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読んだ本/『あなたに似た人』『凍土二人行黒スープ付き』

ネットサーフィンを読書に移行しようと試みて、だんだん習慣づいてきました。
しかしそうすると、仕事が詰まっているとき「ちょっと動画で息抜き」ではなく、「ああガッツリ読みたい!」となって切なくなるように……(ダメじゃないか?)。

そんな感じで、読んだ小説2作品のご紹介です!

『あなたに似た人  Ⅰ・Ⅱ』  ロアルド・ダール

映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作などで有名な、イギリスの作家ロアルド・ダールの大人向け短編集。

ダールの児童書が好きで、子どもの頃よく読んでいました。
(『マチルダは小さな大天才』が一番好きで、何度も読んだなあ。あの気持ち悪さと痛快さがたまらなかったです)
大人向け作品は今回初挑戦。

結果、するするーっと物語に引き込まれて、面白かった! 満足です。
児童向け作品と変わらない「滑稽ばなし」っぽさに加え、ホラー、グロ、ミステリの雰囲気もあり、ドキドキでした。

海外作品だし、短編は1話ごとに人物を把握しないとだし……と、手をつけるまで二の足を踏んでいましたが、心配無用でした。
原書は1953年刊(70年前!)で、今風の作品とは当然違うものの、逆に先が予測できず、気になってぐいぐい読めてしまった。

文章はそう古い感じがせず、一文一文が短めかつ上品で、すごく読みやすかったです。やー、これは他のダール作品も、いずれもっと読もう。

あとは……流血などの直接描写は多くないにせよ、全体的になかなか激しめなお話で、食事中の読書には向きません。笑
ダールのお話はやっぱり食欲減退効果がある……!

1巻の方が短いお話がたくさん詰まっていて、よりスリリングで引き込まれるものが多かったので、気になった方は順に読まれるのがおすすめ。

本筋とはまったく関係ないのですが、作中の描写で「サーモス製のアイスバケット」と出てきて、魔法瓶のサーモス? と思い調べたら、サーモスってドイツ発祥で100年以上も歴史があるブランドなのですね。
大戦中は軍でも使われたことがあるとか。初めて知りました。

『凍土二人行ににんこう黒スープ付き』  雪舟えま

歌人・小説家の雪舟えまさんの小説。
むかし『地球の恋人たちの朝食』ですっかり心を撃ち抜かれてから、少しずつ読んでいます。

建物の心を読み取る「家読み」を生業とする主人公が、旅暮らしの中で謎の人物と出会って……というお話から始まります。
4編の連作集で、ほかの人物メインの物語も。

ふわっと宙に浮かびながら、かわいらしく世界を見おろしているような文とストーリーが楽しい。
一方で時には熱く恋い焦がれたり、「体を置き去りにして、心だけでも生きていけそう」と夢を見せてくれたり……。
著者の作品はその軽やかさと熱さとの同居が独特で、ときどき触れたくなります。

自分がそんな経験をできるとは限らないけれど、「素敵なものを見せてくださってありがとう」という気持ちになる。

個人的に最初の「家読み」の彼らのお話がとても好きでした。
雪舟さん作品は人物が複数の作品で登場することもあるので、今後もときどき会えたら嬉しいな。

ちなみに、タイトルの「二人行ににんこう」は分かるが「黒スープ」とは……? と思って読み始めましたが、すぐに納得しました。雪舟さんワールドだ。笑

今回、どちらの作品も積読してしまっていて。もっと早く読んだらよかった!

ものを買うときに「発売後すぐ買った方がより長く使えてお得」みたいな理論がありますが、実は本も「早く読んだ方が残りの人生で思い出す機会が多くてお得」なのかもしれないですね(?)。

でもまだ積読は何十冊かあって、新刊もちょこちょこ買ってしまう……。
ゆっくり読んでいきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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