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会社から本を読むスペースがなくなる悲しさ

なんと、オフィスから読書スペースがなくなることになりました。

学校を出てから、本棚が連なっている少し暗いスペース、いわゆる図書館は市立の図書館に行かないと出会えず、そんな機会はあまりありませんでした。でも、入社したらなんとその図書スペースが会社にあったのです。極楽か。それも、入社して数年間は知らなかったのですが、勉強熱心な転職組の上司に教えてもらって使い始めました。

私はそのスペースがとてもとても好きで、許される時にはそこで仕事もしていたし(執務スペースの一部だったのです)、気になった本があれば借りて読んでいました。なんなら会社の中で一番好きな場所だったかもしれません。本に囲まれるって、なんであんなに幸せなんでしょうか。

今は会社から遠くに住んでいるので出社はあまり気乗りしません。でも、何かイライラすることがあったとき、ちょっと一人で考え事をしたいときやアイデア出しの気分転換なんかで訪れるんです。連日行く日もあれば、数週間行く時間が取れない時もありました。でも、その場所があることが私にとって会社の中でのお守りというか、心安らぐ場所だったんですよね。

でも、やっぱり私のように知らなかったり、使わなかったりする人が多すぎたのかもしれません。本は維持にお金がかかるし、その場所の運営だってただじゃありません。会社だから、利益を産まないものに投資し続けられないのももちろんわかります。でも、そのお知らせを見つけたときに、とても悲しくなったのでした。

そしてこの本たちがどうなるのか、私にはわかりません。サービスとしては、電子図書館に置き換わるそうです。でも、あの空間に私は守られていたんだよなあ。紙の本の匂い、少しだけ薄暗い場所、静かだけれど無音ではない空間といつでも開いているという安心。

町の本屋さんが閉じていくのと似た寂しさでした。会社の業績が気になるぜっていうところももちろんあるけれど、使われていなかったのも知っているので、納得するところもありました。いいと思ったもの、守りたかったら時に広めて、そして自分も責任を持って通い続けないといけないんですね。

これが会社の一スペースで良かったかもしれません。もしもお気に入りのパン屋さんとか、週末気軽に飲める居酒屋さんとかだったら、なんだかもっとやりきれなかったかも。それで跡地がチェーン店になっちゃったりなんかしたら、グッと寂しさを飲み込み続けていたのかもしれません。会社はね、私だっていつまでいるかわからないからね。と、これは精一杯の強がりです。あの本たちが、どこかで大切に読まれていくといいな。


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mayu
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