

1がとても素晴らしかったから、やっぱりそこから話のスケールアップが欲しかったと思ってしまいました。

1があれだけ等身大の、虐げられる者の描写だったのに、
2でまさかの恋愛でミュージカル?? え、歌って踊るの?? ってなります。そんなテコ入れ誰が求めたの?? って聞きたくなります。

恋愛で救われるくらいの苦しさなら、
モテる努力だけすればよかっただろって話になってしまいます。
君の抱える苦しさはそんな安いものでは無かったはずだろうと。。。

ああ、堂々巡りですね、、、
同じ話を何回もしてる気がします。
もう帰ります。。

1が素晴らしいと勝手に期待してしまうんです。期待しないで観に行くのが正解なんでしょう。期待するから勝手に裏切られた気がするんです。いやでもすばらしかったら、期待せざるを得ないでしょ、、

いっそ独立した、まったく別のものとして見るという手はありますでしょうか。。。

いや、1の話抜きで2見たら余計訳わからんくなる映画がほとんどですよね。。。1の下地ありきの2なんですよね。。。

『ジョーカー2』だけ見たら、まじ胸糞悪いだけの恋愛ミュージカル映画ではないでしょうか。のっけから殺人鬼が歌って踊ってイチャイチャしてるのをずっと見させられるんですよ? 早くこいつに裁きを!としか思えません。。。

映画とかエンタメ全般は、暴力と恋愛の要素を入れると売れる、と昔からよく言いますが、さらにそこに音楽要素も入れないとダメになったんでしょうか。。。

もうほんと、ジョーカーは演技だけでもいいのに。。。アップでホアキン・フェニックスが見られるだけで良かったのに。。。誰が恋愛ミュージカル映画にしようとしたんでしょう。。。

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蛇足

映画の中身とは全く関係ないのですが、映画の上映中、隣の席でマックを食ってる人がいました。ゆるせません。ゆるせませんが、マナーの問題なので何も出来ません。くやしいです。悔しいので聞いてください。

別に私、そんなにマナーとかうるさい方じゃないというか、、、むしろ自分がマナーを守れていない時があるんじゃないかと思うので、そんなに他人にあれこれ思わないんです。。。思わないように努力はしているんです。。。??

最近話題になった以下のニュースもそんな大げさな、神経質では、、、なんて思っていました。しかしいざ自分が被害者になるとそんなおおらかなことは思えませんでした。。。

〈君の名は。の再上映の映画館にマクドとケンタッキー持ち込みして、ガチャガチャ音立てながら食べて、食べ終わったらトイレに行き、帰ってきたら寝ていびきをかくというゴミクソムーブをした隣の席のやつは前前前世からやり直せ〉

https://news.yahoo.co.jp/articles/3568428ca8aa1ad0da44fa38cd033c033cc8de18

公開初日、金曜日の夜の回でした。待ちに待った『ジョーカー2』がいよいよ始まりますが、どこからともなくマックの臭いがします。その出所は分かりませんが、なんとなくあの独特なマックの臭いがします。

そして場内が真っ暗になったときです。隣の席のスーツ姿の若い男性が、足元の大きな黒いリュックからマックの紙袋を取り出しました。臭いの原因は、最悪なことにすぐそばだったのです。

それから上映中、もぐもぐもぐもぐ、ずっと食べていました。。。

謎の恋愛ミュージカル映画を観ながら、彼はずっとマックを食べていました。。。

仕事終わりでお腹すいているのは分かります。おつかれって気持ちもあります。ビールとか持ち込まないでくれてありがとう、と思います。

しかし、臭いがすごくてまじゆるせません。

ジョーカーは裁判官と検事をぶっ飛ばす妄想をしてましたが、
私はそのシーンの時に、隣のスーツの男性をぶっ飛ばす妄想をしました。

映画館って逃げ場がないから本当にギルティです。。。
前前前世からやり直してくれというのはこういう気持ちかとやっと理解できました。

私はどうしたらよかったのでしょう。

1.シャカシャカポテトのように、彼のマックに香水を吹きかけてあげる。
2.帰り際に「マックはダメだよ、モスにしなよ」とサイコパス気取りなジョークを言う。
3.映画館にクレームを入れる。

まあどれもダメですね。。。
3なんかカスハラです。。。

現実的な対策は、マスクに香水をつける、とかしかないですよね。
でも香水も、隣でつけられたらそれはそれで、けっこう匂いきつくて嫌ですよね。。。

みんなが自己防衛のためにスメハラしたら世界は破綻しそうなので、やっぱり臭いの連鎖を止めるためには、我慢するしかないかもしれません。。。

でもつらいものはつらいので、良いアイディアが思いつくまでしばらくは映画館で映画は観なくてもいいかなと思っています。。。

最初と言ってることが真逆ですね……
まあジョーカーのおかげで映画館に行くようになったのだから、ジョーカーがきっかけで映画館に行かなくなるのもまた数奇なご縁ということでしょう。

以上です!
今晩も、私の私による私のための、若干サイコパスな与太話にお付き合いいただき誠にありがとうございます!

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