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「ブックオフ大学 ぶらぶら学部」
島田潤一郎 他 「ブックオフ大学 ぶらぶら学部」 (岬書店)
タイトルからして、絶妙。
本屋仲間の間でここ最近絶えず話題に上り続けている本でもある。
ちなみに今日は「塩尻音盤館」で仕事だったのだが、やはりここでも話題に。
やはりブックオフでぶらぶらしてる本屋さんは多いのだ。
自分、どちらかというと人好き・付き合いのいい方である(あった)ように思う。特に学生時代など絵にかいたようなバカだったので四六時中仲間と飲み歩いているわけである。
が、完全なるパーティ・タイプでもないのでたまーに一人の世界に入っちゃったりしたくなる。(この傾向は年々強くなっていっているように思う。)
「じゃ、オレ今日ちょっと用があるから!」とか言って仲間の群れから外れてみたりする。そのまま帰路に・・・つくフリをして寄り道をする。
そんな時は、ブックオフだ。ちょっと無駄な時間、という感じがいいのだ。江古田・中野・吉祥寺。この辺りが若かりし頃のオアシスだ。
そんな感じを、通過してきている書き手たちが集まっている。
正直、すべての書き手の記事が面白かったというワケではない。既知の”常識”も数多い。
(価格下落のシステム今昔等。しかし、正直知らなかったことも多い。本屋であっても”せどり”ビジネスとはやはり少し違うしなぁ。自分の場合。)
でも何となくみんなが感じているブックオフへの愛おしさ、みたいな部分はやはり全編にわたり感じられる。
欲しい本が見つかる、というわけでもない。むしろ逆だろう。思わぬものが見つかる意外性。
店員全てが本好きなわけではない・・・故に思わぬ本が思わぬ棚にささっていたりする。故に自分的には流し見したいジャンルの棚も油断ができない。だからチェックに以上に時間がかかる。集中力もいる。
(”自己啓発”の欄にアラスカでおなじみの自然写真家・星野道夫の本がささっていたり、”経済”の欄に今日もていねい松浦弥太郎がささっていたり・・・なんてことなどザラである。)
品揃え。
本屋間で「どこの店が何に強くて・・・」なんてやっているわけだがやはり自分と近い感覚の売り手がいる店は、すぐにわかる。そして勝手にいとおしかったりするのだ。(もちろん本屋仲間にとっていい店だからと言って自分にとっていい店だとは限らない。長野移住後の自分の好みは茅野・秩父・上田原あたりだ。)
やはり値段も、バカにできない。
価値があろうとなかろうと売れなければ安くなってしまう・・・というシステムは一時期ほどの破壊力は無いが(そう、最近のブックオフの本は結構高いのだ。モノによっては。)やはりお得な仕入れ先に変わらないし、”一発”の可能性は依然として残されている。
告白するとつい先日も¥100本のコーナーで、文庫版上巻のみでイチマンエン近くしている本をみつけてしまった。(単行本でも結構なお値段だった。)
ここが重要、ではないと思っているのは本当だ。でも悪い気がしない、のも本当だ。そりゃそこらへん”専属”で狙う輩が現れるのも不思議ではないのだなぁ。
つい、熱が入るな。
最後に象徴的なあの話を。
転売防止のための、あの異常に剥がし辛い値札。
ジツはジッポ・オイルが有効なのは有名な話。
使い方は簡単。あの値札の上からたっぷりオイルを振りかけてしばらく待つ・・・とペロン!と。油染み?ジッポ・オイルは揮発性が高いのですぐに消えます。全く問題ナシ。他の汚れにも案外効きますよ。
どんだけ有効かって、店によってはありますよ。使ってるのが見える。カウンター越しに覗いてみてください。ジッポ・オイル。
そうそうこの本。
裏表紙の著者等の記載枠があの値札を模して描かれています。
これがちょっと思わずツメを立ててコシコシしちゃいそうになるほどホンモノっぽい。
こんなところにも愛、ですね。
愛に溢れた一冊です。
http://www.coldmountainstudy.com/
coldmountainstudy@gmail.com
coldmountainstudy 店主:鳥越将路
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