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✓食堂かたつむり/小川糸
▽あらすじ
同棲していた恋人にすべて持ち去られ、
恋と同時にあまりにも多くのものを失った衝撃から、
倫子はさらに声も失う。
山あいのふるさとに戻った倫子は、
小さな食堂を始める。
それは、一日一組のお客様だけをもてなす、
決まったメニューのない食堂だった。
▽印象に残った文章
人はいつも澄んだ気持ちでなんかいられないと思う。
みんな、濁り具合程度の差こそあれ、
心の中を満たしているのは泥水だ。
だから私はその泥水をきれいに保つため、
なるべく静かにしていようと決めた。
水の中で魚が動き回れば
濁った泥水になってしまうけど、
心を穏やかにしていれば、
やがて泥は下に淀み、
上の方はきれいな水になる。
イライラしたり悲しい気持ちで作ったお料理は
必ず味や盛り付けに現れますからね。
食事を作るときは、
必ずいいことを想像して、
明るく穏やかな気持ちで台所に立つのですよ。
▽感想
ほのぼのとした話かと思えば、
けっこう生々しい話が多かった。
料理にゴミをわざと入れたり、
お母さんの下品な話だったり、
飼っていた豚が解体されたり…
もちろん、その話題には
全部意味がある事ではあるけど、
ただ美味しいご飯を提供する
それだけの話ではなかった。
倫子が精神的にやられていて、
でも自分で頑張って解決策を探して
自分の存在に意味をもたせていたのには
感動したし、すごいと思った。
料理も、やってくるお客さんに合わせて
どんな人が食べるのか、どんな雰囲気でいるのか
食べやすい食べにくい
いろいろ考えてでてくる料理は
どれもその人のために作られ
おいしそうだった。
豚のエルメスがお肉になっちゃうのは
個人的に辛いシーンだったな。
あと、直接的な下ネタも多くてびっくりです笑
✓食堂かたつむり/小川糸/ポプラ文庫
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↳単行本