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世界基準のリーダーに必須となる3つのリーダーシップスキル
1.パフォーマンス・マネジメント
多様な人材が一緒に働くには、グローバル全体で共通化された、そして評価や報酬などについて透明性のある仕組みが必要になります。日本国内と海外のルール・運用を別にすると、ガラパゴス基準とグローバル基準が存在することになり、運用は複雑になり、非効率です。グローバル化の前提は、人材管理システムをグローバル共通にすること、そしてできるだけシンプルにすることです。
こういった背景を踏まえ、グローバル共通のパフォーマンス・マネジメントを導入・検討する日本企業が増えています。しかし、一方で、導入したパフォーマンス・マネジメントの運用がうまくいっていないという相談も少なくありません。第一の要因は、パフォーマンス・マネジメントを、人事制度上の「評価」のための仕組みと認識しているマネジャーが多いためです。
パフォーマンス・マネジメントは、ビジネスプロセスの中に組み込んで、日々継続的にメンバーとの対話やフィードバックを通じて、メンバーの「能力(成長)開発」を支援しながら業績を出すための仕組みです。
リーダーには、メンバーの業績達成の支援と成長支援をすることへの責任があり、メンバーには、自分がコミットした業績を達成し、自分の能力を成長させていくという責任があります(図表10)。昨今話題になった外資系企業が導入を検討していた「ノーレーティング」も、こういった背景から出てきたものです。
多様な人材が混在している組織で結果を出すためには、一人ひとりのメンバーのミッション、権限の範囲、目標へのコミットメントをとりつけるスキル、メンバーにアカウンタビリティを課し、メンバーが結果を出すことへの緊張感を維持するフィードバックスキルやコーチング力、成果に対する透明性と納得性のあるレビューをするスキルがリーダーには不可欠です。
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2.フォーカス:戦略的優先事項を決める
パフォーマンス・マネジメントは、組織目標が経営層から段階的に細分化されて、メンバー一人ひとりの目標を設定する仕組みです。リーダーに求められるスキルは、経営戦略を理解したうえで、自分のチームの目標をまず設定する、トップダウンアプローチです。
そして重要なことは、上からの目標を自分のチーム目標に細分化するだけでなく、目標達成のために優先的に取り組まなければならない戦略的優先事項をリーダーが決定し、チーム全体の目標および戦略的優先事項について、チームメンバー全員の理解が浸透するまでコミュニケーションを丁寧に行うことです。
「フォーカス」とは、目標を達成するために優先的に取り組まなければならない「注力すべきこと」すなわち、戦略的優先事項のことです。優先事項を絞り込んで決定するのは、リーダーです。多様性に富んだチームだからこそ、優先事項が決まっていないと、目標達成のためにすべきことの方向性がバラバラになり、チームが混乱する可能性が高くなります。結果的に、生産性も、そしてチームメンバーのモチベーションも低下します。
日本人は真面目で組織に対する忠誠心も強いため、戦略的優先事項が曖昧であっても、阿吽の呼吸で上司の意向を汲み取って、自分の仕事を遂行する部下が多いです。しかし、多様性に富んだメンバーで構成されているチームでは、目標達成のために個人主義になりがちです。優先事項を明確にすることによって、チームメンバーの時間とエネルギーが重要なことに集中されるので、チームの力は目標達成に結集され、チーム目標を達成する確率が高まります。
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3.アカウンタビリティ①:職務責任と権限を明確に
第2章でアカウンタビリティに触れましたが、ここではアカウンタビリティを課すことについて具体的に取り上げていきます。
日本のリーダーの多くは、メンバー一人ひとりの職務に関する責任範囲や権限を明確にせず、属人的な仕事配分と目標設定(個人の能力や、これまでの担当業務内容を基準)をしています。パフォーマンス・マネジメントと日本流目標設定が大きく異なるのは、「人」基準ではなく「職務」基準だということです。職務(ポジション)に応じて、その職務に求められる責任や権限の範囲が明確に決められており、パフォーマンス・マネジメントでは、職務基準(職務に求められる責任や権限、職務価値)に合わせて個人のミッションや責任が決まります。
そのうえで、目標設定を行い、結果責任を明確にします。メンバーの職務責任や権限を明確にするときには、ジョブグレードやジョブディスクリプション(職務記述書)が基準になります。これまでの日本流の枠組みとは異なる進め方です。
一人ひとりとの目標設定では、役割・権限、そして達成しなくてはならない業績目標(結果)を明確にし、「業績」が公正に評価されることを伝え、結果責任を課します。日本企業で働いている日本人部下は、業績の評価について上司に文句を言ったり、報酬の交渉をすることは、ほとんどないと思います。
海外では、ローカルスタッフは「会社」と「個人」の契約という概念が前提にあります。そのために、リーダーは、目標設定のときに個人に課す「結果責任」を明確にしておかなくては、評価の段階で部下とのトラブルになることもあります。
日本のリーダーは、部下に「結果責任を課す」ために、目標設定時に、部下のアカウンタビリティ――①目標設定(部下のミッション・役割、責任を含めて)、②結果を出すことの重要性(組織にとって、メンバー個人にとって)、③結果が達成できたとき/できなかったときの影響(組織にとって、メンバー個人にとって)――についてコミュニケーションできるスキルが必要です。
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4.アカウンタビリティ②:「嫌われる勇気」も必要
海外の赴任者は、「○○人はさぼる、働かない」という不満をよく口にします。その原因の一つは、日本人のリーダーが、ローカルスタッフにアカウンタビリティをしっかりと課していないためです。阿吽の呼吸で空気を読み合い、職務権限や責任以外であっても、日本人であれば誰かが協力をして滞りなく仕事を進めていこうとする暗黙の了解があります。しかし、グローバルではそのやり方は通用しません。
メンバーにアカウンタビリティを課すのは、リーダーの責任です。リーダーにとっては、アカウンタビリティを課すことが、気が重かったり、面倒くさかったり、暖昧にして楽をしたいという気持ちになることもあるでしょう。
例えば、期待する結果を、相手の抵抗を回避するために妥協する、頑張っていたが未達の結果についての責任を暖昧にしてしまう、などです。結果に対する当事者意識を持たせるために、リーダーにはメンバーにアカウンタビリティを課すことへの強い意志が求められます。そして、時に「嫌われる勇気」も必要です。
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5.おすすめ人材アセスメントソリューション
6.グローバルポジションを獲りにいく
グローバル企業において、日本人は優秀な部下にはなれるが、グローバルポジションはとれないという事態が起きつつある。外国人、とりわけアジアの優秀なリーダーたちが、日系企業の重要ポジションを占め始めている。このままでは、日本人はグローバルはおろか、国内でも重要なポジションをとれないことが危惧される。
日本企業では、なぜリーダーシップ開発が停滞しているのか。グローバルポジションをとれるリーダー人材は、いかにして輩出されるのか――。
日本人のリーダーがグローバルで戦うために世界基準で獲得すべきリーダーシップスキル、及びリーダーシップ開発成功の要諦、人事が起こすべき変革、経営のコミットについて、具体的事例とリーダーシップに関するグローバル・データを織り交ぜながら解き明かす。
7.会社概要:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
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