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人材ポートフォリオ(Talent Portfolio)/人的資本経営に求められる動的な人材ポートフォリ

1.人材ポートフォリオ(Talent Portfolio)とは

人材ポートフォリオ(Talent Portfolio)とは、企業が従業員のスキル、経験、および能力を管理し、最適な人材配置を図るために使用するツールです。人材ポートフォリオ管理の導入によって、企業はさまざまなプロジェクトや役割に最適な人材を効率的に割り当てることができます。具体的には、個々の従業員のキャリアパスを計画し、継続的な教育と成長を促進するための戦略的な手法として用いられます。


🔶人材ポートフォリオ導入の目的

  1. 戦略的な人材配置:企業の長期的なビジョンと短期的な業務要求に応じて、適切なスキル、経験、能力を持つ従業員を効果的に人員配置します。これにより、リソースの最適化が可能になり、組織全体の効率と効果が向上します。

  2. リスクマネジメントの強化:人材ポートフォリオを通じて、スキルや経験が偏らないよう多様性を保ちながら、将来の市場変動や技術進化に対応可能な柔軟性を確保します。これにより、人材に関するリスク(例えば、重要なスキルの欠如や後継者不足)を軽減します。

  3. スキルギャップの特定と解消:組織内の現有スキルと必要スキルを照らし合わせ、ギャップを特定します。この情報を基に、対象とする研修プログラムや採用戦略を展開し、必要なスキルセットを組織内に構築します。

  4. 意思決定の質の向上: 人材ポートフォリオを活用することで、HR部門やマネージャーは従業員に関する詳細なデータに基づいた意思決定を行うことができます。これにより、人事に関する決定の精度が向上し、組織全体の効率が高まります。

人材ポートフォリオの導入は、これらの目的を達成するために、組織が自らの人材資源を最大限に活用し、変化に強い柔軟な組織を築くための重要なステップとなります。

人材ポートフォリオイメージ図

2.人的資本経営における人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素とは

2020年9月に経済産業省が公表した「持続的な企業価値向上と人的資本に関する研究会」の成果報告書(人材版伊藤レポート)は「人材版伊藤レポート2.0」として2022年5月に内容を更新しました。この報告書は、企業が持続的に成長し価値を創造するために、「人的資本経営」の方向性を掲げています。

人材版伊藤レポート2.0では、ビジネス戦略を成功させるために人的資本経営の要素として「動的人材ポートフォリオ」の概念を提案しています。「動的人材ポートフォリオ」管理により、企業は各組織のニーズに応じた人材要件を明確に定義し、理想的な状態を目指して採用、配置、育成を適切に行うことが重要であるとしています。

🔷《人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素(3P・5Fモデル) 》

✅人材戦略は経営戦略やビジネスモデルに応じて個社性がある一方で、①経営戦略と人材戦略の連動、 ②As is‐To beギャップの定量把握、③人材戦略の実行プロセスを通じた企業文化への定着、といった 3つの視点から俯瞰することが可能である。

✅また、人材戦略については、①動的な人材ポートフォリオ、個人・組織の活性化(②知・経験のダイバー シティ&インクルージョン、③リスキル・学び直し、④従業員エンゲージメント)、⑤時間や場所にとらわれない働き方といった、5つの共通要素も存在。こうした、3つの視点(Perspectives)、5つの共通要素 (Common Factors)は、3P・5Fモデルとして整理できる。

✅企業においては、こうした共通の要素に加え、自社の経営戦略上重要な人材アジェンダについて、経営 戦略とのつながりを意識しながら、具体の戦略・アクション・KPIを考えることが有効である。

出典:持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~ (概要)
出典:人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート2.0~ (案)

3.人的資本経営に求められる動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用とは

🔵 経営戦略の実現には、必要な人材の質・量を充足させ、中長期的に維持す ることが必要となる。

🔵このためには、現時点の人材やスキルを前提とするのではなく、経営戦略 の実現という将来的な目標からバックキャストする形で、必要となる人材 の要件を定義し、人材の採用・配置・育成を戦略的に進める必要がある。

(1)将来の事業構想を踏まえた中期的な人材ポートフォリオのギ ャップ分析
CEO・CHROは、中期的な経営戦略の実現に向け、各事業が中期的 に必要とする人材・スキルを整理し、現状とのギャップを明確にした上 で、人事施策を立案する。

(2)ギャップを踏まえた、平時からの人材の再配置、外部調達
CEO・CHROは、人材ポートフォリオのギャップに基づき、可能な 限り早期に、社員の再配置、外部人材の調達を検討し、実行する。また、 社員が社外で有効な経験を積んで自社に戻ることを奨励し、アルムナイ ネットワークの活用等を検討する。

(3)学生の採用・選考戦略の開示
CEO・CHROは、新卒一括採用に限定しない学生採用方針を策定し、 学生に開示することで、国内外の留学やギャップイヤーでの自己研鑽等 を経た学生の入社を容易にする等、中期的な人材ポートフォリオの充実 につながる採用・選考戦略を策定・開示する。

(4)博士人材等の専門人材の積極的な採用
CEO・CHROは、イノベーション創出や事業の変革に貢献する人材 として、博士人材のような、高度な専門性と、自ら課題を設定し解決す る独自の構想力を持つ人材を活用する方策を検討する。

出典:人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート2.0~ (案)

4.「動的な人材ポートフォリオ」の進捗

(出典)人的資本経営に関する調査 集計結果」令和4年5月(p.7) - 経産省

🔵 「動的な人材ポートフォリオ」に関する設問に、 「重要性を認識していない/議論していない」と 回答した企業はごく少数で、重要性は認識されている。
🔵 また、「対応策を実行している」と回答している 企業の比率が低く、大半の企業が「動的な人 材ポートフォリオ」の実行に至っていない現状が窺える。
🔵「対応策が未検討」な企業と、「具体的な対 策を検討している」企業にほぼ二分されている。

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7.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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