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ガンディーの思想⑤ー菜食主義とミニマリスト

ガンディーは、イギリスで菜食主義者になりました。
最初は経済上、健康上の視点からでしたが、後には宗教的視点が至上のものとなりました。

ミルク🥛や卵🥚もやめました。
ミルクについては、牝牛や牝水牛が牛飼いに虐待されていることも影響しました。
肉と同じように、動物のミルクも人間の食べ物ではないとしたのです。 

食事は少量、質素、香辛料なしで自然の状態でなければならない。
肉体という聖地を維持するだけの食物を身体に与える。
人間は味覚のためではなく身体を維持するためにこそ食べるのです。

南アフリカでは塩、穀物、豆を断ち、ドライフルーツと新鮮な果実を食べました。
感覚器官を抑制するため断食を自発的に行い、自己抑制を成就し、味覚に打ち勝とうとしました。


「断食の人にとって、感覚の対象は消滅する
味を除いて・・・最高の存在を見るとき
彼にとって味もまた消滅する」 
(ギーターより)


ガンディーは、ヨーロッパ文明は、物質的な安逸とその増殖の飽くなき追求に囚われていると批判します。
そして、その奴隷になりつつある安逸の重圧の元で、死にたくなければヨーロッパ人自身彼らの人生態度を改めなければならないだろう、と説きます。

 

ひたすら欲望を追求する欧米型資本主義は、資源を浪費し、大量のごみを生み出し、環境を破壊しています。

近年、資本主義は欲望の拡大に目的があり、欲望の増大をちらつかせ、そのサイクルに市民を走らせ、終わりのないゲームをさせているという視点も言われています。


著書「人新生の『資本論』」で有名な哲学者、斎藤幸平氏は常々そのことを指摘しています。


必要なものだけで暮らすというライフスタイルは、現代でも多くの人々の支持を得られるでしょう。


知足の精神
「たとえ本来は盗んだものでなくても、わたしたちが必要でないものを所有しているなら、それは盗品とみなされなければならない。

富者は必要のない余計なものをふんだんに貯め込み、結局はそれらをなおざりにして浪費する。
一方数百万という人は、食べ物がなく餓死する。
もし各人が必要なものだけを所有するなら、ひとりとして困窮するものはなく万人が満足に暮らしていけるだろう。
貧者は百万長者になりたがり、百万長者は億万長者になりたがる。
富者は知足の精神があまねく世の中にひろがるよう率先して無所有を励行しなければならない。
富者が自分の所有財産をほどほどに制限するだけでも、飢えた者は容易に養われ富者と共に満足する

ほんとうの意味における文明は、需要と生産を増やすことではなく、慎重かつ果敢に、欲望を減らすことである。
ただこれのみが真の幸福感と満足感を増幅する。」


 
執筆者、ゆこりん、ハイサイ・オ・ジサン


参考文献

「ガンディー自叙伝」東洋文庫

「サッティヤーグラハの歴史」東洋文庫

「ガンディー 平和を紡ぐ人」竹中千春著 岩波新書

「ガンジーの実像」ロベール・ドリエージュ著 文庫クセジュ

「ガンディー『知足の』の精神」森本達雄編訳  人間と歴史社

「ガンディー魂の言葉」浅井幹雄  太田出版

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