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人間は加工された現実しか見られない⁈

「進化しすぎた脳」(池谷裕二著)を読んで、私は人間の認識についての深い洞察を得ました。この本は、哲学的な問いに脳科学からの興味深い答えを提示してくれます。

私たちは普段、目の前の現実をありのままに見ていると思いがちです。例えば、リンゴを見たとき、その赤さや形を完全に把握していると感じます。しかし、実際はそうではありません。

人間の目が認識できる解像度は約100万画素で、一般的なデジタルカメラと同程度だそうです。デジタルカメラの画像を拡大すると粗い粒子が見えてきますが、私たちの視界はなぜかそのように粗く見えません。それは脳が絶え間なく画像を補完し、解釈し直しているからなのです。つまり、私たちが「現実」だと思っているものは、脳による精巧な加工作品なのです。

さらに興味深いことに、この脳の処理には約0.5秒かかります。すなわち、私たちが「今」見ていると思っている光景は、実は0.5秒前の出来事なのです。まるでわずかなタイムラグのある生中継のような状態といえるでしょう。

また、人間の目で見える可視光線は、実は光の波長の中のごく一部に過ぎません。X線やγ線、α線などの不可視光線まで見えるとしたら、この世界は全く異なって見えるはずです。例えるなら、私たちは巨大な図書館の中の一冊の本だけを読んでいるようなものかもしれません。

このような知見から、私は二つの大切な気づきを得ました。一つは、物事を決めつけずに謙虚に探求を続ける姿勢の大切さです。もう一つは、まだ知らない世界が無限にあるという期待と興奮です。それは、新しい大陸を目指す探検家のようなワクワク感を私に与えてくれます。

人間の認識の限界を知ることは、むしろ私たちの世界をより豊かで魅力的なものにしてくれるのかもしれません。人間の脳は、無限にある情報の中から一部だけを切り取り、それを解釈して私たちの「現実」を作り出しています。これは私たちの限界であると同時に、さらなる可能性への扉を開くものでもあります。

まさに哲学で議論されてきた「人間は客観的な真実に到達できるのか」という問いに、脳科学は新たな視点を提供してくれました。私たちの見ている世界は、脳が作り出した解釈の一つに過ぎないということを知ることで、むしろ謙虚さと好奇心を持って世界に向き合えるようになったと感じています。

それは、まるで地図の一部しか持っていない探検家のように、未知の領域への期待に胸を膨らませながら、一歩一歩慎重に、しかし確実に前に進んでいくような姿勢かもしれません。この本から学んだことは、単なる知識以上の、新しい世界の見方を私に与えてくれました。​​​​​​​​​​​​​​​​

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