【1】私が労働者として見てきたソーシャルワークの現場(精神科単科病院編:1)
意外に長くなってしまった略歴で、2014年から最近までソーシャルワーカーという仕事をしてきたことを載せた。ソーシャルワーカーって何屋さん?と聞かれることは年々減ってきているものの、まだまだ「カウンセラーとどう違うんですか?」という質問を受ける。ソーシャルワーカーの数だけ答えがあると思うが、個人的に強調しておきたいのは
ソーシャルワーカーは、社会資源を用いて、あるいは人と環境に直接働きかけて、支援対象となる方(クライエント)が望む暮らしの実現に向けた支援を行う。すなわち、臨床心理士が行うような、心理療法としてのカウンセリングはほとんど実施しない
望む暮らしは人それぞれなので、退院や就労は必ずしもゴールではない(※)
という点だ。
※精神保健福祉法では「(障害者総合支援法)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い…(以下略)」と書かれており、穿った見方をすれば「精神障害を持った人が納税者と消費者になれるよう、支援してね」というメッセージに受け取れなくもない。一方で、精神保健福祉士法では「精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進に寄与」「精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援(略)の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うこと(略)を業とする」とある。歴史的には、社会復帰というのは「長期入院していた精神科病院から地域生活への移行」を指す場合が多いと思われる。
※ただ、ソーシャルワークの効果検証に躍起になると、平均在院日数や再入院までの期間、就職率、職場定着率など、どうしても「こちら側の都合」でクライエントのゴールを提案しやすい。上長や所属機関からこういったEBP(Evidence Based Practice、根拠に基づく実践)を求められて、伴走型の支援ができない…といったジレンマは現場で大変良く聞くが、「成果」をあげようとするソーシャルワーカーが自らこのエビデンス地獄へハマっていくことも多い。自戒を込めて。
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