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詩 「命を舐めるな」
国家よ大人よ人間よ
命の誕生は
国家のためなんかではなく
親の人生設計のためでもなく
生まれてくる子のためでもない
命は何かのためにあるものではない
どんな理屈や意味をも超えた
独立した肉体と心の出現なのだ
それがどれほど孤独で重いものか
生まれたことがあるならわかるよな
勘違いするなよ大人
命に責任を取れる者などいない
命はどうしようもないほど
どうすることもできないのだ
だからせめて無条件の愛を持て
すでに生まれた命を
全人類は全力で肯定しろ
それが肯定できなかったら
あんたや私はいったい何なのだ
どこに救いがあるというのだ
あんたの子どもが将来
人殺しになったとしても
100%愛せると言い切れ
一点の曇りもなく言い切れ
あんたの子どもがいつか
苦しんで死ぬことになっても
その苦しみまでまるごと愛せ
あんたの子どもが
生まれてこなければよかった
と思いながら死んでも
あんただけはいつまでも
生まれてきてくれてありがとう
と心から思えるような愛を持て
あんたが人の親になって
あんたがあんたでいられないとき
あんたの苦しみを救えるのは
あんたの子どもだけだと
信頼できる愛を持て
あんたが生涯、親にはならず
あんたが孤独にいるときは
あんたの誕生させなかった子が
あんたの手をにぎり
あんたの隣に存在すると
想像できる愛を持て
この世には
死んだほうがいい命があると
信じて疑わない傲慢な奴らは
あらゆる誕生を否定していると知れ
いま生きている大人よ
あんたが大切な人を想うのと
おなじくらいの大きな愛で
ここにいない存在の幸福を
必死で願う努力をしろ
誕生した命があるなら
誕生しなかった命もある
誕生した幸福があるなら
誕生しなかった幸福もある
私は、そのどちらにも
おめでとう、と祈りたい
私たちが不安で眠れぬ夜は
私たちはこれでよかったと
互いの命を励まし合い
互いの命を抱いて眠りたい
国家よ大人よ人間よ
おのれの利益や人生のために
子を持とうなんて考えるな
その新しい命が
あんたの望み通りになる
なんて間違っても想像するな
命はあんたの道具じゃない
命を舐めんなよ