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聖夜の夜は夢で会いましょう
新緑の血潮に群がる人々のサンタクロースはユーミンではない
鈴の音が降り積もる夜、僕たちはイルミネーションのまま結ばれた
グラスから溢れ落ちたかなしみをソリに乗せたら遺影と釣り合う
ヤンキーの焼香じゃないから今夜くらいマルボロ吸うのはやめておいてね
永訣の恋です 何度夜明けを眺めても温もりなぞるプラダの香水
この連作短歌はナカタニエイトさん主催の「アドベントカレンダー2021」作品です。
連作短歌「日々の狭間で」
透明の朝日をまとう左手が昨日の終わりを教えてくれる
メタボとか糖尿だとかの情報で誰かの人生の輪郭トレース
生涯の心拍数は決まってるらしい ときめきだって死因に
何度でも許されたいとか言っちゃって何をしたのか忘れてしまった
グラム500円以上の牛タンで地獄に落ちる練習しておく
連作ヨーグルト短歌「お砂糖ぐるぐる」
スプーンでひとさじ微熱を数えたら全身全霊キスでもしようよ
夕方に唸る眠気と体温がすっぱさ欲する 呼び出せ経血
愛だとか嫌いだとかで容量が減ってくだけのギガ数求めよ
なくたっていいよ餃子のタレだって砂糖小袋だって満月
ヘルシーな恋と仕事が私の乳酸菌代わりかよ
カーテンの裾から刺さるハイビームかき混ぜたなら悲しみクリーミー
〆切がやけに短い 左手の小指が細い母のように
自家製の夜空が伝統
連作短歌「患えば夜」
好きな人ずっとずっと好きでいていいよがわかる免罪符ください
恋人の好きなところは電車の席端っこのこと「チョコ」という点
炊飯器買うよりレンチン米の方がコスパいいって人生損だよ
たい焼きは腹から食べる主義だって初めて知った、実は私も
空前のやきとんブームの向こうでは白ホッピーと餃子が微笑む
中ジョッキ八割埋まる焼酎とホッピー黒だけ正義でいてね
エモいってばっか言うなよエモいって「
【再掲:連作短歌】恋人を喪った安田短歌2018展「それでも明日はやってくるから」
悲しみと愛欲疼く新宿の熱量/光線、どっちが熱い?
知らぬはずなのにまつげの重みとか似ちゃってるから仕方ないよね
体温を人と交換する度に笑顔の君の画素数荒れる
「やすだくん」って呼んで欲しいなんて言う気持ちの悪いお願いでした
『恥ずかしいからこっち見ないでよ、安田くん。すっぴん可愛い? それ悪口ね!』
沈黙の業火に焼かれ夢に見る それでも天国、憧れてますかね
薄暗いベッドルームでしか煙草
連作短歌「わたしは夜夜中燃え殻を」
暮れなずむ街とかくれ鬼をする しじまに消えていくは劣情
吹き出しが連なる画面がやかましく呼び立てるからフリスク食べる
このままさ、一生始発が来ないとかないかな? ゴジラが来るとか、だめ?
恋蛍輝け季節が通り過ぎ道端佇む無色の君まで
何度でも何度でも何度でも言うけど許すよ、許してくれれば
もらうたびこれがわたしじゃないように願って吐き出すマルボロメンソ
結局はさけるチーズのように傾いてし
連作短歌「失恋日和」
真っ白に輝く陶器の左手が私に伸びていく蜘蛛の糸だ
カーテンの隙間から降るやかましいネオンが照らす埃のダンス
不動の二番にしてね? いつだって電話が鳴ればそこは楽園
好きだとか愛してるとか言う前にもんじゃ焼いてよ わかっているから
コンビニのついで買いと同じくらい「今夜空いてる?」は気楽にお願い
中央のベッドはスポットライト付き 裸体の点検作業に最適
指先を裂いた紙切れに残る惰
連作短歌「完全5度は急速落下」
足掻いても22:00過ぎしか打刻がないから許しておくれ今日の恋人
シーツには匂いが残ってしまうから窓際でいいよ夜のまにまに
唐突に神託はくる「生き延びて赦されないまま赦されなさい」
流れ散るまっかなかなしみ平行に刻んで歩け 夜明けは捨てた
曖昧な気持ちを全部トンボカットできたらよかった営予は戻して
本当はまるくやさしくなりたくてボブにしたんだって言いたかった
帰れないままでいいよヤレ段