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読んだら声が聞きたくなる|おすすめ家族小説厳選7冊

家族に伝えるのが恥ずかしいような感謝も、本が後押ししてくれることがあります。逆に家族という存在がわからなくなったとき、誰かの家族を物語で覗き見してみてもいいのかもしれません。

今回は家族をテーマにしたおすすめの小説を7冊選びました。
読んだら心が揺さぶられるはず。ぜひ読んでみてください。

『流星ワゴン』重松清

不倫する妻、引きこもり暴力を振るう息子。自身もリストラされ、もう死んでしまってもいいかと思っていた僕。だがその夜に、5年前に交通事故死した親子の乗る不思議なワゴンに出会う。そして自分と同い年の父親にも遭遇し、、。4人を乗せたワゴンは僕の人生の岐路になった場所に戻っていくが、やり直しは叶えられるのか。

家族だって、分かっていないことはたくさんある。家族だからこそ、目をそむけてしまった部分もきっとある。壊れてしまった家族の物語をもう一度たどっていく中で、自分の家庭だけでなく嫌いだった父親への見方も変わっていく。家族の関係は単純ではないからこそ、親子の愛情に強く胸を打たれる感動作です。

『星やどりの声』朝井リョウ

海の見える街ある「星やどり」という喫茶店。それを営む早坂家の3男3女と母は、亡き父の思い出とともに暮らしていた。だが常連客だったおじいちゃんが姿を見せなくなってから、徐々に家族に変化が訪れ、、。

お父さんが残した思いを知る時、思わず涙してしまう作品。兄弟6人の視点で進む物語の中には、年の離れたそれぞれの苦悩も描かれています。家族は離れられない重りになることもあるけれど、それより大きな繋がりなんだと教えてくれるとても優しい1冊です。

『重力ピエロ』伊坂幸太郎

兄の泉水と弟の春は半分しか血がつながっていない。春は過去に母がレイプされてできた子供だった。その記憶を抱えたまま兄弟は大人になり、連続放火事件は始まる。現場近くの謎のグラフィティアートと遺伝子はリンクしていて、、。

ミステリーの要素を含みながら、作品の中の圧倒的な家族の存在に気付かされる。伊坂作品ならではの伏線回収を楽しみながら、家族のセリフが胸に残る、そんな1冊です。

『ぶらんこ乗り』いしいしんじ

ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な私の弟は、ぶらんこから落ちて声を失った。代わりに彼は動物と話をし、作り話をたくさん作った。でもそんな弟はもういない。ある日4歳だった弟が残した古いノートが出てきて、、。

幼い弟が日常とはぐれてしまった苦悩の中で、それでも必死に生きている証に苦しくすらなる作品です。本文中に出てくる「弟が書きつけた動物の話」は、そのひらがなのあどけなさとは裏腹に、どこか悲しみをたたえています。懸命にこの世につながっていたいと生きた彼の、愛おしい記録。

『ベルナのしっぽ』郡司ななえ

27歳で失明した著者と盲導犬ベルナが家族になっていく物語。犬嫌いだった私は子育てをするために、盲導犬とパートナーを組む決意をした。社会の無理解という壁にあたっても、一緒に歩んできたベルナはやがてかけがえのない家族となっていく。だがそんなベルナにも別れのときがやってきて、、。

著者とベルナ、そして息子の幹太が歩んだ日々が、とても優しく誰にでも分かる言葉で綴られています。悔しい思いも沢山する中で、それでもそこに生まれる家族の絆がとてもあたたかい気持ちにしてくれる1冊。犬である以上に盲導犬として命を全うしたベルナの物語に、きっとあなたも涙します。

『オー!ファーザー』伊坂幸太郎

高校生の由紀夫には父親が4人いる。息子を守る四銃士はギャンブル好きに女好き、博学とスポーツ万能と個性に溢れている。そんな父親たちに囲まれながら、息子はどんどん事件に巻き込まれ、、。

こんなにスピード感あふれる面白い父親たちはいるんだろうか。好き勝手に生きているような個性的な4人だが、事件に巻き込まれた息子を守ることに関しては手段を選ばない。読み進めるうちにパズルがどんどんはまっていくような、痛快な文章にきっと引き込まれる。異色の父子の物語。

『母性』湊かなえ

この記事の中で、この本は唯一心温まる物語ではありません。事実とは一体なにかを考えさせられるミステリーです。主観が入り混じり合う家族という密な縛りの中に、客観的な事実などあるのでしょうか。

優しい母か、手をあげる母か。母を疎む娘か、母の味方でいたい娘なのか。母親と一人の人間の境界の存在や視点を生々しく描いている作品です。


いかがだったでしょうか。
家族という濃い繋がりの中にこそ生まれる苦悩や感動に出会える作品ばかりだったと思います。

別のテーマのおすすめの本についてもこれから記事を出しますので、是非チェックしてみてください!

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mayu
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