人的資本経営|人的資本情報開示(ISO30414)?開示業務の現状・事例/人材アセスメントの活用
1.人的資本経営とは
人的資本経営(Human Capital Management, HCM)とは、人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。これには、従業員の採用、育成、選抜、および定着が含まれます。主な目的は、従業員のスキルと能力を最大限に活用して組織の全体的な成果を向上させることです。
人的資本経営の考え方は、従業員を単なる労働力としてではなく、組織の重要な資源と捉え、その価値を最大化することに焦点を当てています。これは、従業員一人ひとりが持つスキルや知識、創造性を組織全体の成果に結びつけるための戦略です。従って、個々の従業員の可能性を引き出し、その能力を組織全体の目標達成に向けて如何に効果的に活用できるかが、人的資本経営の中核をなす課題と言えるでしょう。
具体的には、人的資本経営では、適切な人材の採用、育成、評価、そして適正な報酬体系の設計が行われます。これにより、従業員が自らの職務において最高のパフォーマンスを発揮することが促されるのです。また、個々のキャリアの発展を支援することによって、従業員のモチベーションの向上が図られ、組織への帰属意識や職場でのエンゲージメント向上とされています。
加えて、人的資本経営には組織の文化や倫理観を形成する側面もあります。組織が共有する価値観やミッションを明確にすることで、従業員が自身の行動や決定を組織の目標に沿って行うことが容易になります。このようにして、人的資本経営は組織の一体感を育み、外部環境の変化に対して柔軟かつ迅速に対応する力を養うことができるのです。
このように、人的資本経営は組織が直面する多くの課題に対して、戦略的かつ総合的なアプローチを提供します。従業員一人ひとりの成長が組織全体の成長に直結するという考え方は、現代の企業にとって重要な経営戦略の一環と言えるでしょう。人事担当者にとっては、こうした戦略的な取り組みを理解し、実践することが、組織の持続可能な発展を支える鍵となります。
2.人的資本開示業務の現状について
人的資本の情報開示とは、企業が自社の人材情報を社内外に公表することです。人材育成方針や社内環境整備方針などの情報を開示し、経営者や投資家、社員などのステークホルダー間の相互理解を深めることを目的としています。
日本では、2023年3月期決算以降の有価証券報告書において、約4,000社の上場企業に対して人的資本情報の記載が義務づけられています。内閣官房が公表したガイドラインでは、7分野19項目の開示事項が示されています。
【大手企業における人的資本開示の実態調査】義務化後初の人的資本開示を実施した大手企業、約7割が「人事部のみ」で対応
株式会社Works Human Intelligenceは、「2023年度・人的資本開示および人事施策実施状況に関するアンケート調査」の結果を発表した。まずは、大手企業の人事戦略策定者85名を対象に「人的資本情報の社外開示対応状況」を尋ねると、「開示した」企業は7割を超えたといいます。
そこで、「人的資本開示の対応(情報収集・抽出~開示まで)をどのような体制で実施していたか」を尋ねた。その結果、「単一部門が対応」とした企業は73.8%と7割を占めた。また、「どの部門か」を尋ねたところ「人事部」が95.7%となり、人的資本開示を実施した企業では、ほぼ「人事部のみ」で対応していることが明らかとなりました。
あわせて、「人的資本情報開示対応において一番苦労したこと」を尋ねた。すると、「経営方針・戦略との関連性」、「KPI設定・具体的な開示範囲の設定」、「グループ全体の統制」といった項目が寄せられたとのことです。
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3.人的資本経営の実現に向けた実践事例集
2020年9月に公表された「人材版伊藤レポート」以降、人的資本の重要性が企業においてより認識され、デジタル化や脱炭素化、コロナ禍の影響による経営戦略と人材戦略の連動が課題となっています。2021年6月には、日本のコーポレートガバナンス・コードが改訂され、人的資本に関する記載が加えられました。
経産省は「人的資本経営の実現に向けた検討会」を設置し、2022年5月にはその成果として「人材版伊藤レポート2.0」を公表。この報告書は、人的資本経営を具体化し実践に移すためのアイディアを提示し、持続的な企業価値向上を目指す内容となっています。
4.人的資本経営・開示のトレンドについて
🔶人的資本経営~人材の価値を最大限に引き出す~人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。(経済産業省より)
🔶東京証券取引所(以下「東証」といいます)は、2023年3月、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を実施いたしました。
国内外の株主・投資者から、要請を踏まえた企業の対応に対して高い関心が寄せられているなか、対応を進めている企業の状況を投資者に周知し、企業の取組みを後押ししていく観点から、今般、要請に基づき開示している企業の一覧表の公表を開始いたしました。
🔶金融庁は、2023事務年度の金融行政における重点課題および金融行政に取り組む上での方針を、「金融行政方針」として策定いたしましたので、公表いたします。
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7.会社概要
会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
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