2024年11月の記事一覧
「ありし伏見の夢のうらみより後は、まどほにのみなり行くにつけても、ことはりながら、たえせぬ物おもひなるに、」(『問はず語り』岩波文庫p.142 )
心に沿わぬ共寝をした兼平に対し、返歌に添えて「いかなる世にもと思ひそめしものを」と書く『問はず語り』作者。
女性の心細さが悲しい。
自業自得の部分もあるとはいえ気の毒な境遇、そして何より女性には気の毒な時代だ。
「こよひばかりの夜半もふけぬべし。ひまつくり、いでよかし」(『問はず語り』岩波文庫 p.140)と命じた後深草院。翌日、「こよひかならず、しるしある事あるらむとおぼゆるぞ。もしさもあらば、うたがふ所なきいわねの松をこそ」(ibid. p.141)と話す。
そして院の側室(『問はず語り』作者)の妊娠が明らかになる。
関白兼平のときもそうだが後深草院は寝取られる快楽を貪っているのではないのか?
院は『問はず語り』作者を心から愛してはいないのではないのか?
もっとも『問はず語り』作者はすでに院ではない男の胤を密かに出産しているのだが。
男も男、女も女。
こういう関係が人間を幸福にする場合もあるのだろうか?
と現代風に想像してみたが、多分、後深草院はこれよ
冬忠•雅忠などにぬしづかれて、ひまをこそ人わろくうかがいしか。腹の中にありしをりも、心もとなく、いつかいつかと、手のうちなりしより、さばくりつけてありし(『問はず語り』岩波文庫p.138)
後深草院は側室(『問はず語り』作者)の母を恋うていた。
なんなのだ、この性の乱れは。
御所で行われているのは乱交そのものだし。
男たちは女性を卑しめるのを何とも思っていないようだ。
ひどい時代だ。
アニメ『最凶の支援職【話術士】である俺は世界最強クランを従える』のノエル・シュトーレンがかっこよすぎて憧れる。
もっとも原作者のじゃき氏が、「小説家になろう」に連載したライトノベルを、本当に書く価値のある作品だと考えていたかは疑問。
とかく、泣きさまだれゐたれども、酔ひ心ちやただならざりけむ、つひにあけ行くほどにかへし給ひぬ。われすごさずとはいひながら、かなしき事をつくして、御前にふしたるに、ことにうらうらとおはしますぞ、いとたへがたき。(『問はず語り』岩波文庫 p.131)
ただれた性関係。
いろんな事情があったのだろうけれど。
女性の共有は万葉以前からあったはずだが、女性の手になるこの種の文章を読んだのは初めてのような気がする。
御所にて帯をしぬるにも、思ひいづるかずかず多かり。(『問はず語り』岩波文庫 p.124)
『問はず語り』は、読み終えたら『源氏物語』を再読したいと思わせる書物。
『問はず語り』を経由することで、日本文学の最高峰を一層深く味わうことができる気がする。
なほうき世出づべきかぎりの遠かりけるにやと心うきに、あけはなるるほどに還御なる。(『問はず語り』岩波文庫 p.124)
『問はず語り』を読むと寝るときのブラ問題を気にするのが恥ずかしくなる。
そもそも『問はず語り』と関係なく、お前が寝るときのブラ問題を気にすること自体が恥ずかしいだろ? と嘲られそうだが。
一目みし夜半の面影を、二たびしのぶ心もなどかなからん。(『問はず語り』岩波文庫 p.123)
雪の曙との間に生まれた秘密の女児についての思い。
それにしても今の僕はやることが多すぎて読書をほぼ切り捨ててしまっている。