子どもはどこまで映像を理解しているか
こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。今日は、子どもはどこまで映像を理解しているのだろうかというお話をしたいと思います。子どもはテレビが大好き・・・でも、実は大人が思っている以上に子どもは映像を理解していないということが分かっています。過去の記事を基にお話します。
視覚優位と特別支援教育
一般的に、特別支援教育の対象となる児童は、視覚優位の方が多いと言われています。下の記事では、本当にそうなのだろうか?という疑問を書かせていただきました。
”見たら分かる”という、視覚情報の捉えやすさはだれしも感じるものですが、
というレベルに関していえば、耳から聞いた情報の方が脳内で整理しやすい人(聴覚優位)もいるのではないかということを書きました。
特別支援教育と聞いたとたんに、視覚支援を考える人が多いですが、本当にそれで良いのだろうかというお話でした。
視覚優位の方は映像をしっかり理解しているのか
では、視覚優位の人は、映像をしっかりと理解しているのでしょうか。
上の記事では、動画をただ流すだけでは”ただ見ているだけ”になってしまうということから、授業で動画を使う場合は、一時停止しながら見せているということを紹介しました。
子どもの発達とテレビ
では、子どもはどれだけテレビの情報を理解できるのでしょうか。
発達心理学者である、村野井均先生の講義を受けたことがあります。
村野井先生は、NHK教育の番組「できるかな」を子どもたちに視聴させました。
右がのっぽさん、左がゴン太くんです。
この番組を見た大学生が幼少期に「のっぽさんは女の人だ」と理解していたことから研究が始まります。この大学生がそのように感じた理由は
のっぽさんは一言もしゃべらない設定
ゴン太くんはウゴウゴしか言わない
出演者の名前に「こえ つかせのりこ」と書かれていた(ナレーター)
そのことから、他の大学生に調査したところ登場人物を間違えて覚えている子どもが44%いました。その44%の内訳は以下の通りです。
のっぽさんは女の人で、ゴン太くんは動物・・・45%
のっぽさんは「ウゴウゴ」言う外国人、ゴン太くんが女の人・・・40%
のっぽさんは話せない人で、ゴン太くんが二つの声を出している・・・14%
この通り、子どもを対象として考えを練られていたNHK教育であっても、子どもたちは大人の思いつかない組み合わせで勘違いをしているということが分かりました。
小学生への調査
その後、村野井先生は小学生に対して動画を見せました。
それでも、
1年生・・・36%
2年生・・・11.1%
4年生・・・3.7%
がのっぽさん=女性と答えています。
発達に遅れが無い場合であっても、これだけの子どもが勘違いをしているのです。
映像を見るということは、子どもにとってはとても理解が難しいことなのです。
動画が氾濫する時代だからこそ考えなくてはいけない
村野井先生は、上の本を出しているのですが、本当に面白いです。
動画が氾濫する時代。
映像を視覚教材として見せることの多い特別支援学級の教員は特に、映像の難しさについて再度考えなくてはいけないのかもしれません。
では、またね~!