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「大丈夫。一緒に読もう。」特別支援教育の音読指導法

こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
暑い日々が続いていますが、皆様お身体は大丈夫でしょうか?
今日は音読に不安や困難をもつ子どもの音読指導方法についてお話をします。

音読に苦手意識のある子は思った以上に多い

音読の学習指導要領上の位置づけ

学習指導要領【国語】の指導内容は大きく分けて3つあります。

「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」

です。
例えば低学年の「話すこと・聞くこと」の内容を細かく見ると、

ウ 姿勢や口形,声の大きさや速さなどに注意して,はっきりした発音で話すこと。

という項目があったり、「読むこと」の指導内容では

(1) 読むことの能力を育てるため,次の事項について指導する。
ア 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。
(2) (1)に示す事項については,例えば,次のような言語活動を通して指導するものとする。
イ 物語の読み聞かせを聞いたり,物語を演じたりすること。

という項目があったりします。音読は学習指導要領上も指導すべき項目として挙げられていることが分かります。
みんなで声に出して読んでいくことで、国語で養うべき物語への愛着というものも形成されます。だから、学校教員の多くは音読指導を大切にします

音読の苦手な子には言い分がある~大人の腕の見せ所~

ただ、すべての子どもがこれらの内容について、最初から得意かというと、そうではないでしょう。

  • 聴覚への過敏性がある

  • 音読で待っている間の時間が嫌い

  • 集中の持続が難しく、友達がどこまで読んだかを目で追いきれない

  • 簡単な文章を、ただ声に出して読むという行為に価値を感じられない

  • 文字を読むことが難しい

  • 構音が難しく、はっきりしゃべることができないなどの理由がある。

  • 読むだけでは物語の情景を思い描くことが難しい

  • みんなと同じようにスラスラ読めないから恥ずかしい

  • みんなの前で声を出したくない

  • 吃音がある

など、音読を苦手とする子は多いです。
特別支援教育コーディネーターとして、色々な子を見てきましたが、多くの子(特に低学年)は

そりゃぁ、ぼく(わたし)だって、じょうずに読みたいよ。

という想いをもっています。
でも、頑張っていてもなかなかうまくいかないうちに、音読が苦手になっていくのです。
そんな時こそ、大人の腕の見せ所なのです。
※聴覚の過敏性や吃音については、別に記事を書こうと思っています。

特別支援学級教員はどのように音読を指導するか

一斉指導でのアイデア(日本UD教育学会より)

  • 音読で待っている間の時間が嫌い

  • 集中の持続が難しく、友達がどこまで読んだかを目で追いきれない

  • 簡単な文章を、ただ声に出して読むという行為に価値を感じられない

などの困りから、音読が苦手な子については、一斉指導の中で読むことの楽しさを学ばせてあげたいものです。
でも、学級で行うのは「”、””。”読み」や「群読」など、伝統的な音読ではありませんか?
日本UD教育学会の桂聖先生が「「考える音読」の会」という団体の中で行った実践がまとめられている本があります。

「動作読み」「ぼく読み」「筆者なりきり読み」「博士読み」「主語読み」「事例読み替え読み」「文末表現置き換え読み」

項目を読んだだけでワクワクしませんか?
教員側が音読のネタに幅をもたせるだけで、子どもたちは音読に価値を感じて、自ら学ぶようになっていきます。
そう考えると、教員の仕事の責任の大きさを改めて感じるのです。

個別支援でのアイデア~「大丈夫。一緒に読もう。」の心で~

一斉指導でクラスが「読むぞ!」という雰囲気になったとしても、

  • 文字を読むことが難しい

  • 構音が難しく、はっきりしゃべることができないなどの理由がある。

  • みんなと同じようにスラスラ読めないから恥ずかしい

  • みんなの前で声を出したくない

という子どもたちの困りには別途寄り添わなくてはいけません。
では、どのように寄り添うのか。キーワードは

大丈夫。一緒に読もう。

という安心できる寄り添い方です。具体的には3段階あります。

個別支援 段階①:ひっぱり読み

音読の苦手な子が読む際に、教員はできるだけ子どもの近くにいます。そして、子どもが読み始める0.3秒くらい先に、教員が小さな声で読んであげます。
子どもはその教員の声をヒントに自分の声を出していきます

音読が苦手な子に対して「引っ張っていってあげるから、安心して読んでね!」というメッセージを込めながら支援します。
全体が音読練習をしている時に、個別で指導してあげられると、さらに自信をもって読めるようになるかもしれません。

個別支援 段階②:ディレイ読み

音読の苦手な子が読む際に、教員はできるだけ子どもの近くにいます。そして、子どもが読み始める0.3秒くらい後に、教員が小さな声で読んであげます。ディレイ(遅れて)して読んでいくイメージです。
子どもは教員の後から追いかけてくる声に支えられ、自信をもって読むことができます

「後ろから支えるから、安心して読んでね。」というメッセージを込めて支援します。

個別支援 段階③:そばにいるよ読み

3段階目は、音読の際に教員がそばにいます。
そして、読むのが難しい時は、ディレイ読みで支えてあげます。
いつでも助けるから、安心して読んでね。」というメッセージを込めて支援します。
少しずつ、少しずつ、教員の支援の手を外してあげたいですね。

「やらなくても良いよ」は支援なのかな?

音読指導の際に、苦手意識のある子に対して、

○○さんは苦手だから、他のことで頑張ろう。

と、理由を付けて活動を調整する(音読をしない選択をさせる)ことがあります。子ども自身が選択をする形を残すのはとても大事だと思います。
その一方で、それは支援なのだろうか?とも思います。
子どもたちの心を考えると

私が音読するのは、みんなにとって迷惑なんだろうか

先生も、私が音読へただって思っているのかな

と思うかもしれません。
だから、教員はいっぱい勉強して、「どうすればできるかな?」という引き出しをたくさん準備する必要があると考えています。

ちなみに、この引っ張り読みやディレイ読みは、

準備も無く、簡単にできる

ので、おうちでの音読練習にも使えます。学習発表会やスピーチ大会などを家で練習する際に、親が支えてあげるのにも使えますね!
子どもたちが自信をもって色々なことに取り組めることを願っています。
では、またね~!

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